世界初のFFミッドシップ・縦置き5気筒! アコード インスパイア/ビガーが示した上級小型車の新基準
独創的レイアウトが生んだ軽快な走りと快適性。1989年、ホンダはセダンの常識を覆した世界初のFFミッドシップ・縦置き5気筒を採用し、軽快な操舵感と高速安定性を高いレベルで両立させたインスパイア/ビガー。インスパイアはラグジュアリー、ビガーはスポーティーとキャラクターを分けつつ、ホンダの技術思想を体現した革新モデルとなった。
【1989年10月12日】
ホンダ技術の結晶「アコード インスパイア/ビガー」発売!
ビガーの上級グレード(タイプX)の室内。本木目パネルとブラウン系トリムが上質感を演出し、センターコンソールにはオーディオや空調を機能的に配置。縦置き5気筒の滑らかな走りにふさわしいゆとりある室内空間を備えている
1989年に登場したアコード インスパイア(初代)/ビガー(3代目)は、ホンダが掲げた“上級小型車”という新しいカテゴリーを具現化したモデルだった。
両車は同じ技術思想を共有しつつ、インスパイアはクリオ店でラグジュアリー志向、ビガーはベルノ店でスポーティー志向と、販売チャネルごとにキャラクターを明確に分けていた。
注目は、世界初となるFFミッドシップ・縦置き5気筒エンジンレイアウトである。エンジンを前車軸後方に配置することで前後重量配分を適正化し、軽快な操舵感と高速域での安定性を高い次元で両立させた。
搭載されたG20A型は静粛性と滑らかな回転フィールを備えた2Lの直列5気筒で、一次偶力振動を抑えるバランサーや高剛性アルミブロックを採用。さらにエンジンを右側へ35度傾斜させ、オイルパンに中空部を設けてドライブシャフトを貫通させる独創的な構造により、低ボンネット化と低重心を実現していた。
このレイアウトは、FFの利点を最大限に活かし、2805mmという当時の小型車として破格のロングホイールベースを可能にした。結果としてFR車のようなロングノーズとショートオーバーハングを持つ伸びやかな4ドア・ハードトップのフォルムが生まれ、広い室内空間と上級車らしい乗り心地も獲得した。
吸排気系には可変インテークマニホールドを採用し、回転域に応じてポートを切り替えることでトルクの谷をなくし、全域で滑らかな加速を実現。前後ダブルウィッシュボーン式サスペンションと組み合わせることで、操縦安定性と上質な乗り味を高いレベルでまとめ上げている。
アコード インスパイア/ビガーは、単なる姉妹車ではなく、ホンダが考える「上級小型車」の新たな答えを示したモデルである。革新的なパッケージングと独自の5気筒エンジンが生み出す気持ちの良い走りは、今なお強い存在感を放ち続けている。
【CB5型 ホンダ・アコードビガーType X】
●全長×全幅×全高:4690×1695×1355mm ●ホイールベース:2805mm ●車両重量:1330kg(ホンダTCS+A.L.B.装着車) ●搭載エンジン:G20A型(1996cc 水冷直列5気筒SOHC)
アコード インスパイアの端正な4ドア・ハードトップ。ロングノーズとショートオーバーハングが生む伸びやかな4ドア・ハードトップのプロポーションが印象的。クリオ店専売のラグジュアリー志向らしく、装備構成も上級感を重視していた。写真は最上級グレードのAX-i