住宅火災について考えている女性と子供
文=矢島 史/イラスト=北極まぐ

乾燥する冬の季節、火災への備えは万全ですか?

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冬から春にかけては空気が乾燥やすい季節です。恐ろしいのは、火災。カセットコンロでお鍋をしたり、久しぶりの暖房器具に慣れずスイッチを切り忘れたりと、行動の面でもリスクが高まりがちです。住宅火災の発生原因や、初期消火の大切さといった、火災を防ぎ、命と家を守るためのポイントを改めて確認しておきましょう。

目次

こんろにストーブ…住宅火災を防ぐ! そのポイントと対策

2022年における月別の出火件数

2022年における月別の出火件数(令和5年版消防白書より)

空気が乾燥し、暖房器具など火の使用が増える冬から春先にかけては、火災の発生件数が増加する傾向にあります。なかでも住宅火災による死者は、毎年1,000人を超えます。大切な人命を失うことに加えて、家や財産を失い、隣近所への延焼が起こる場合も。

住宅内での出火原因は「こんろ」「たばこ」「ストーブ」が多く、ほこりの溜まったコンセントやタコ足配線などから出火することもあります。電子レンジ、IH、リコールされている調理機器など電気機器からの発火も目立っています。屋外でごみなどを焼いていて、それが建物に延焼してしまうケースも。

2022年におけるおもな出火原因別の出火件数

2022年におけるおもな出火原因別の出火件数(令和5年版消防白書より)

特に押さえておきたいのは以下4点の基本。

なかでも住宅火災の原因として多くを占めるこんろ。その4割は、火を「放置する、忘れる」ことによるものです。テレビを見に行って調理中であることを忘れてしまったり、そのままうたた寝をしてしまったり。人間だから、いつも完璧ではいられません。そのために頼りたいのは防火に備えるための道具です。

  • こんろやストーブは過熱防止装置や転倒OFFスイッチなど安全装置の付いたものを使う。
  • もしもに備えて、各部屋に火災警報器や消火器などの消火器具を設置する。

火災発生! そのとき大切な初期消火とその注意点

火のついた天ぷら鍋

初期消火とは、出火後数分以内に消火活動をすることです。それを超えると炎が大きくなり、背丈より火が高くなってしまえば自力消火が難しくなってしまいます。反対に、火の高さが背丈よりも低い段階なら、消火の成功率が高くなります。

くれぐれも、火を発見してから数分ではなく、「出火」から数分です。ただし、発見時に目線より炎が上にあるようなら、すでに消火が難しく危険なため、初期消火はあきらめて屋外へ避難しましょう。

また、がんばって消火活動に当たったとしても、天井まで火が届いてしまったらもはや自力での消火は不可能。避難一択です。大事なものを持って逃げたい気持ちはやまやまですが、命が最優先。

自分と家族を逃がしながら、炎と煙の拡散を遅らせるために部屋のドアを閉めつつ退去できるとベターです。被害の拡大を防ぐため、周囲への「火事だー!」の知らせや、非常ベルがあれば押すことも忘れずに。

こんろも家電も同じ消し方で大丈夫? 状況別、最適な火の消し方

ものによっては、水をかけることが悪手な場合も。プラグを先に抜かなかったがために感電するような火災もあります。状況別の火の消し方を頭に入れておきましょう。

【こんろ】
油からの出火は、水をかけると火柱が上がるなど、かえって危険です。湿らせた布や座布団をかぶせて、火勢が強まる要因となる酸素を遮断しましょう。消火器も有効です。

【家電などの電気製品】
通電したまま水をかけると感電の危険が生じます。プラグを抜く、ブレーカーを落とすなどして電流を切ってから、水をかける、湿らせた布をかぶせるなどの対処を。消火器も有効です。

【ストーブ】
湿らせたシーツや布団などで、ストーブ全体を覆って酸素を遮断します。火が消えても高温状態が続くため、再発火の可能性があります。鎮火後も目を離さないようにしましょう。消火器も有効です。

【たばこ】
消火器が有効ですが、なければ布団や座布団で火を覆って消火します。最終的には水をかけて鎮火を確認。

【着衣】
自分の服に火がつくとパニックになって走り出しがちですが、そうするとかえって勢いよく燃えてしまいます。調理など火を使う場面では、たるんだ服やフリースなどの燃えやすい素材の服は避けましょう。もし服に火が広がってしまったら、止まって寝転び、火元を床に押し付けるように転がります。周囲の協力を得るなどして、迅速に水をかけましょう。

初期消火に失敗するのは、発見が遅れた場合や、消火器がなく対応もわからなかった場合です。常日頃から危険性を見極め、対処を想定し、消火器の常設をしておくことで最悪のケースに備えましょう。

また、最近では新しいタイプの消火器も登場しています。軽量でコンパクトサイズ、ガス火災にも有効で後が汚れないといった特徴があるため、設置する場所や消火後のことなどを考慮して選ぶとよいでしょう。

どんな家でもゼロではない火災のリスク。冬から春にかけては特に火元や電気機器に気を配り、家と家族を守るため、万が一に備えておきたいところです。

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矢島 史

やじま・ふみ フリーランスライター。暮らし、育児、教育系のブックライティング、一般社団法人ACCの会報誌ライターとしてクリエイティブ系の取材多数。整理収納コンサルタント・本多さおりさんのYouTubeチャンネル、Voicyでアシスタントとして出演中。高校生、中学生、小学生の三姉妹の母かつトレイルランニングとフットサルに夢中なアラフィフ。
https://yajimafumi.studio.site/top

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