日本発のペダル踏み間違い事故防止技術が国連基準に! 国内でも法整備を進める方針
2025年6月に国連基準を発効国連の第194回自動車基準調和世界フォーラム(2024年11月12〜15日に開催)で、日本のペダル踏み間違い事故防止技術が国連基準となった。基準は2025年6月に発効する予定だ。
国土交通省は国連基準の発効に合わせ、国内でもペダル踏み間違い急発進抑制装置搭載の義務化へ向けた法整備を実施すると発表した。国内における自動車のアクセルとブレーキの踏み間違えによる事故の抑制を目指す。
ペダル踏み間違い時加速抑制装置が国連基準へ! 2025年6月の発効に合わせ国内も法整備を実施
2022年から日本が先導して進めてきた「ペダル踏み間違い時加速抑制装置(ACPE)」が、2024年11月に国連基準として正式に採用された。ペダル踏み間違い時加速抑制装置が各国で標準化されることにより、日本の技術が国際市場で広まりやすくなる。発効予定は2025年6月。国連基準が発効されることに伴い、日本でも義務化を進める方針だ。
国土交通省国際課によると、義務化の適応時期や対象車はまだ決定されておらず、今後関係者と話を詰めていくという。
国連で承認されたペダル踏み間違い時加速抑制装置の基準
国連の自動車基準調和世界フォーラムにおいて、以下の基準内容が承認された。
まず、急発進抑制に関する要件として、障害物が車両の1.0mまたは1.5m手前にある場合、停止状態からアクセルを完全に踏み込んでも障害物に衝突しないこと。もしくは衝突時8km/h以下の速度で、障害物がない場合と比べて車両速度が30%以上低下していることが定められている。
「衝突時8km/h以下の速度」とは、クルマが衝突する瞬間のスピードが8km/h以下となること。また「障害物がない場合と比べて車両速度が30%以上低下している」は、例えばフルアクセルで本来20km/hのスピードが出るはずが、障害物に近づくとスピードが6km/hまで下がるといったものだ。
ドライバーへの警報要件として視覚的な警報を義務付け、運転者が危険を即座に認識できるようにする必要もある。さらに、ペダル踏み間違い加速抑制装置機能の解除に関する要件も明確化された。具体的には解除中であることをドライバーに通知するシステムや復帰条件を設けるなどの一定条件を満たせば、機能を解除できる仕組みだ。万が一、踏切内で装置が作動しても、解除して速やかに脱出できるようにしている。
基準の対象車両については、自動変速機(AT)を搭載した、乗車定員9人以下の乗用車と決定されている。
2021年には国土交通省がペダル踏み間違い急発進抑制装置認定ロゴマークを作成
国土交通省「ペダル踏み間違い急発進抑制装置認定ロゴマーク」
ペダル踏み間違い急発進抑制装置の搭載は、これまで義務化の対象ではなかった。しかし2021年にはペダル踏み間違い急発進抑制装置の認定ロゴマークが作成されており、すでに国土交通省から認定を受けたクルマも存在している。
2021年4月より、ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能が認定された車両が登場している。そして、2024年12月現在では、先進安全技術(障害物検知機能付ペダル踏み間違い急発進抑制装置)の性能認定を受けた車両は457にのぼる。また、国土交通省認定の後付けのペダル踏み間違い急発進抑制装置も、各自動車メーカーにて販売されている。なお、後付けの装置はメーカーが型式申届を出し、申請が通ると認定ロゴマークをつけることができる。そのため、装置を後付けしたクルマすべてが認定ロゴマークの対象となるわけではない。
認定ロゴマークはメーカーのカタログなどに使用され、認定車かどうかが一目見てわかるようになっている。義務化されるまでにペダル踏み間違い急発進抑制装置が搭載されたクルマを購入したい場合は、認定ロゴマークを目印にクルマを購入するといいだろう。