クリス・ペプラーが山下達郎にも重ねる「現代のJ-POP」〈Vaundy / トドメの一撃〉
ラジオDJ、ナレーターのクリス・ペプラーさんが愛聴するドライブソング4曲を紹介!クリス・ペプラーさんによる4曲目は、若者から絶大な支持を集めるVaundy(バウンディ)の「トドメの一撃」。日本にとどまらず、世界と時間を共にするトップアーティストとして、あの山下達郎と重ねた若き才能を語ります。 音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。
4曲目
Vaundy / トドメの一撃
グローバルな時代のJ-POPとは
Vaundyは23歳の才能豊かな若きクリエイター。この新曲にはアメリカの人気ファンクバンドVulfpeckにも参加し、「21世紀のナイル・ロジャース」とも言われている今イケイケの技巧派ギタリスト、Cory Wongがフィーチャーされています。僕はこの曲から、山下達郎さんに近い高揚感、シティポップ的なセンスを感じるんですね。特にコリー・ウォン(Cory Wong)のセブンスコードのギターカッティングにはそれが濃厚で、ドライブにもぴったりなんじゃないかな。
当時、達郎さんは最先端の音楽を海外とほとんど時差なくやっていましたが、今のVaudyからも同じようなバイブスを感じますよね。だからこそCory Wongとのコラボレーションも実現したんだと思います。
今のアーティストはみんなレベルが高いし、インターネットによってマーケットも広がっているから、King GnuもYOASOBIも海外で人気があります。それにアフリカにいようがアイスランドにいようが日本の音楽を聴こうと思えば聴けちゃうから、世界中にJ-POPファンがいる状態です。Night Tempoのように70〜80年代の日本の音楽にインスパイアされた海外のアーティストも出てきていますし。「トドメの一撃」はこういった日本の状況を象徴するような曲なんだけど、それは同時にグローバルでもあるということなんだと思います。
僕がJ-WAVEでパーソナリティーを担当している「TOKIO HOT 100」では常に新しいミュージシャンを紹介してきましたが、ラジオとドライブもすごく密接ですね。ラジオはアメリカの自動車文化のおかげで発展した、なんてことも言われるくらいですから。
だから運転中のドライバーたちが楽しめる喋りってどんなスピードで、どんなテンションなのかは常に意識しています。それにJ-WAVEのスタジオは六本木ヒルズの33階にあって、大きな窓からは天気の状態もわかるし、首都高速2号目黒線の混み具合も見渡せるんです。ドライバーは快適なのか、渋滞に巻き込まれてつらいのか。運転しながら聴いているドライバーたちと、自分もある程度ドライバーたちと自動でシンクロして喋っている感覚があるんですよね。
クリス・ペプラーさんのプレイリスト
クリス・ペプラー1曲目 山中湖へ向かうクリス・ペプラーを緩やかに高揚させる〈松任谷由実 / 中央フリーウェイ〉
クリス・ペプラー2曲目 クリス・ペプラーがトルクを利かせて首都高2号線を運転したい一曲〈山下達郎 / BOMBER〉
クリス・ペプラー3曲目 クリス・ペプラーが回想する、車が自由を求める若者の象徴だった時代〈ドゥービー・ブラザーズ / ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ〉
クリス・ペプラー4曲目 クリス・ペプラーが山下達郎にも重ねる「現代のJ-POP」〈Vaundy / トドメの一撃〉
クリス・ペプラー
パーソナリティー。FMラジオ局J-WAVEが1988年に開局すると同時に、ナビゲーターとして抜擢され、35年間にわたり「TOKIO HOT 100」のDJを務めている。 日本のミュージックマスターとして知られ、音楽、映画やスポーツなどエンターテイメントを中心にTV番組、CM出演、ドラマ出演、ビッグセレブの来日記者会見やインタビュー、イベントMCなど幅広く活躍中。