撮影/岡本真直 スタイリング/綾部恵美子 料理・文/川津幸子

なすの田舎煮

川津幸子さんの「これ、作ってみて!」
川津幸子

何をかくそう、初めて通った料理学校で習って以来、四十数年作り続けている料理です。特別なことはなく、なすを多めの油で炒め、味つけも砂糖としょうゆだけという、いたってシンプルなものですが、とろりと煮えた甘辛いなすを食べると、しみじみとおいしく、これだけでごはんが進みます。毎回キッチンで、なすの皮から焼きつける、砂糖をからめる、水で煮てからしょうゆを加えるなど、丁寧にプロセスを追って作っていると、簡単ななかにも、ひとつひとつおいしくなる理由があって、よくできているなあと感心します。こういう料理こそ、いつまでも残しておきたいと思う。忘れがたい小さなおかずです。

材料(4人分)

作り方

塩水になすをつけているところ

なすは、塩水につけてあくを抜きます。水でもかまいませんが、水2と1/2カップに塩小さじ1を加えた塩水だと、早くきれいに抜けます。水気をきったあとは、炒めるときに油がはねないように、表面の水分をふいておきます。急ぐときは、水につけなくてもかまわないので、切ったらすぐに炒めます。

鍋に入っているなす

鍋にサラダ油を熱し、皮目を下にして入れて、さっと焼きつけたら、全体を混ぜて炒めます。

砂糖を加えてひと炒めしたら、水、赤唐辛子を加え、落としぶたをして、5分ほど煮ます。落としぶたをすることで、煮汁がむらなく全体に回ります。

しょうゆを加えて、さらに煮たらでき上がり。煮汁が1/4くらいになるのが目安です。そのままおいて、味を含ませます。

川津幸子

かわつ・ゆきこ 料理編集者、料理研究家。雑誌『オレンジページ』創刊や、栗原はるみさんの『ごちそうさまが、ききたくて。』など数々のヒット作を手掛けた後、1995年から1年間エコールキュリネール国立(現エコール辻東京)でフランス料理を学ぶ。以後は、料理研究家と編集者を兼ねながら、料理の楽しさを伝えている。作る人の視点に立った、簡単でおいしい料理が好評で、『100文字レシピ』シリーズをはじめ、『いつもキッチンからいいにおい』(オレンジページ)、『ごはんよ、急げ!』『さあ、腕まくり』(幻冬舎)、『そろそろ大人のおいしい暮らし』(マガジンハウス)、『100円100品100文字レシピ』(文藝春秋)、『しゃばけごはん』(新潮社)など著書多数。新潮文庫「100文字レシピ」の全シリーズが、電子書籍になって好評配信中。

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