国交省が保安基準を改正! ペダル踏み間違い事故を防ぐ加速抑制装置の基準を2026年1月から大幅強化
クリープ走行中の急加速まで抑える新ルールが始まる国土交通省は2026年1月9日、道路運送車両の保安基準を改正し、ペダル踏み間違い時加速抑制装置の性能要件を大幅に強化すると公表した。この改正は2026年1月11日から施行され、一部の規定については3月31日から適用される。
これまで主に停止状態からの急加速を対象としてきた基準を見直し、クリープ走行中(低速で前進している状態)での踏み間違いも抑制対象に含めた点が大きな変更点だ。駐車場や住宅街、店舗前といった生活圏で起きやすい事故への対策を現実的に強化される。
なぜ踏み間違い事故は減らないのか? 基準強化に至った背景
高齢化が進む日本では、運転操作ミスによる事故が後を絶たない。なかでもアクセルとブレーキの踏み間違いは、低速域から突然加速するため被害が大きくなりやすい。
国はこれまで段階的に安全装置の普及を進めてきたが、停止直後や低速移動中の事故が十分に防ぎきれていないといった課題があった。今回の改正は、国連の自動車基準調和の議論(WP.29)を踏まえ、実態に即した性能要件へ引き上げるものだ。
ここが変わる! 踏み間違い事故を防ぐ3つの強化ポイント
今回の保安基準改正では、主に3つの点が強化された。
1. 検知対象の拡大
新基準では、歩行者も検知対象に含める。従来は壁や車両などの物体を主な対象としており、人の動きが多い場面では十分な対応が難しいケースがあった。店舗前や住宅街での事故リスク低減につながるとみられる。
2. 作動条件の拡張
停止状態からの踏み間違いだけでなく、クリープ走行中でも急加速を抑制することが義務化される。信号待ち後の発進や駐車操作中など、実際の事故シーンを想定した改正だ。
3. 制御性能の高度化
障害物との距離や状況に応じて、より適切に加速を抑える制御性能が求められる。誤作動を抑えつつ、安全性を高める方向での進化といえる。
今回の基準強化は、実際の運転シーンを想定した国際的な検討を踏まえて定められている。日常の運転に近い条件で性能が確認される仕組みで、机上のルールにとどまらない実効性が意識された改正だ。日本で培われた安全技術をもとに、国際的な議論を経て基準が整備されてきた点も特徴といえる。
対象車種はここまで広がる―乗用車に加え貨物車も義務化へ
新基準では、加速抑制装置の義務化対象が、乗用車に加えて貨物車にも広がる。対象は車両総重量3.5トン以下のAT車で、軽貨物車や小型配送車も含まれる。
これまで義務化の中心は、定員10人未満の乗用車だったが、今回の見直しにより、物流・配送の現場で使用される車両にも対策が及ぶ。業務中の事故防止効果が期待される。
義務化の主な対象は新型車だったが、既存車でも後付けの加速抑制装置を装着できる場合がある。自治体によっては高齢者を対象に、後付け装置の導入を支援する補助金制度を設けている例もある。家族の車についても、ディーラーや整備事業者、自治体の窓口で確認したい。
誰にとっても無関係ではない…高齢ドライバーを支える新基準
踏み間違いは、認知機能の低下だけでなく、疲労や注意力の分散など、誰にでも起こりうる要因で発生する。新基準では低速域での抑制範囲が広がるため、自分は大丈夫と思っている人も守られる仕組みといえる。家族が高齢ドライバーの場合、安心材料の一つになる。
制度改正により、クルマ側の安全性能は確実に高まる。一方で、事故を減らすには運転者自身の意識も欠かせない。低速時こそ慎重に操作する、慌てない運転を心がけることが、最後のブレーキになる。進化する安全装備と運転者の意識、その両輪で事故防止を図りたい。
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