右折待ち。路面電車の軌道敷に入って待ったら、違反?
道路交通法や道路運送車両法など、覚えておきたい交通ルールをクイズでチェック!路面電車の軌道敷がある交差点を右折する際のクイズをお届け。道路を通行するにあたっては、道路交通法をはじめ道路運送車両法など、守らなければならない交通ルールがありますが、長く運転しているうちに違反かどうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。
旅先でレンタカーを借りたときのことです。路面電車が市街地を走っています。自分の住まいの地域に路面電車はないので、電車と一緒に道路を走るのは新鮮な気分でした。
ある交差点で右折するとき、離れたところから路面電車が接近しているのは確認しましたが、近くに来るまでには右折できると思い、いつものように交差点の中央に寄って路面電車の軌道をまたぐ格好で右折待ちをしました。
しかし、思いのほか対向車が途切れず、近づいてきた路面電車の通行を妨げてしまいました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?
- 1.路面電車の運行に支障をあたえたので、違反
- 2.軌道敷に立ち入って右折したので、違反
- 3.軌道上であっても公道なので、どこを通っても違反ではない
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答え:1. 路面電車の運行に支障をあたえたので、違反
路面電車が通行するために、軌道(レール)間とその周辺(左右に61cmの範囲)には軌道敷が設けられ、通常は敷石などで区分されています。
軌道敷内では、左折、右折、横断、転回のために横切る場合、又は危険防止のためやむを得ない場合(道路交通法第21条第1項)、道路の幅が狭かったり、道路の損壊や工事などのために、軌道敷を除いた道路の幅が車両の通行に不十分な場合、「軌道敷内通行可」の標識がある場所を除いて、車両の通行が禁止されています(同条第2項)。軌道敷内通行可の標識がある場合は自動車も通行できる。ただし、この道路は「二輪を除く」という補助標識があるので、2輪車は進入できない
車両が軌道敷内を通行する場合は、路面電車が近づいてきたときには、その正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに軌道敷の外に出るなどしなくてはなりません(同条第3項)。
右折のために軌道敷を車両が通行することは許されますが、それによって路面電車の正常な運行を妨げることは許されません。
従って、正解は1の「路面電車の運行に支障をあたえたので、違反」となります。
軌道内で右折待ちをすると、結果的に路面電車の運行を妨げてしまうことがあります。右折のため軌道敷内を通行するときは、速やかに軌道敷の外に出られるようにし、右折待ちは軌道敷にかからないようにして停止するようにしましょう。
道路交通法
(軌道敷内の通行)
第21条 車両(トロリーバスを除く。以下この条及び次条第1項において同じ。)は、左折し、右折し、横断し、若しくは転回するため軌道敷を横切る場合又は危険防止のためやむを得ない場合を除き、軌道敷内を通行してはならない。
2 車両は、次の各号に掲げる場合においては、前項の規定にかかわらず、軌道敷内を通行することができる。この場合において、車両は、路面電車の通行を妨げてはならない。
1 当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分の幅員が当該車両の通行のため十分なものでないとき。
2 当該車両が、道路の損壊、道路工事その他の障害のため当該道路の左側部分から軌道敷を除いた部分を通行することができないとき。
3 道路標識等により軌道敷内を通行することができることとされている自動車が通行するとき。
3 軌道敷内を通行する車両は、後方から路面電車が接近してきたときは、当該路面電車の正常な運行に支障を及ぼさないように、すみやかに軌道敷外に出るか、又は当該路面電車から必要な距離を保つようにしなければならない。
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松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。