夏場の高速道路のほか冬場も要注意!? JAF隊員が語るオーバーヒートの原因と防止策
#11 オーバーヒートの防止策猛暑の高速道路などで発生しやすい「オーバーヒート」。エンジンの温度が異常に上昇することで、重大な故障につながる可能性がある。10年以上前は夏場の代表的なトラブルとして多く見かけたが、近年は救援数が大幅に減っている。ただし、新規登録から10年以上経過した古いクルマは要注意。今回はオーバーヒートの主な原因、予防策、そして発生した際の対処法について、JAFロードサービス隊員に聞いた。
教えてくれたのはこの隊員!
宮城支部ロードサービス隊 仙台南基地
服部航平(はっとり・こうへい)隊員
【趣味・特技】 自然相手のスポーツ
【好きな言葉】 現状維持は衰退
【好きな食べ物】 高級じゃない料理
【休日の過ごし方】 子供といろいろな公園に行って「リア充」気取り
救援件数は少ないが、重大な故障につながるので要注意!
──オーバーヒートの救援要請はどのくらいありますか?
2024年度のJAFの出動件数は 約229万5000件(四輪・二輪合計)。出動理由の上位は「バッテリー上がり」「タイヤのパンク」「落輪・落込」などで、「オーバーヒート」による出動理由はトップ10にも入っていません。ですが2024年のゴールデンウイーク期間では、高速道路で「ラジエーター」関連のトラブルが26件、「冷却水不足」が22件、計48件の救援件数がありました。宮城支部で2024年度に救援した冷却系の故障は364件ありました。
トラブルの発生件数はひと昔前に比べ非常に少なくなっていますが、冷却系の故障は走行不能など重大な故障となるケースもあります。特に新規登録から10年以上が経過し、10万km以上走行している車両は注意が必要です。
──オーバーヒートが発生する原因は?
オーバーヒートは何らかの原因で冷却水が不足して発生します。その原因はラジエーターやホース類の破損、ウォーターポンプや冷却ファンの故障などさまざまです。まずは冷却水が規定量入っているか確認しておきましょう(服部隊員)
オーバーヒートが発生する原因の多くは、冷却水不足によるものです。ラジエーター本体やキャップ、ホース類が破損して冷却水が漏れていたり、ウォーターポンプや冷却ファンなどの部品の故障により、冷却が不十分になると、エンジンが過熱し走行できなくなってしまいます。
オーバーヒートは夏場のトラブルというイメージが強いですが、冬場でも発生しています。冬場は寒さによりゴムホースなどの劣化が進みヒビ割れが発生し、冷却水が漏れてしまうこともあります。また、近年のラジエーターは上下の部品が樹脂でできていることが多いため、経年劣化などで冷却水漏れが起こることもあります。
──どんな症状でオーバーヒートに気づくのですか?
駐車場に止めたクルマの下を見たときに、地面に水たまりができていて冷却水漏れに気づく方もいます。また、冷却水には赤や青、緑といった色が付いているので、冷却水が漏れて乾くとその色が残ります。まるで花が咲いたように見えるため、ボンネットを開けたときにその状態を見て異常に気づくこともあります。
最近のクルマは完全に故障する前に警告灯が点灯するようになっていますので、警告灯がついた時点で救援要請をいただくケースが多いイメージです。完全にオーバーヒートして、ボンネットから水蒸気が噴き出すようなケースは、現在ではかなりまれですね。
また、ハイブリッド車でもメインバッテリーの冷却ファンのフィルターが詰まると、バッテリーの冷却ができなくなり、オーバーヒートのような状態になるケースもあります。
うっかりミス! ウォッシャー液の入れ間違いにも注意!?
オーバーヒートとはちょっと異なりますが、冷却水のリザーバータンクに誤ってウォッシャー液を入れてしまうケースもあります。少しでも入れてしまったら全交換や洗浄が必要となりますので、ご注意ください。
意外に多いのがウォッシャー液を補充しようとして、間違えて冷却水のリザーバータンクに入れてしまうトラブル。補充前には念のため取扱説明書で補充場所を確認しておきましょう(服部隊員)
オーバーヒート防止のチェックポイントは?
まずは、日常点検でリザーバータンクに冷却水が適量まで入っているかを確認してください。LOW(またはMIN)ラインより少ない場合は、冷却水が漏れている可能性がありますので、整備工場などで早めに点検をしてください。また、水温計が付いている車両では、走行中も異常がないかこまめに確認するようにしましょう。
オーバーヒートの原因の多くは冷却水不足によるもの。日常点検で冷却水の量を確認しておきましょう。リザーバータンク内の冷却水が規定量よりも減っている場合は、整備工場などで早めの補充と点検をしてください(服部隊員)