クリス・ペプラーが回想。車が自由を求める若者の象徴だった時代〈ドゥービー・ブラザーズ / ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ〉
ラジオDJ、ナレーターのクリス・ペプラーさんが愛聴するドライブソング4曲を紹介!![](/writer/__icsFiles/afieldfile/2023/12/21/ChrisPeppler-026_header.jpg)
クリス・ペプラーさんによる3曲目は、結成50周年を迎えた、アメリカ・ウェストコーストロックの レジェンドバンドであるドゥービー・ブラザーズの「ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ」。今と昔とでは大きく変わった「若者にとっての車」を語ります。
音楽好きの著名人たちが、月替わりで自動車やドライブにまつわる音楽との思い出とともに至高のドライブミュージックを4曲紹介します。
3曲目
ドゥービー・ブラザーズ / ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ
ユースカルチャーとモータリゼーションの蜜月
1972年にリリースされた彼らの2ndアルバムに収録されている曲で、ヘビーというよりもすごく軽やかなロックなんです。タイトルの通り、天気がいい日のドライブにぴったりですよね。湾岸沿いでも山道でも、どんなシチュエーションにもあうと思いますよ。
ドゥービー・ブラザーズはメンバーがみんなバイク好きで、モーターサイクルギャングというか、いわゆる走り屋だったんですね。だから彼らの曲には「China Grove」や「Jesus Is Just Alright」など、他にもロード・ソングが多いんです。今は少なくなりましたけど、かつては音楽と自動車文化の関係性が非常に密接だったと思います。矢沢永吉さんもクールス(舘ひろしや岩城滉一が在籍していたバイクチーム。後にロックンロールバンドに発展した)と仲が良かったですし。
当時の男の子にとって、免許を取るということは大人への登竜門のようなものだったんだと思います。イニシエーションの一種というか。今と違って車は男らしさの象徴でもあり、「運転ができて一人前」だったし、女の子にモテましたから(笑)。音楽に限らず、『イージー・ライダー』や『バニシング・ポイント』など当時の映画も表しているように、自由を求めている時代でもあったんですよね。モータリゼーションはそのための手段というか、身近な場所から未知の世界に連れて行ってくれる魔法の道具でもあったんです。
アメリカの大学に通っていた頃に免許を取って、フォードのマスタング マッハ1を中古で買いました。まさにマッスルカーといった車でしたけど、「これでステップアップした、スキルが身に付いた」という感覚があったのを覚えています。権利が与えられたというか。
その反面、運転には危険が伴うもので、下手をすれば命を落とすことも奪うこともある。自由というのは、ある種の拘束が付きまといますよね。上原ひろみさんのような凄腕のジャズミュージシャンも、何十年にもわたるディシプリン(※)というか、鍛錬があるからあれほどまでに自由にピアノを弾きこなせるわけですから。楽しく運転するには、根本的な土台をしっかり築かないといけない。そういった意味で、権利と責任を考える契機になっていたようにも思います。
- ※しつけ、社会や集団の規範となるもの
クリス・ペプラー1曲目 山中湖へ向かうクリス・ペプラーを緩やかに高揚させる〈松任谷由実 / 中央フリーウェイ〉
クリス・ペプラー2曲目 クリス・ペプラーがトルクを利かせて首都高2号線を運転したい一曲〈山下達郎 / BOMBER〉
クリス・ペプラー3曲目 クリス・ペプラーが回想する、車が自由を求める若者の象徴だった時代〈ドゥービー・ブラザーズ / ロッキン・ダウン・ザ・ハイウェイ〉
クリス・ペプラー4曲目 クリス・ペプラーが山下達郎にも重ねる「現代のJ-POP」〈Vaundy / トドメの一撃〉
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クリス・ペプラー
パーソナリティー。FMラジオ局J-WAVEが1988年に開局すると同時に、ナビゲーターとして抜擢され、35年間にわたり「TOKIO HOT 100」のDJを務めている。 日本のミュージックマスターとして知られ、音楽、映画やスポーツなどエンターテイメントを中心にTV番組、CM出演、ドラマ出演、ビッグセレブの来日記者会見やインタビュー、イベントMCなど幅広く活躍中。
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