わたしのドライブミュージック

KIRINJI 堀込高樹が30年かかって巡りあったドライブの名曲〈ベン・シドラン / チャンシズ・アー〉

KIRINJIの堀込高樹さんを形作ったドライブミュージックを4曲紹介!

堀込高樹
2024.03.05

聞き手・構成=張江浩司 / 編集=赤井大祐 / イラスト=若林 萌

2024.03.05

聞き手・構成=張江浩司 / 編集=赤井大祐 / イラスト=若林 萌

1年点検を受けると、だれにでもチャンス

今月の選曲を担当するのは、KIRINJIのフロントマンとして活動を続ける堀込高樹さん。1曲目にご紹介するのは70年代から活躍を続けるキーボード奏者ベン・シドランの「チャンシズ・アー」。長らくペーパードライバーで、10年ぶりにハンドルを握った頃の思い出とともに語ります。

音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。

1. ベン・シドラン / Chances Are

子供の頃から変わらず、車中は音楽との出会いの場

この曲を初めて聴いたのは、中学生くらいのとき。父親の車のラジオから偶然流れてきたんですけど、誰が歌っているのかも曲名もわからなくて。当時は調べる方法もなかったから、ずっとそのままになってたんです。大学生になって自分で車を運転するようになってから、またラジオから流れたんですよ。そこでようやくベン・シドランという名前がわかったので、メモしてレコード屋に行ったんです。でも、まだCDにリイシュー(再発売)されていない時期で、中古レコードがけっこう高かった。3,500円くらいだったかな、ちょっと手が出なくて。友達がテープにダビングしてくれたから、それをよく聴いてました。

そのあと実家を出てから10年くらいは車に縁のない生活だったんですけど、結婚して家族を持ったタイミングで妻の両親が新車に買い替えることになって、それまで乗ってたマツダのファミリアを譲り受けたんです。自分で陸運局に行ってナンバープレート変更の手続きをしたんですけど、まわりは玄人ばっかり。書類の不備を何度も指摘されたりして本当に怖かった(笑)。

やっとの思いで乗り始めたら、今度は家の前の道がとても狭くて、僕も久しぶりの運転だから電柱にぶつけてサイドミラーが取れちゃったのをガムテープで補修したり、ボロボロにしながら勘を取り戻していきました。六本木の東京ミッドタウンの中にあるBillboard Live TOKYOでライブがあるときなんか、高級車ばかりの駐車場に傷だらけのこの車で乗り付けるのもなかなか乙なものでした。

ファミリアにはCDプレイヤーが付いてなかったんですよ。最初はカセットを引っ張り出して聴いたり、カセット型のオーディオ変換アダプターにiPodをつないだりしてたんですけど、あれはすぐ壊れちゃうし、なんかばかばかしくなっちゃって(笑)。もっぱらラジオを聴いてたら、またこの曲が流れて、やっとレコードを買いました。 初めて聴いてから30年くらいたってますから、不思議な巡り合わせですよね。今も運転中は基本的にラジオが多いです。気になった曲はすぐスマホアプリのShazamで調べるようにしてます。子供の頃から、やってることはまったく変わってないですね。

堀込高樹

ほりごめ・たかき
1996年実弟である堀込泰行と二人で「キリンジ」を結成。1998年メジャーデビュー。2013年堀込泰行がキリンジを脱退。同年に新メンバーを迎え6人編成バンド「KIRINJI」として再始動し、2021年からは堀込高樹のソロプロジェクトとして活動中。2023年9月にアルバム「Steppin' Out」を、新レーベル「syncokin」よりリリース。2024年5月25日に、メジャーデビュー25周年記念ライブ「KIRINJI 25th ANNIVERSARY LIVE」を東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催。
自身の作品のリリースやライブ活動のほか、さまざまなアーティストへの楽曲提供やドラマ・映画のBGM、テーマソング制作など、活動は多岐にわたる。音楽への深い造詣に裏打ちされたジャンルにとらわれない曲作り、アップデートし続けるサウンドプロダクション、ユニークな視点から繰り出される詞世界は、音楽ファンのみならず多くのミュージシャンや著名人からも支持を得続けている。

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