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ここは沖縄か!? この夏、安東さんが旅した意外な場所とは?

安東さんの家族旅行 2024夏
安東弘樹

安東さんの家では今年、長男が受験生。次男はクルマが苦手なので、長距離ドライブでの旅行は難しそうです。今回のエッセーでは、安東弘樹さんがこの夏、家族旅行で訪れた意外な場所についてつづります。

目次

長男は受験生、次男はクルマが苦手…制約の多い安東家が家族旅行へ

私事で恐縮ですが、来年初頭、わが家では長男が受験を迎えます。

夏を制する者は受験を制する、と昔から言われていますが、その言葉通り、ウチも今年は家族での夏の長期旅行をやめることにしました。しかし受験ではない次男にとっては、寂しい状況です。では1泊程度で、家族でどこか近場へ行こう、ということになり、計画を立てました。

私は千葉県に住んでいますので、当初、関東地方の避暑地である、那須、日光、水上、北軽井沢などを考えましたが、次男は長い時間クルマに乗るのは苦手なので、1時間以内で行けるところがいい、と言います。

確かにこれまで、たとえば沖縄に行くにしても羽田空港までクルマで1時間ちょっとでしたし、次男がクルマに長時間乗っているのが苦手だったことを再認識し、困ってしまいました。「1時間って、旅は無理じゃん……」。しかし次男に何をしたいかと尋ねてみると「おいしい魚が食べたい」とのこと。

目的地は安東さんが住んでいる千葉県内。そこは「まるで沖縄」だった!?

それで、「われわれが住んでいる千葉県でもおいしい魚を食べられるところがたくさんあるではないか」、ということになり、「魚がおいしい」というキーワードで検索して宿を探してみると、かなりの数がヒットします。その中から家族全員の予定が空いている日で泊まれる宿を見つけ、予約したのでした。距離も自宅からクルマで1時間半以内ということで許容範囲です。

そうして目的地は南房総市にある温泉宿にしました。宿のサイトを見ると、舟盛りの写真が大きく載っています。1泊とはいえ、夏の思い出にはなるのではないかと期待も膨らみます。

しかし……旅の1週間前に長男はあっさり、「旅行当日に友人と、気になる学校の見学に行ってくる」と言ってきました。旅行のスケジュールを変えようと提案しましたが、長男は「3人で行ってくれば?」とのこと。たしかに年齢的に、家族旅行よりも友人との用事を優先するのは当然だし、1泊くらい一人で家にいるのも問題はないとの判断で、その提案を受けることにしました。

当日、天気は快晴。朝から長男は都内の学校に行きましたので、家族3人でクルマに乗り込み、初めての県境をまたがない旅が始まったのです。これまで何度も走ったことがある道ばかりで、当初は「やはり居住県では旅気分にはならないな」と思っていたのですが、高速道路を降り、房総半島の海沿いを走り始めると、夏の日差しとヤシの木が並ぶ光景などが、まるで沖縄に来ているような気分にさせてくれます。思わず、「千葉、いいな~!」と呟いている自分がいます(笑)。

南房総市にある野島埼灯台

南房総市にある野島埼灯台

妻と次男も、「千葉にこんなにいいところがあったのを知らなかった!」と話しています。これが不思議なのですが、これまで何度か走っている道でも「旅行」に来ているという意識で来たことはないので、「気持ち」の違いで風景も変わって見える、ということを知りました。普段は寄らない「道の駅」で、普段は食べない、串に刺さった、千葉県沖で取れた魚を材料にしたさつま揚げを食べ、家族写真を撮ります。完全に観光地に感じられてきました。

さらに道中に私の名前と同じ「安東」という地名を発見して家族で驚くなど、完全に観光気分が続きます。宿に近づいてくると、地元のお祭りの幟(のぼり)が立っています。何と、偶然にも名物の御神輿(おみこし)まで見ることができました。海に面した宿に着くと、そのまま海を一望できる最上階の展望温泉に入り、お部屋でいただく、舟盛りを含めたお料理を堪能し、大満足の1日目を終えました。

翌日も快晴。ただし快晴過ぎて「熱中症警戒アラート」が出ているようです……。いろいろと考えて、一応屋内のかつうら海中公園の海中展望塔だけ行ってみることに。これは沖合60mの位置の海中にガラス張りの展望所がある、という観光スポットです。

かつうら海中公園の海中展望塔

かつうら海中公園の海中展望塔

次男は「暑そうだから、気が進まない」と言っていましたが、海の中に沈んでいる塔はエアコンが効いているはずだと説得し、向かいました。多少駐車場は混んでいたものの、スムーズに展望塔に到着。駐車場から塔まではたいした距離ではなかったものの、それでも大量の汗です。

次男は「だから言ったのに」という顔……。しかし実際に展望塔の中はばっちりエアコンが効いていて、それこそ沖縄さながら、とまでは言えないものの、見事に海中の魚を見ることができて、それはそれで見事な「観光」となりました。

安東さんおすすめ「地元の魅力、再発見」の旅

その後は、漁船がそのまま鎮座するという驚きの道の駅で写真を撮り、お土産を買い、帰路についたのです。初めての家族「3人」でのドライブ旅行。帰りのクルマの中では、中学生の次男が幼少期のような顔で寝ていました。

皆さんも、地元を再発見できる居住する都道府県の旅、いかがでしょうか? 移動距離も時間も短い。当然、移動にかかるコストも軽減できる。でも満足度は高い。今回、そんなことを実感した旅になりました。

安東弘樹

あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。2024年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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