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運転中の眠気を防ぐ快眠のススメ

眠気をコントロール! 良質な睡眠のためのTo Do

2023.03.28

イラスト=古村耀子

2023.03.28

イラスト=古村耀子

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日ごとに寒さが緩んで、春の訪れを感じるこの頃。待ちに待ったシーズンですが、心地よい陽気の影響なのか、「目覚めがよくない」「日中でも眠くなる……」といった声が聞かれる季節でもあります。とくに春の運転中は、眠気に襲われてしまうことも多いのでは? その一方で、夜の眠りが浅くなってしまう、長引くコロナ禍による生活リズムの変化やストレスによりうまく睡眠がとれないという悩みの声も。
そんな眠くて困ってしまう方、眠れなくて困っている方に向けて! “夜グッスリ、朝シャッキリ”を目指す「質の良い睡眠をとるヒント」、さらには「快適ドライブのための眠りのコントロールのヒント」を、快眠セラピストの三橋美穂さんに指南していただきました。

快眠度セルフチェック!

良い睡眠とは睡眠の「量」と「質」が充実している状態です。1つでもチェックがあった人は、良い睡眠がとれていない可能性があります。
睡眠時間が短すぎて量が足りない、または睡眠が浅く質が良くない状態なので、以下を参考に睡眠力を向上させましょう。

気持ち良い目覚めを迎えるための快眠メソッド

朝、気持ち良く目覚めるためには、まず睡眠不足にならないことが大切です。必要な睡眠時間は個人差がありますが、20~50代は7~8時間、60歳以降は6~7時間が目安。1週間ごとに寝床にいる時間を変えて、日中の体調を観察してみてください。もっとも体調がよかったときが、自分にとってベストな睡眠時間です。

起床時に首や肩が凝っている人は枕の見直しを、腰に違和感があればマットレスの見直しをしてください。体にあった寝具を使うと体の力みがなくなり、目覚めがスッキリします。

寝室は暗い方が熟睡できますが、起床時に暗いままだと目覚めにくくなります。カーテンのすき間を少し開けて寝てください。カーテンを自動で開閉させる「目覚ましカーテン」や、起床時刻に向かって徐々に照明が明るくなる「目覚ましライト」も便利です。

スヌーズで二度寝している人におすすめの方法があります。それは、目覚まし時計を遠くに置くこと。立ち上がって大きな筋肉に力が入ると交感神経が刺激されるので、スッキリ目を覚ますことができます。

・ 自分にとってベストな睡眠時間を知る
・ 体に合っているか? 寝具の見直し
・ 就寝時は暗く、起床時は光を入れる工夫を

ベットからめざめたイラスト

眠れない…その原因別対処法

眠れない原因はさまざまですが、まず考えられるのが、加齢による影響。睡眠ホルモンであるメラトニンの分泌量は10代をピークに急激に低下していき、50代では10分の1以下になってしまいます。日中に太陽光を浴びて、夜暗くなるとメラトニンが分泌されるので、太陽光を毎日30分以上浴びることを心がけてください。

睡眠リズムの乱れは時差ぼけ状態を作りだし、不眠の原因になります。これを専門用語で「ソーシャルジェットラグ(社会的時差ぼけ)」と呼んでいて、警鐘が鳴らされています。休日も平日と同じ時刻に起き、規則正しい生活を心がけましょう。

単純なことですが、夕方以降にうたた寝すると、夜に眠れなくなります。眠気のもととなる睡眠物質が減ってしまうので、それが再びたまるまでに時間がかかるからです。就寝前8時間は眠らないようにしましょう。

また、ストレスは脳も体も緊張させ、眠りを遠ざけます。体にグーッと力を入れて、フワッと力を抜く「筋弛緩(きんしかん)法」というリラックス体操が効果的。入眠が早くなり、中途覚醒が減り、熟睡感も高まるなど、睡眠に良い効果が確認されています。

・ 日中に太陽光を浴びる
・ 規則正しい生活リズムを
・ 就寝前8時間はうたた寝しない
・ 筋弛緩法など体操でリラックス

ウォーキングのイラスト

長時間運転を控える前日は何時間睡眠がベスト?

運転前夜は7~8時間程度の十分な睡眠をとって、体調を整えましょう。1週間前から計画的に、「睡眠負債」を返済しておくことも大切です。睡眠負債とは睡眠不足の蓄積のこと。6時間睡眠が2週間続くと、2晩徹夜した状態に近い脳機能低下が起こると報告されています。
ぐっすり眠れるように、日光浴も意識的に行いましょう。室内の明るい窓際でも、十分な光量が得られます。

そして、就寝時刻の2時間前に40℃程度のお湯に15分入浴して、体温の変化で眠気を誘いましょう。入浴で上がった体温が下がるタイミングで、ジェットコースターが急降下するように深い眠りに入っていけます。もし緊張して眠れない場合は、筋弛緩法を行ってみてください。

十分な睡眠をとっていても、体内時計のリズムで昼下がりに弱い眠気が訪れます。また、人間の脳が正常に機能するのは、起床後13時間後までといわれています。休憩と仮眠を長時間運転のスケジュールに入れて、安全第一でいきましょう。

・ 7~8時間の十分な睡眠を
・ 就寝2時間前に入浴が効果的
・ 運転スケジュールに休憩と仮眠を組み込んでおく

入浴しているイラスト

どうする!? 運転中に眠気に襲われたときの対処法

運転中に眠気に襲われたときは、仮眠をとるのが一番です。
コーヒーを飲んで眠気をやり過ごせたように思えても、実は脳機能は低下したまま。眠気のもととなる睡眠物質が睡眠中枢に働きかけるのをカフェインがブロックするだけで、脳の疲れは取れません。注意力や判断力は低下しているので、そのまま運転し続けるのは危険です。

仮眠がとれる場所までは、ガムをかんだり、歌を歌ったり、手をつねったり、ミント系のアロマを嗅ぐなど、五感に刺激を与えて乗り切ってください。

パーキングに停車したら、まずコーヒーを飲みましょう。仮眠の時間は15~20分。カフェインの覚醒作用は飲んでから30分後くらいから効きはじめるので、寝覚めがスッキリします。30分以上眠ると深い睡眠に入ってしまうので、目覚めた後に眠気や疲労感が残りやすくなります。あくまでもウトウト状態にとどめておくのがポイントです。

仮眠をとるときは、背もたれを120度に倒すとリラックスして入眠しやすくなります。顔にタオルやハンカチをかけて、安心して眠れる環境で脳の疲れを回復させましょう。

・ 眠気に襲われたら無理せず仮眠
・ ガムやミント系アロマを常備
・ コーヒーを飲んで、15~20分の仮眠が効果的

車を運転しているイラスト

三橋美穂さんの画像

みはし・みほ 快眠セラピスト・睡眠環境プランナー。寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。著書に『眠トレ! ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)など、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)は100万部を突破。https://sleepeace.com/

運転中の眠気について、もっと知りたい方はこちらもクリック!

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