なぜシビックとは別に作られた? ホンダ「バラード」が目指した上級FFセダンの理想
シビックの陰に隠れながらも、CR-Xやインテグラへ続くホンダの未来を築いた戦略車バラードは、省エネ化と小型車需要の高まりを背景に開発されたFFセダン。高効率なエンジンと広い室内、上質なデザインを融合し、ホンダ・ベルノ店の基幹車としてブランド拡大に貢献。ホンダの欧州進出を支える役割も果たした。
【1980年8月27日】
ホンダの成長を支えた初代「バラード」発売!
落ち着いたトーンで統一されたバラード1500 FXEの室内は、直線基調のインパネと視認性の高いアナログメーターが特徴。操作系はドライバーの手元に集約され、当時のホンダらしい機能美が感じられる。明るいファブリックシートは厚みのあるクッションで快適性を重視し、コンパクトセダンながら上級感のある空間に仕上げられていた
ホンダの初代バラードは、急速に進む省エネルギー化と小型車需要の高まりを背景に誕生したFF4ドアノッチバックセダンである。
当時の日本は第二次オイルショック後で燃費性能が重視され、世界的にも小型・軽量・高効率のFFセダンが求められていた。ホンダはCVCCエンジンで排ガス規制を先行突破した勢いを生かし、FF技術の蓄積と500万台の生産実績をもとに、新たな小型セダン像を提示。それがバラードだった。
バラードは2代目シビックの兄弟車として開発され、より上級でスポーティーな位置づけを与えられた。ロングノーズ・ショートデッキの台形フォルム、角形ヘッドライト、ワイドトレッドによる安定感など、当時のホンダが掲げる“ワイド&ロー”のデザイン哲学を反映。室内はフルトリムドアや集中配置のインパネなど、質感が重視された。
パワートレーンは1.3L(72PS)と1.5L(80〜85PS)のCVCC-IIエンジンを搭載。1.5Lはクラストップの燃費17.5km/L(10モード)を実現した。
FF横置きエンジンの利点を生かした広い室内、静粛設計のボディー、4輪独立懸架による快適な乗り心地など、実用性と走りのバランスが追求されている。
バラードはホンダが1978年に新設した販売網「ベルノ店」の大衆車として重要な役割を担い、同社のラインアップ拡大と販売網強化に貢献。また英国では「トライアンフ・アクレイム」としてライセンス生産され、ホンダの欧州進出を支える戦略的モデルにもなった。
販売面ではシビックの陰に隠れたものの、のちに大ヒットする「バラードスポーツCR-X」へと発展し、ホンダのスポーティーイメージ形成に大きく影響。1980年代のホンダの成長を支えた“静かなキーモデル”といえる。
【ST型 ホンダ・バラード1500 FXE(5MT)】
●全長×全幅×全高:4095×1600×1345mm ●ホイールベース:2320mm ●車両重量:835kg ●搭載エンジン:EM型(1488cc CVCC水冷直列4気筒OHC)
兄弟車のシビックより上級でスポーティーな位置づけを与えられ、ロングノーズ・ショートデッキの台形フォルム、角形ヘッドライト、ワイドトレッドによる安定感などが特徴的だった。英国では「トライアンフ・アクレイム」としてライセンス生産されていた。存在感は薄かったが、後の「バラードスポーツCR-X」につながるキーモデルとなった