若者を熱狂させた軽スポーツ! ホンダZが切り開いた「個性派軽自動車」の時代
軽自動車にデザインと遊び心を持ち込み、“自己表現のクルマ”という新たな価値を創造N360で軽自動車市場を切り開いたホンダが、若者の価値観の変化に応えて送り出した“小さなスペシャルティーカー”。軽自動車を実用の道具から自己表現のためのクルマへと拡張した、歴史的な一台である。
【1970年9月2日】
個性の時代の到来を告げる「ホンダZ」発表!
ホンダZの軽快な走りと斬新なデザインを表現するために、ジェット戦闘機とコラボした貴重なコマーシャル写真
1970年9月2日に発表されたホンダZ(同年10月20日発売)は、N360/NIII360で軽自動車市場を切り開いたホンダが、次のステップとして送り出した“小さなスペシャルティーカー”である。
いざなぎ景気が一段落し、若者の価値観が「実用」から「個性」へと移り始めた時代、ホンダは軽自動車にも新しい楽しさを求める層が生まれていると分析した。そこで掲げたテーマが、若い人のための「より個性的でスポーティーな軽乗用車」。ホンダZは、その価値観の変化に応えるモデルとして企画された。
メカニズムはN360系で確立した信頼性を継承しつつ、よりスポーティーな味付けを施した。空冷2気筒OHCエンジン、FFレイアウトという軽量でシンプルな構成ながら、軽快な走りを実現するための工夫が随所に盛り込まれている。
発売時のグレード構成は、31PSのエンジンを搭載した「ACT」と「PRO」、36PSのパワフルなエンジンを積む「TS」と「GT」の4種。1971年1月には前輪ディスクブレーキを装備した「GS」が追加され、走りを求める若者の期待に応えるラインアップが整えられた。
ホンダZは、軽自動車を“実用の道具”から“自己表現のための小さなクルマ”へと拡張した存在である。N360が国民車としての役割を果たした後、その枠を超えて軽自動車の新しい価値を提示した点にこそ、このモデルの歴史的意義がある。
【SA型 ホンダZ(GS)】
●全長×全幅×全高:2995×1295×1275mm ●ホイールベース:2000mm ●車両重量:525kg ●搭載エンジン:N360E型(354cc 空冷直列2気筒OHC)
外観はロングノーズ・ショートデッキの躍動的なプロポーションに、大きく傾斜したリアガラスハッチを組み合わせたスタイル。このリアガラスハッチはエアロビジョン(通称:水中メガネ)と呼ばれ、スペシャルな雰囲気を演出した