電動キックボードの新しい規格ができ、足こぎ式でも問題ないと思い、交通がひんぱんな路上で乗った…。これって違反?
あなたの行動、ひょっとしたら違反かも運転歴が長くなると、違反行為かどうかを気にせずハンドルを握ることも多くなりがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。今回は、足こぎ式のキックボードで街中を走る際のクイズです。
蹴る力で走るキックボード(原動機のついていないキックボード)に乗って、買い物客などでにぎわう、両脇に商店が並んだ一方通行の道路を走行しています。あちこちに歩行者が歩いているので、歩行者に迷惑がかからないよう、道路の左側の車道をキックボードで通行しました。
この行為は、以下の選択肢のうちどれに該当するでしょうか?
- 1.路側帯の内側を通行しなかったので違反
- 2.交通の頻繁な道路でキックボードに乗ったので違反
- 3.歩行者の安全に留意しているので、違反にはならない
-
答え:2 交通の頻繁な道路でキックボードに乗ったので違反
足こぎ式のキックボードは、道路交通法上、自転車のような軽車両ではなく遊具とされます。ただし、遊具だったら、道路でどのように使ってもよいということではありません。道路交通法第76条第4項第3号は、「交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。」を禁止しており、足こぎ式キックボードで走行することは、ローラー・スケートをすることに「類する行為」に含まれるとされていますから、道路の状況によっては走行が禁止されます。
道路がどの程度混雑していたら「交通のひんぱんな状態」となるかは、道路の広さや通行する車両・歩行者の量により判断されますが、買い物客などでにぎわう両側に商店が並んだ道路ということですから、これに該当すると考えられます。
足こぎ式キックボードで遊ぶときには、周囲の交通に対して迷惑とならない、人や車の交通がひんぱんな道路を避けて遊ばなくてはなりません。
従って2が正解です。
2023年7月より、電動モーターを装備したキックボードは一般的に、一般原動機付自転車と特定小型原動機付自転車とに区分されるようになりました。特定小型原付自転車に該当するもの(特定原付。法の定める規格を備え、最高時速20kmで、やむを得ず歩道を通行しなければならない場合は、特例特定小型原付として時速6kmで通行できるもの)はナンバー登録や自賠責保険への加入が必要ですが、16歳以上であれば運転免許が不要となります。特定原付にあたらない一般原動機付自転車以上の規格の電動キックボードはさらに、バイク用ヘルメットの着用や電動キックボードの規格に合う免許が必要です。
キックボードには、原動機の有無や性能・機能によっていくつもの区分に分かれ、法律上の規制も異なります。自分のキックボードがどの区分にあたるのかを確認し、ルールに従って走行することが必要です。
道路交通法
(禁止行為)
第76条
(中略)
4 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
(中略)
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
松居英二
まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。