難所の走破性に優れたオフロード車両「POLARIS」の実力とは?

「POLARISレンジャー」は、全地形対応車でアメリカ随一のシェアを誇るPOLARIS社で開発・製造されたオフロードビークル。ぬかるみ、急斜面、がれき、狭小路といった、これまでの消防車両では入り得なかった場所でも活躍できるのが特徴だ。

これをアメリカから輸入したのが、株式会社ホワイトハウス。2015年から日本国内での販売を開始し、2020年には東京消防庁が導入。2021年の「熱海市伊豆山土石流災害」に派遣された折には、道幅が狭く、急こう配の多い熱海の街で、傾斜や崩れた斜面をものともせず走り回り活躍を見せた。

谷川氏：当社は「社会と地域に貢献したい」という思いをもって、国民の安全を守るための車両、またはツールを世界から輸入しています。このPOLARISレンジャーは、世界各国の消防、警察、軍といった人々の命に係わる公的機関で実践採用されているもの。過去の日本国内での自然災害を見ても、被害が出るのは農村や漁村、山岳地帯など、道が狭く高低差のある地域が多い。そんな場所をものともせず進むことが可能な車両の必要性を感じていました。

国民の安全を守るために必要なものを日本に輸入していくと同時に、しっかり守ってもらえるように普及促進していきたいと思っております。

2024年6月より、POLARISレンジャーは全国の消防本部に「小型救助車」として順次納入されている。熱海土砂災害での活躍が認められ、国の定める「緊急消防援助隊車両」となったのだ。
火災、豪雨災害、震災などで道路が寸断されたような場所でも、真っ先に駆けつけて入っていき、要救助者の位置を特定・推定し、指揮本部設置にあたって必要な情報を収集するのがその役割。

すでに東京消防庁では、2020年に新設された「即応対処部隊 」において導入され、インフラが寸断された被災地で、救助活動の拠点を形成するために働いている。

ぬかるみでも瓦礫でも、急こう配でも進んでいける秘密は、４輪のうち１つでもトラクション（牽引力）があれば走行できるオンデマンド式のAWD全輪駆動システムを搭載しているため。
また車体は全長296㎝×幅152㎝と小さく、重量も820kgと軽い。時速80kmで高速巡航も可能だ。タイヤをクローラーに履き替えることもでき、泥土のぬかるみやがれきが散乱する市街地など、どんな現場にもパンクの心配なく真っ先に到着できる走破力を持っている。

さらに2024年4月より東京消防庁では、都内2か所のハイパーレスキュー部隊に、計4台のPOLARISレンジャーが配備されている。

もし「POLARISレンジャーに乗ってみたい!」と思ったなら、「ホワイトハウスヴィレッジ・バギーパーク（三重県）」「ネスタリゾート神戸（兵庫県）」において、アクティビティとしてPOLARISレンジャーを運転することができる。未舗装の森林コースを進んでいく経験は、普段はできない特別なものだ。また、公道仕様の量産モデル「RANGER XP1000TR」は、街乗りができる本格派のバギーとして一般への販売もされている。

さまざまなアクティビティや街乗りにも活用できて、いざという災害時には悪路走破性能の本領を発揮するPOLARISレンジャー。頼もしいマシンの日本上陸から目が離せない。