おぎやはぎ小木が語る青春時代。輸入車と70年代洋楽への憧れ〈イギー・ポップ / The Passenger〉
おぎやはぎの小木博明さんがドライブミュージックをテーマに思い入れのある2曲を紹介!今回選曲を担当するのは、芸人・おぎやはぎの小木博明さんと矢作兼さん。芸能界の中でもかなりの車好きコンビとして知られる二人が、楽しい思い出を交えながら2曲ずつ紹介していきます。今回・次回の前半が小木博明さんによる選曲です。 音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。
1. イギー・ポップ / The Passenger
勢いで買ったプジョーで湘南を疾走
1989年かな、18歳になってすぐ免許を取りました。小学生の頃からの友達の親が逗子(ずし)に別荘を持ってたんで、そこに向けて毎週のように湘南を車で走ってましたね。鎌倉あたりのビーチにはサーファーがいっぱいいて、そいつらがモテるんですよ。でも、逗子だと少なくて、僕らもナンパする余地があって。
その時にやっていたのが「トランシーバー作戦」です。日光浴してる女の子を双眼鏡でチェックして、気になった人の近くにトランシーバーを置いてくるんです。車に戻ってしばらく待って、もう一方のトランシーバーから「聞こえますか? どうぞ」と声をかけると「えっ、なになに!? 」って応答してくれるんですよ。まだ携帯電話も一般的じゃない時代で、珍しかったから。自分がイケメンじゃないのはわかってましたから、それ以外のところで印象付けなきゃと思っていて、反応してもらえる確率も低くなかったです。今思うと、だいぶ気持ち悪いやり方ですけど(笑)。
その時よく聴いていたのがイギー・ポップの「The Passenger」です。青春の淡い思い出の一曲ですね。車で流すのは70年代の洋楽ばかりでした。やっぱり、車から音漏れするのはかっこいい曲であってほしいじゃないですか。でも、その時代にブームが最高潮なアーティストだったり、あまりにも有名すぎる曲だったりするとちょっと恥ずかしいんですよね。友達もみんな洋楽が好きで、ラジオ雑誌を買ってFMの音楽番組で流れる曲目を見ながら気になる曲に蛍光ペンで印つけてましたよ。「これはおれが録音する」みたいな。
8歳上の兄が音楽好きで、ビートルズやローリング・ストーンズ、オーティス・レディングなんかを聴いてたんです。その影響は大きいですね。ビートルズを聴くと幼い頃を思い出すんですけど、イギー・ポップは運転し始めたくらいの記憶が蘇ってくるんです。このやさぐれた感じが、恋とかに目覚めた時期にちょうどハマったのかもしれない。ナンパが成功した夜は映画『サタデー・ナイト・フィーバー』のサントラをかけてビー・ジーズを聴いたりもしたし(笑)。
初めて自分で買った車は黒のプジョー・405 MI16でした。当時付き合ってた彼女と、「あそこなら無料でコーヒー飲めるんじゃないか」ってディーラーに入ったんです。まったく買う気はなかったんですけど、話を聞いているうちに「そういえばパリ・ダカで2連覇してたな。砂漠であんなに走るなら間違いないだろう」と思えてきて、「購入を検討します」っていきなり言っちゃって(笑)。漠然と輸入車に乗りたいと思ってたんです。今よりも輸入車に乗ってるとモテた時代だし、子供の頃からスーパーカー図鑑とか見てましたから。当時の日本車に比べると、ポルシェとかフェラーリは異質な、まったく別の乗り物に見えましたね。
おぎやはぎ1曲目 おぎやはぎ小木が語る青春時代。輸入車と70年代洋楽への憧れ〈イギー・ポップ / The Passenger〉
おぎやはぎ2曲目 おぎやはぎ結成前の2人に女子の行列!? クラブで夜遊びの思い出〈カーティス・メイフィールド / Move On Up〉
おぎやはぎ3曲目 18歳のおぎやはぎ矢作、車で加山雄三がかかりすぎて好きになる 〈加山雄三 / 蒼い星くず〉
おぎやはぎ4曲目 隣の車から突然「おい矢作!」何度も呼ぶ声の正体は? 〈ケミカル・ブラザーズ / Block Rockin' Beats〉
おぎやはぎ
プロダクション人力舎所属。1995年、高校時代の同級生である小木博明、矢作兼でコンビを結成。2001年、2002年M-1グランプリ決勝進出。現在は日本テレビ『天才‼カンパニー』、テレビ東京『ゴッドタン』、メ~テレ『おぎやはぎのハピキャン』、BS日テレ『おぎやはぎの愛車遍歴』、TBSラジオ『JUNK おぎやはぎのメガネびいき』などのレギュラー番組をはじめ、多数の番組に出演中。また2024年4月から新たに開設されたYouTubeチャンネル『おぎやはぎトラベル』ではおぎやはぎが世界中を旅する、緩く、忖度(そんたく)のないVlogを配信中。 https://www.youtube.com/@ogiyahagtravel