右折時、右後方から襲いかかる信号無視の逆走自転車…事故鑑定人が解説する、ドライバーが身を守る防衛運転
4月からの「青切符」導入でも止まらない? ドライバーが身を守るための盾とは【本当にあったヒヤリハット】
2026年4月、自転車による交通違反に対して交通反則通告制度(青切符)が導入されました。これまで以上に自転車の走行マナーや交通ルールの遵守が注目されるなか、道路を共有するドライバーからは、不測の事態を不安視する声も聞かれます。
今回は、右折矢印信号に従って進行した際に「信号無視の自転車」と遭遇した、あるJAF会員の体験談をピックアップ。変化する交通環境において、万が一のトラブルから身を守り、誰もが「加害者」にも「被害者」にもならないための自衛策について、交通事故鑑定人の熊谷宗徳氏が解説します。
右折矢印を確認し進行すると…
右後方から車道を逆走してきた自転車が急襲
宮城県在住、50代男性の体験です。
「夕暮れ時の交差点、私は自車側の『右折矢印信号』が点灯したのを確認しました。当然、右側、右前方、そして横断歩道に歩行者がいないことを確認し、ゆっくりと進行を開始したその時です。
なんと『右側逆走』で車道を走行してきた一台の自転車が、赤信号を無視し、横断歩道の手前に突っ込んできたのです。急ブレーキを踏み、間一髪で回避できましたが、信じられないことです。最低限、信号だけは守ってほしい——。安全を確保するために神経をすり減らしている自動車ドライバーにとって、これほど理不尽な事態はありません」
ドライバーが振り返る、
「認知のゆがみ」と現代のリアル
事故を回避したドライバーは、こう振り返ります。
「その時は、交差点の信号機によって交通が規制されている以上、まさか『信号無視』かつ『逆走』で突っ込んでくる自転車がいるとは想像していませんでした。自分が相手の立場なら、けがや後遺症のリスクを考えて絶対に信号を守るはず。そんな『常識』を顧みない相手がいるとは……。
当時の自分に警告するならば、『信号機の標示はあっても、安全確認には念には念を入れ、何度も行うべきだ』ということです。残念ながら、今の時代は自分本位に動く人の割合が増えているように感じます。自分や家族を守るためには、信号機も過信せず、防衛意識を持つしかないのだと痛感しています」
【交通事故鑑定人の見解】
「右後方」こそが右折時の死角! 自転車青切符時代の護身術
日本の道路事情では、歩行者を守る歩道さえ設置できないような幅の狭い道路が多数存在し、その道路で歩行者が歩行し、自転車も走行している中を、自動車は事故を起こさないよう安全に走行しなければなりません。
自動車が交差点を右折中、右後方から自転車が逆走してきて、右折巻き込みという形で衝突するケースは少なからず発生しています。
4月1日から自転車に対する交通反則通告制度、いわゆる青切符が導入された背景には、自動車と自転車が関係する交通事故でも、自転車側の違反が主な原因となり、自転車側が第一当事者(事故の関係者のうち、過失が最も重い人)となる事故が、相変わらず多く発生しているという事情があります。
私自身も通勤ルートで同じようなヒヤリハットに遭った経験があります。それ以来、右折時には以下の「2ステップ確認」を徹底しています。
1.対向車が切れるまで「ルームミラー」で右後方からの進行車(自転車・バイク)を確認する。
2.対向車が切れたら「右後方を目視」して死角を消す。
クルマを運転していると、なかには交通ルールを無視して縦横無尽に走行する自転車も見かけます。以前「自転車は「交通弱者」じゃない! 26年4月の自転車“青切符”導入で変わる、自転車とドライバーの関係」でもお伝えしましたが、運転免許を持たない歩行者や自転車ユーザーは、体系的に交通ルールを学ぶ機会はほとんどありません。「ドライバーの常識」を知らない方が路上にいるという事実も把握したうえで、常に歩行者、自転車が飛び出してくる「かもしれない」という、「かもしれない」運転を心がけることが大切です。
万が一、こうした無法な自転車と衝突してしまった場合、あなたの潔白を証明する武器は「ドライブレコーダー」の映像です。 けがをするのは大抵自転車側ですが、自転車側の違反が事故の直接的な原因であれば、彼らは「道路交通法違反の被疑者」として捜査されます。
とはいえ、自動車側も「安全不確認」などの過失を問われ、自動車運転過失致死傷罪の被疑者とされる可能性はゼロではありません。このヒヤリハットを教訓に、「どんな相手とでも事故を起こさない」という強い防衛運転の意識こそが、あなた自身の人生を守る最大の盾となるのです。
2026年4月、改正道路交通法の施行により、自転車とドライバーの関係に一石が投じられました。しかし、罰則が強化されたとしても双方の安全義務に変わりはありません。ドライバー側はこれからも「かもしれない」運転を心掛け、「右折時の右後方確認」を習慣化しましょう。
自転車に関する記事はこちら!

熊谷宗徳
くまがい・むねのり 元千葉県警の交通事故捜査官で、現在は交通事故鑑定人として活躍している。1993年に市川警察署に配属され、交番勤務を経て交通課事故捜査係などに所属。1999年には巡査部長に昇任し、千葉県警第二機動隊水難救助隊にも所属した経験を持つ。現在は交通事故調査解析事務所の代表を務め、交通事故鑑定や事故現場の調査、ドライブレコーダー映像の解析などを行っている。また、テレビのニュース番組でのコメンテーターや、Yahoo!ニュースのエキスパートコメンテーターとしても活動している。
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