山中湖へ向かうクリス・ペプラーを緩やかに高揚させる〈松任谷由実 / 中央フリーウェイ〉
ラジオDJ、ナレーターのクリス・ペプラーさんが愛聴するドライブソング4曲を紹介!今月の選曲を担当するのは、J-WAVEの開局以来35年にわたって「TOKIO HOT 100」のナビゲーターを務める、同局の顔であり、ドライバーにはその声でおなじみのクリス・ペプラーさん。1曲目は、緩やかな大人のドライブにピッタリな松任谷由実の代表曲「中央フリーウェイ」について語ります。 音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。
1曲目
松任谷由実 / 中央フリーウェイ
山中湖まで2時間の中央フリーウェイドライブ
まずは王道。コロナ禍以前はハイドロフライト(水上オートバイのジェット噴流を利用して空中に浮遊するアクティビティ)にはまっていて、毎週のように2時間かけて山中湖まで行っていました。中央高速をドライブするときは、ベタですけどやっぱり「中央フリーウェイ」が合うんですよね。
若い頃は掻き立てるような激しいロックを聴きながら運転して盛り上がることもあったんですが、最近は重心がボトムに寄りつつも軽やかな、心地よい曲が多くなってきました。ロングドライブだったり、渋滞に巻き込まれたりすることもあるので、心拍数や血圧が下がっていくような音楽がいいんですよね。メロウに運転できる感じというか。エンジンもホイールも回転してるじゃないですか。今はTESLAに乗っているのでエンジンは搭載されていないけど、電気自動車でもモーターが回っていますよね。運転中はそれに合わせて自分も回転しているような感覚があって。それを妨げないような、スムース(※)なグルーヴやテンポがある程度コンスタントにキープされている曲だとストレスのない運転になるな、と。緩やかなBPM(Beats Per Minute)の曲だとレーンチェンジも気持ちよくできますしね。「中央フリーウェイ」もBPMは100くらい。もたつくのでもなく、すごく速いわけでもなく、ちょうどいいクルージングするようなテンポ感は運転にとってとても大事だと思います。
テンポだけじゃなく、いろいろな音色も運転している状態を左右しますよね。ボーカルハーモニーだったり、ストリングスだったり、生理的に気持ちのいい音は運転を高めてくれる。なので、インパクトの強すぎる音楽だと、気を取られすぎちゃって周りへの注意が散漫になっちゃう。僕は基本的に英語でも日本語でも歌声をアンサンブルの一部として聴くからあまり気にならないんですが、歌詞の内容を聴き込んだほうがいいような曲は物思いに耽(ふけ)っちゃうから運転中は危ない。「中央フリーウェイ」はタイトルのリフレインだけで情景が伝わってくるから、やっぱりユーミンはすごいよね。
運転中のプレイリストは、この曲のほかだとアンビエント(環境音楽)やテクノが多いです。フローというか、やはりBPMや流れを重視しますね。高揚させてくれるけど、マインドはクールに。そういう精神状態にしてくれる音楽がぴったりです。
- ※smooth:なめらかな、上質な、楽しく魅力的な~を意味するスラング
クリス・ペプラー1曲目 山中湖へ向かうクリス・ペプラーを緩やかに高揚させる〈松任谷由実 / 中央フリーウェイ〉
クリス・ペプラー2曲目 クリス・ペプラーがトルクを利かせて首都高2号線を運転したい一曲〈山下達郎 / BOMBER〉
クリス・ペプラー3曲目 クリス・ペプラーが回想する、車が自由を求める若者の象徴だった時代〈ドゥービー・ブラザーズ / ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ〉
クリス・ペプラー4曲目 クリス・ペプラーが山下達郎にも重ねる「現代のJ-POP」〈Vaundy / トドメの一撃〉
クリス・ペプラー
パーソナリティー。FMラジオ局J-WAVEが1988年に開局すると同時に、ナビゲーターとして抜擢され、35年間にわたり「TOKIO HOT 100」のDJを務めている。 日本のミュージックマスターとして知られ、音楽、映画やスポーツなどエンターテイメントを中心にTV番組、CM出演、ドラマ出演、ビッグセレブの来日記者会見やインタビュー、イベントMCなど幅広く活躍中。