トヨタが変えたコンパクトカーの常識。FF化した3代目スターレットが若者を熱狂させた理由
高性能12バルブエンジンと軽快なFFレイアウトで時代を切り開いた名車3代目スターレットは、“ハイコンパクト&スポーティ”を掲げて全面刷新された。新開発エンジンは力強さと低燃費を両立させ、FF化と新サスペンションで軽快な操縦性を実現。2ボックスカーを“実用車”から“楽しさを求めるクルマ”へと進化させた。
【1984年10月1日】
FF化で楽しくなった3代目「スターレット」発売!
1.3Lのレーザーエンジンを搭載し、FF化による軽快な走りで人気を得た3代目スターレット。スポーティーグレードはエンジン回転数感応型パワステや60シリーズタイヤなどで操縦性能を高めた。ボディーサイドの「12VALVE EFI」が印象的だ
1984年10月1日に登場した3代目スターレット(EP70/71系)は、拡大する2ボックス市場に向けて“原点からの全面刷新”をテーマに開発された。
1980年代前半の日本では、若年層を中心にコンパクトカーへの需要が高まり、燃費・走り・使い勝手を高次元で実現した新しい小型車像が求められていた。スターレットはその潮流を捉え、「ハイコンパクト&スポーティ」というテーマを提示した。
最大の特徴は、1.3Lの新世代LASRE(レーザー)エンジンである。1気筒あたり吸気2・排気1の3バルブ構成(計12バルブ)とツインスキッシュ型燃焼室により、小排気量ながら力強さと低燃費を両立。キャブ仕様では10モード燃費23km/L、EFI仕様は最高出力93PSを発生し、よく走り、しかも燃費がいい小型車像を実現した。
シャシーも大幅に刷新され、FF化と新開発サスペンション〈PEGASUS〉を採用。フロントはマクファーソンストラット、リアは新設計のトレーリング・ツイストビーム式とし、軽快なハンドリングと安定性を両立させた。
装備面でもオートエアコン、5スピーカーのボディーソニック、電動サンルーフ、電動ミラーなど上級車並みの快適装備を採用。2ボックスカーが“実用車”から“個性と楽しさのあるクルマ”へ変化する時代に、その価値観を先導した。
3代目スターレットは、コンパクトカーの性能・品質・装備を一段引き上げ、1980年代の若者を中心としたカーライフを象徴する存在となった。
【EP71-PGMSE型 トヨタ・スターレットSiリミテッド(3ドア)】
●全長×全幅×全高:3700×1590×1380mm ●ホイールベース:2300mm ●車両重量:740kg ●搭載エンジン:2E-ELU型(1295cc 水冷直列4気筒OHC)
3ドアSiリミテッドのインパネは、水平基調のすっきりとしたダッシュボードに、大型のメーターや各種スイッチを機能的に配置。ブラックを基調とした内装が、精悍な雰囲気を演出している
FF方式のメリットを生かし、従来型に比べて余裕のある室内空間を確保。一部のグレードにはボディーソニックシステムもオプション設定された。写真のSiリミテッド(3ドア)では、オープンスルー・ヘッドレストを備えたスポーツシートを採用