監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき

道路の右側を自転車で通行したら、違反?

あなたの行動、ひょっとしたら違反かも

今回のクイズは、よく見かけるうえに老若男女問わずやってしまう自転車での右側通行について。 運転歴が長くなると、違反かどうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

自転車で日中、片側1車線の市街地の車道の左側端を走っていると、正面から子供を乗せた自転車が向かってきました。このままでは自転車と交錯することや、しばらく先で右折する予定であり、日差しも強かったこともあって、街路樹の日陰がある道路の右側端に進路を変えて進行しました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:1. 道路の右側端に沿って通行したので違反

自動車が道路の左側を通行しなければならないことは、運転免許を持っている人であれば誰でも知っていることです。しかし、自転車に乗ると途端に、右側通行をする人が目に付きます。

自転車(軽車両)を含む車両は、歩道または路側帯と車道の区別のある道路では車道を通行しなければならず(道路交通法第17条1項)、自転車の通行区分として指定された車両通行帯がない場合には、道路の左側端を通行しなければなりません(道路交通法第18条1項)。

従って正解は1の「道路の右側端に沿って通行したので違反」です。

なお、車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合し、かつ他の車両を牽引していない自転車(普通自転車)は、自転車道が設けられているときは原則としてそこを通行する義務がありますが(道路交通法第63条の3)、例外的に歩道を通行することが許される場合があります。

具体的には、①道路標識等により歩道通行が許されている場合、②運転者が児童・幼児、70歳以上の者・身体障害者など車道を通行することが危険だとして政令で定めた者の場合、③その他、車道又は交通の状況に照らして、当該自転車の通行の安全を確保するため歩道を通行することがやむを得ない場合です(道路交通法第63条の4第1項)。

自転車が歩道を通行する場合には、「歩道の中央から車道寄りの部分、あるいは道路標識等により自転車が通行すべき部分として指定された部分(普通自転車通行指定部分)」を通行しなければならず、かつ徐行する義務、歩行者の通行を妨げることとなる場合には一時停止する義務があります(道路交通法第63条の4第2項)。

このように、自転車は車道、歩道のいずれを通行するのかによって、通行にあたっての義務が異なるので注意が必要です。

自転車で車道の右側を通行をすると、左側を正しく通行している自転車と衝突する危険があるばかりでなく、駐車車両などがあると対向車から見落とされることにもつながり、事故の危険が高まります。

自転車に乗って車道を通行する場合は、車道の左側端を通行するようにしましょう。


道路交通法
(通行区分)
第17条 車両は、歩道又は路側帯(以下この条及び次条第1項において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第47条第3項若しくは第48条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。
(以下略)

(左側寄り通行等)
第18条 車両(トロリーバスを除く。)は、車両通行帯の設けられた道路を通行する場合を除き、自動車及び一般原動機付自転車(原動機付自転車のうち第2条第1項第10号イに該当するものをいう。以下同じ。)にあつては道路の左側に寄つて、特定小型原動機付自転車及び軽車両(以下「特定小型原動機付自転車等」という。)にあつては道路の左側端に寄つて、それぞれ当該道路を通行しなければならない。ただし、追越しをするとき、第25条第2項若しくは第34条第2項若しくは第4項の規定により道路の中央若しくは右側端に寄るとき、又は道路の状況その他の事情によりやむを得ないときは、この限りでない。
(以下略)

(自転車道の通行区分)
第63条の3 車体の大きさ及び構造が内閣府令で定める基準に適合する自転車で、他の車両を牽引していないもの(以下この節において「普通自転車」という。)は、自転車道が設けられている道路においては、自転車道以外の車道を横断する場合及び道路の状況その他の事情によりやむを得ない場合を除き、自転車道を通行しなければならない。

(普通自転車の歩道通行)
第63条の4 普通自転車は、次に掲げるときは、第17条第1項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。
一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。
二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。
三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき。
2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

自転車の交通ルールの再確認に加え、状況に応じた対応方法をクイズでお届けしています。


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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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