【後編】松丸亮吾を育んだ「興味をつぶさない」教育
松丸亮吾 インタビュー 後編芸能界にもファンが多いという「謎解き」。その近年のブームの火付け役として知られるのが松丸亮吾さん(26)は、2019年に自ら設立した「RIDDLER(リドラ)」の社長業をこなしながら、「謎解きクリエイター」としてドラマ、映画、企業広告など多方面のメディアに企画、出演で活躍。幅広い層に支持されています。
幼少期のドライブの思い出や、運転免許取得への思い、将来乗ってみたい車について伺った前編に続き、後編では共演者との撮影裏話や、自身を育んだ教育、今後の活動についての思いを伺いました。
ドライブに誘うなら「Hey! Say! JUMPの有岡くん」
ーー免許を取って、松丸さんの運転でドライブをするとしたら、誰を誘いたいですか?
松丸:Hey! Say! JUMPの有岡(大貴)くんです。今年の夏、『ヒルナンデス!』(日本テレビ系列)で有岡くんと伊豆旅行をする企画があったんですが、僕が免許を持ってないから全部運転してもらっちゃったんですよ。しかも、レンタルしたのがマニュアルのトゥクトゥク(三輪タクシー)で……。マニュアルはほぼ運転したことがないから、ロケの中ですごく練習もして、一日中頑張って運転してくれて。
だからもし僕が免許を取ったら、伊豆でいっぱい運転してもらったお返しに、僕が運転して案内します。
ーーどこに連れて行きたいですか?
松丸:有岡くんも僕もサウナがめちゃくちゃ好きなので、ちょっと遠出して地方のサウナ施設とかに行きたいですね。
ーーどんな話がしたいですか?
松丸:有岡くんとは昨年、一緒に謎解きをテーマにした舞台を作ったのですが、コロナ禍なので打ち上げみたいなことができていなくて。だからいつかドライブでもして、「あれは大変だったよね」「次やるとしたらこういう舞台をやりたいよね」って話をしたいです。あとは、「もっと謎解きが強くなりたい!」って言ってたから、コツを伝授したり(笑)。謎解きドライブ、楽しそうですよね。
同世代の芸能人と語った「これからの10年」
ーー同世代の出演者でいうと、『ゼロイチ』(日本テレビ系列)では指原莉乃さんやフワちゃんと共演されています。同世代だからこそ「感覚が近いな」と思うこともあったりするのでしょうか?
松丸:これはその2人に限りませんが、同世代は潜在的に将来に対して不安がある人が多いのかなと感じます。
泊まりのロケで、その日の撮影が終わったあとに3人でざっくばらんに話せる機会があったんです。フワちゃんって僕とは性格的に対極にいるイメージがあったので、番組で一緒になると聞いたとき、仲良くできるかちょっと不安で。でも、そこでフワちゃんのイメージがガラッと変わったんです。
急に「10年後の私たちって何してるかな」って言い出して……。「この人めっちゃ面白いな」と思いました。「とにかく今を楽しむ!」って感じのフワちゃんでも、やっぱり将来のことを気にしているんだなって。それに、すごくいいテーマだなと思いました。「10年後、僕はこういうことしたいんだよね」と言うと、フワちゃんは「私はこうなっていたい」というのがあって。指原さんも「こうなれるかな」って話をしてくれて、すごく絆が深まりました。
ーーそれは確かに意外な一面ですね。逆に、他のお二人の話を聞いて、お互いに「ここが違うな」という部分はありますか?
松丸:みんな活動内容や表現の方法はそれぞれ違うなと思います。僕は謎解きの面白さをみんなに伝えていきたいという目的がまず軸としてあって、そのために社長業、謎解きクリエイター、芸能活動の“三足のわらじ”を履いてやっています。
フワちゃんは、よりクリエイティブのほうに挑戦し始めてるのかなと思いました。最近、公式サイトがすごくバズったり、声優に挑戦したり。指原さんは、アイドルグループのプロデュースとか、美容分野でコスメブランドをプロデュースしていたり、YouTuberとしても活動してますよね。
でもやっぱり、違いはあれど漠然と思ってることはみんな同じだと思います。社会的に「何かしらやっていれば生きていける」っていう時代じゃなくなっているから、「自分にできることを増やしていこう」「そのために、これをやってみよう」って決めてやっていかないといけないのかなと。
子育ての秘訣は「子供の興味をつぶさないこと」
ーー幅広い層から支持されていますが、松丸さんのように多方面で活躍できるようなお子さんを育てる秘訣(ひけつ)は、ご自身ではなんだと思いますか?
松丸:僕自身が親にされて一番うれしかったのが、僕が興味を持っていることを絶対に否定されなかったことです。親が理解を示さず「将来の何につながるの?」「そんなことより勉強しなさい」なんて言うと、子供の興味は一瞬で潰れてしまいます。僕はそれを親にやられたことが一度もないんです。
子供でいられる時間は限られているじゃないですか。たしかに年を重ねてから何かが開花することもあると思うけど、好きなことを深めたりする時間って、社会に出るとなかなかとれなくなってきます。だから、社会に出るのが20歳だとしたら、20年間の時間を、「いかに子供の能力を伸ばす時間に使えたか」が勝負だと思います。
ーー20年、長いようであっという間に過ぎてしまいそうです。
松丸:子供って、好きなことに対しては探究心がハンパないんですよ。時に大人の勉強量を超えることもある。たとえば、テレビで難読駅名を全部言えるようになった子が出ていましたけど、それを覚えたからって、将来使わないと言ってしまえばそれまでなんですよね。でも、親が止めなかった結果、その道ではスペシャリストになれた。
僕の場合は、小学3年生の頃に『脳内エステ IQサプリ』(フジテレビ系列)という番組にハマり、番組関連の本もひたすら解いて、それでは足りなくなって、小学4年生からは問題を自作するようになりました。だけど親はそれを止めなかったし、なんなら「問題増えたよね」とか、ポジティブな声かけをしてくれました。興味を潰されずに大人になれたから、謎解きの世界だったら誰にも負けないという自信があるわけです。
ーー何か積極的に働きかけるよりも、興味を潰さないことが大切なんですね。
松丸:もし子供に興味を持ってほしい何かがあったら、関連するものをなにげなく家に置いておくといいと思います。僕の家にも本やら望遠鏡やら、いろんなものがありました。子供からすると自分で見つけたものだから、気になったら自分で勉強し始めます。興味を持たなかったらそれまでですが、子どもって「これやってみよう」「これおすすめだよ」って親に与えられると、ちょっと引いちゃうんですよね。いろいろ置いて、どれか1個に興味持てばいいなというスタンスでいいと思います。
小学校での謎解きイベントで感じた「可能性」
ーーご自身が代表取締役を務める「RIDDLER(リドラ)」では、謎解きイベントの企画・制作など、謎解きに関するさまざまな事業をされています。ずばり謎解きの可能性ってどんなところにあると思いますか?
松丸:コロナ禍で修学旅行に行けなかった小学生たちに思い出を作ってもらおうと、会社の慈善事業として小学校で謎解きイベントをやったのですが、そのなかで改めて思ったことがあります。
学校でやる勉強って、反復学習が多いですよね。「長方形の面積を求める公式はタテ×ヨコ」って習ったら、長方形の面積を求める問題をとにかく繰り返し、反復してできるようになっていく。でも、子供たちは自分で長方形の面積の求め方を見つけたわけではありません。“作業”がうまくなっていくことは、反復学習の良いところでもあり、悪いところでもあると思います。
一方で謎解きは誰も解法を教えてくれないんです。完全に出たとこ勝負。自分だけの力で、その場のひらめきで問題を解けたときに、なんともいえない快感が得られます。
ーーなるほど。そういう意味で、学校の学習と謎解きは“別物”なんですね。
松丸:1位になった子に話を聞くと、勉強は全然得意じゃなかったりするんです。でも、話すと面白かったり、他の人にはない瞬時のひらめきや、機転の利かせ方を感じることがあります。そういう子って、勉強はできないかもしれないけど、確実に別の能力があるわけです。そういう子に自信を持ってほしいです。このプロジェクトをやっている大きな理由の一つですね。
ーー1位になったその子にとっては、自信を持つきっかけになったでしょうね。
松丸:自分の力で解いた快感って、勉強だとなかなか味わえないところがありますからね。「僕ってもしかしたら、ひらめきの力を持っているのかも。ちょっと勉強も頑張ってみようかな」と思ってくれたらうれしいなと。そういう意味でも小学校でやることに意味があるし、謎解きで自分の可能性をもっと引き出して、自分の力を信じてほしいなって思います。
ーー今後やってみたいことはありますか?
松丸:実は親子向けの謎解きイベントをまだほとんどやっていないんですよね。謎解きって、ひらめきが問われるので親子で一緒に楽しめるものなんです。なので、僕が出演させてもらっている子供番組だったり、子供向けのコンテンツと連携しながら企画できたらいいなと思っています。親子で安心して参加できて、夏休みや冬休みの思い出になるようなイベントができたらいいですね。
<JAF会員から3つの質問>
Q.お気に入りの旅行先はどこですか?
A.長崎県の伊王島の「i+Land nagasaki(アイランドナガサキ)」っていうホテルの温泉が素晴らしかったです。海と温泉がつながっているように錯覚をするくらい、海と島、鳥などの生き物が視界いっぱいに広がります。インフィニティプール(海や湖とつながって見えるように設計されたプール)ならぬ、インフィニティ温泉。おすすめです!
Q.毎日やっているルーティンはありますか?
A.ポケモン関連のゲームのコソ練(こっそり練習)です(笑)。今年4月からスタートした『ポケモンとどこいく!?』(テレビ東京系列)という子供番組で「ポケリーダー」という大役をいただいたので、これは強くならなきゃいけないと思って。ポケモンってゲームがたくさんあるので大変ですが、全部で一番上のランクを目指しています。
Q.謎解きを思いつくきっかけは?
A.常日頃から景色を観察することです。子供の頃から車の中で父と兄たちとでしりとりや言葉遊びのゲームをよくしていたのですが、今思えばそれがルーツだったのかもしれません。車の外に見えるものだけでしりとりをしたり。「道路」「信号」とか。難易度が上がって面白いですよ。
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※オークションサイト、フリマアプリなどでの転売を禁止します。
松丸亮吾
まつまる・りょうご 1995年、千葉県出身。謎解きクリエイター。2019年に「RIDDLER(リドラ)」を設立。同社の代表取締役を務め、さまざまなメディアで謎解きを仕掛けている。2022年7月29日には1st写真集『すがお』を出版。