ホンダ・シビックシャトルの車両イメージ(フロント外観)
文=津島 孝

週末はアウトドア、平日は街乗り。シビックシャトル4WDが描いた理想のカーライフ

乗用車の快適性と4WDの走破性を融合。RVブーム前夜に登場した多目的車の先駆け

乗用車の快適性と4WDの安心感を両立させた多目的車として登場したシビックシャトル4WD。広い室内と大容量の荷室でレジャー需要に応え、ホンダの乗用4WD思想の原点となった。

【1984年10月24日】
人気の「シビックシャトル」に4WD車を追加と発表!

シビックシャトル4WD-Jのリアビュー

大きなリアゲートと低い荷室開口はアウトドア用途での使い勝手も良好。後席を倒すことで大容量の荷室が生まれ、キャンプ用品やスポーツギアを積む用途に強く訴求した(写真は4WD-J)

1984年10月24日に発表されたシビックシャトル4WD(同年11月1日発売)は、レジャー需要の高まりと、雪道や悪路でも安心して走れるクルマへのニーズに応えるために開発されたモデルである。従来のクロスカントリー車とは異なり、乗用車の快適性と4WDの走破性を両立させた“多目的車”という新しい価値を提示した点が特徴だった。

開発コンセプトは「日常からレジャーまで幅広く使える多目的車」。広い室内空間と大容量の荷室を備え、キャンプやスキーなどアウトドア用途に対応しつつ、日常の使い勝手も重視した設計が行われた。

注目のポイントは、ホンダとして初めて本格量産した乗用車ベースの4WDシステムである。通常はFFで走行し、路面状況に応じてインパネのスイッチ操作だけで4WDへ切り替えられる“パートタイム4WD方式”を採用。複雑な操作を必要とせず、雪道や悪路での安定性を自然に高められる点は当時として画期的だった。

搭載された1.5L・CVCCエンジン(EW型)は扱いやすいトルク特性と優れた燃費性能を両立。サスペンションは前ストラット/後トレーリングアーム式で、乗用車らしい快適な乗り心地を維持しながら、4WD化による重量増を支えることで軽快な操縦性も確保した。ホイールベースの延長やトレッド拡大により、直進安定性も向上している。

エクステリアはシャトルらしい広いキャビンと大きなリアゲートを備え、荷室開口の低さもアウトドア用途での使い勝手を高めた。上級仕様には電動スモークドガラス・サンルーフを設定し、レジャー車としての魅力をさらに強めていた。

シビックシャトル4WDは、RVブームが本格化する以前に「乗用車の快適性を備えた4WDワゴン」という新しい価値を提案した先駆的モデルであり、ホンダの乗用4WD思想の原点として、後のCR-Vや多目的車へ続く流れを生み出した存在である。

【AR型 ホンダ・シビックシャトル4WD-J】
●全長×全幅×全高:4040×1645×1510mm ●ホイールベース:2450mm ●車両重量:980kg ●搭載エンジン:EW型(1488cc CVCC・水冷直列4気筒SOHC)

シビックシャトル4WD-Jの運転席まわり

インパネは、視界の広さと操作性を重視したシンプルで機能的なレイアウトが特徴。大型メーターと扱いやすいスイッチ類を備え、乗用車らしい快適性が確保されている。オーディオの右側に4WDの切り替えスイッチを設置

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