残クレとカーリース、どっちがお得? 支払い総額や税金の違いも徹底比較
車の買い方で後悔しない! それぞれのメリット・デメリットをFPが解説
多様化するクルマの買い方。現金払いや割賦(ローン)による分割購入を想像される方が多いだろうが、近年は「残価設定型クレジット(以下、残クレ)」や「個人向けリース(以下、リース)」といった手法を選ぶ人が増えている。残クレとリースは似ているようで違いも大きい。元自動車販売店営業マンでファイナンシャルプランナーの宇野源一氏が、要点をわかりやすく解説する。
似ているようで似ていない残クレとリース、その2つの“使い方”とは?
残クレとリースについて、「いずれも一定期間クルマを借りる」というイメージを持ってはいはないだろうか。リースについてはこの解釈で正解だが、残クレについては半分正解で半分間違っていると言ってもいいだろう。詳しくは次の段落で説明するが、簡単な解釈として以下のイメージとなる。
〇残クレ: 支払い期間を決めてクルマを購入し、期間(契約)満了時に複数の選択肢から将来の取り扱いを決める
〇リース: クルマをレンタカーと所有の中間の感覚で一定期間借りる
残クレとリース、それぞれ違いを確認してみよう
ここからは残クレとリースの違いについてチェックしていく。以下の表はカテゴリーごとに違いをまとめたものなので確認してみよう。
残クレ | リース | |
クルマの所有者 | クルマのユーザー (所有権は自動車販売店が留保) |
リース会社 |
距離制限 | あり | あり |
傷や凹みがある場合 | 一定の範囲内ならOK | 原状回復すればOK |
大きな事故にあって車を修理した場合 | 返却不可 | 原状回復すればOK |
契約期間満了後の取扱い | 1.残価を支払って乗り続ける 2.新しい車に買い替え 3.車を返却 |
基本的にリース会社へ返却 (プランによっては買取ができる場合もあり) |
契約期間中での中途解約 | 残価を含む借入金を完済すれば可能 | 違約金を支払えば可能 |
残クレは自動車販売店が提供するローン商品の一種なので、クルマの所有権についてはローンに準じて「クルマを購入した人」となる。自動車販売店のローンでは所有権留保といって、ローンの返済が終わるまで自動車販売店やローン会社がそのクルマの所有権を有する。住宅ローンの担保設定のようなもので、ローンの返済が滞ったときに担保となっているクルマを引き上げて返済原資に充てる方法が取られる。
一方でリースの場合、車を持っているのはあくまでもリース会社で、自動車ユーザーはリース会社に利用料を支払ってクルマを借りることになる。家で例えるのなら賃貸物件に住む、というとイメージしやすいかもしれない。
また、クルマの使い方については、残クレもリースも契約期間満了後の残価を想定して支払い金額やリース料金を設定するため、契約期間中は走行距離制限が存在する。ただ、クルマに付いてしまった傷や修復歴については残クレの方が厳しい条件である点に注目してほしい。例えばクルマに傷や凹みがついた場合、残クレでもリースでも契約時に定められた範囲内の傷であれば返却が可能だ。その範囲を超えてしまった場合は修理(原状回復)か定められた違約金を支払う必要がある。
修復歴がついてしまった場合は対応がかわり、リースは原状回復をすれば良いのだが、残クレは契約期間満了後にクルマを返却するという選択ができず、ローン最終回に据え置かれた残価を一括で支払い、あるいは再ローンを組んで返済する必要がある。残クレは、ユーザーから引き取った車を中古車として再販売するために将来の価値(残価)を据え置いているため、その価値を下回ってしまうと意味がないのだ。
そして、契約期間途中での解約についても違ってくる。残クレはローン商品なので残債(残った支払い金額)を車両の売却や一括返済でゼロにしてしまえば契約を終えられる。一方リースは契約途中での解約はできるものの、残りのリース期間に応じた違約金(中途解約手数料)を支払う必要がある。一般的にリースの違約金は「毎月のリース料×残り月数」となるケースが多い。つまり、リースを解約するためには契約期間分の料金をすべて支払う必要があるということだ。
最後に契約期間満了後の車の取り扱い。残クレは上の表にある3つの選択肢から選ぶことができるが、リースについては基本的に満了と同時にクルマを返却することになる。リース内容によっては再リースという形で契約を新たに結ぶことや、一定額を支払うことでリース会社からクルマを買い取ることも可能だ。リースの取り扱いについては契約するリース会社に詳細を確認しよう。
【気になるコラム】クルマのサブスクとは?
ビデオオンデマンドサービス(VOD)のように、クルマ業界でもサブスクと呼ばれる契約形態が存在する。サブスクと聞くと手軽なようで親近感を感じるが、大きなカテゴリーとしてはリース契約と同じだ。契約内容は基本的にリース契約に準ずる形となるが、最低契約期間など細かいところを一般的なリースと比べると、その違いが見えてくる。
例えば、
・中途解約金が不要となるプランがある
・自動車保険、メンテナンス料金がリース料に含まれている
・契約期間中でも一定期間契約して入れば違約金なしで乗り換え可能
といったことが挙げられる。
残クレとリース、それぞれのメリットを考えてみよう
残クレ | リース | (参考)その他の買い方 | |
車の支払い | 毎月払い (最終回に残価を精算) |
毎月払い | 一括払い 分割払い |
税金の支払い | 都度支払い | リース料金に組み込まれる | 都度支払い |
メンテナンス費用 | 都度支払い | リース料金に組み込まれる (プランによっては都度支払い) |
都度支払い |
車のカスタマイズ | 部分的に認められる | 基本的にNG | 自由 |
それぞれのメリットをチェックしてみよう。
まず残クレだが、ローン契約の最終回まで残価分の支払いを据え置くことで、毎月の支払いを抑えられる。例えば300万円のクルマを5年(60回)払いで買ったとき、通常ローンだと毎月5万円+金利、となる。もしこのクルマの5年後の残価が100万円だったとすると、それを60回目に据え置いて、残りの200万円を59回に分割払いするため、毎月の支払いは約33,900円+金利となるため負担が小さくなる。
ただし、最終回に据え置かれた残価分についても金利がかかってくるため、ローン期間中の金利負担が大きくなる点には注意が必要だ。税金やメンテナンス費用などの出費については一括払いや通常ローンと同じで、その都度支払いが発生する。
次にリースの場合で見ていこう。大きなメリットは“毎月の支払い以外に費用が発生しない”という点だろう。リース期間に発生する自動車税や自動車重量税、自賠責保険料といった費用は毎月のリース料に組み込まれる。契約内容によっては車検や点検にかかる費用はもちろん、部品の交換についてもリース料に組み込まれることも多い、さらに自動車保険についてもあわせることが可能だ。
クルマを持つということは突発的な出費の発生に備えて貯蓄などをしておくことが大切であるが、リースの場合はそのような突発的な出費が発生しないので、クルマに関する支出を平準化できるメリットがある。事業でクルマを使っている場合、リースの場合はクルマを“借りる”ことになるので、所有する(財産を持つ)という観点から経理処理の仕方が変わる。所有とリース、どちらが向いているかはケースバイケースなので、個人事業主や会社経営者は税理士に相談することをお勧めする。
残クレとリース、結局のところ、どっちがいいの?
残クレとリース、どちらにしても一長一短の特徴があるため、一概にこれが正解とはいえない。ユーザー一人ひとりのクルマの使い方に応じた適切な選択が必要と言えるだろう。わかりにくい点は自動車販売店の担当者に質問し、すべての疑問を解消するにしよう。

宇野源一
うの・げんいち 大学卒業後、大手メーカー系自動車ディーラーに就職。その後、金融業界の業務・教育支援を行う会社に転職し、法人営業に従事しながら、2級ファイナンシャル・プランニング技能士、AFP資格を取得。2018年よりライターとしても活動。FP視点でのカーライフを提案することが得意。
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