JAF Mate Online 安東弘樹さんエッセーのKV
2024スーパーフォーミュラ第1戦鈴鹿のJuju選手

安東弘樹さんが感じる「女性」の影響力

モータースポーツと自動車ジャーナリズムへの女性進出について
安東弘樹

安東弘樹さんが最近感じているという、自動車分野への女性進出。今回のエッセーでは、女性レーシングドライバーの活躍への期待と、女性自動車ジャーナリスト・インフルエンサーの影響力について綴ります。

目次

安東さんも期待! 日本人女性レーシングドライバーが「壁に挑む」活躍

今年2024年になって日本のモータースポーツの最高峰、スーパーフォーミュラに18歳の女性、Juju(野田樹潤)選手が参戦することになり、大きな話題になっているのをごぞんじの方も多いと思います。男女を通じて史上最年少の日本人女性選手が国内最高峰のスーパーフォーミュラに参戦する、ということで話題になりましたが、実はJuju選手だけでなく、同じく国内最高峰のレースの一つ、スーパーGTにも女性ドライバーが参戦しています。27歳の小山美姫(こやま・みき)選手です。実はJuju選手より早く2023年からスーパーGTに参戦し、同8月の第4戦で日本人女性として初めてスーパーGTの決勝で完走を果たしました。

世界的に見て、女性がモータースポーツの世界で大きく活躍するのは難しいと言われています。現在でも国内外を問わず、女性限定のモータースポーツシリーズは存在しますが、多くの女性ドライバーは、他のスポーツと違って男女の区別が存在しないことに魅力を感じる、と言います。身体的な差も含めて大きな壁があるからこそ、挑む意義も深い、という頼もしい言葉を、多くの女性レーシングドライバーが発信しているのです。

これまで最も成功した女性ドライバーは、アメリカのインディカー・シリーズなどで活躍したダニカ・パトリックさんでしょう。インディカー・シリーズ参戦初年度に3回のポールポジションを決め、ルーキー・オブ・ザ・イヤーを獲得。日本で行われた2008年のインディジャパン300で初優勝。シリーズ史上初の女性ウィナーになりました。さらに2009年にはインディ500レースで自身最高位の3位を記録。F1よりも身体的負担が大きいと言われるインディカー・シリーズでの活躍は、モータースポーツにおいて女性でも遜色なく闘えることを世界中に知らしめたと言っても過言ではないでしょう。

しかし残念ながら、まだ日本ではダニカさんレベルで活躍した女性ドライバーは存在しません。だからこそ、すべての日本の女性ドライバーが、トップカテゴリーでの「日本人女性初の勝利」を目指している状況です。今後、日本でダニカ・パトリックに比肩する選手が現れるのか、楽しみです。

安東さんが注目する女性自動車インフルエンサーのパワー

そして、もう一つ別の業界で女性進出が著しいのが、自動車ジャーナリズムの世界です。もちろん、すでに女性の自動車ジャーナリストはいるのですが、私と同年代の方が多いのが現状です。これは男女関係なく同様の状況であり、男性のほうが私を含めてより高齢の方が多いのですが、最近になって、特に20代女性の方の発信が増えてきているのです。自動車ジャーナリスト、というより「自動車インフルエンサー」という言葉を自らが使っている場合が多いのですが、影響力を増してきているのは確かです。

この傾向は、なぜか男性より女性の方が多いのですが、やはり男性の場合は、ある程度の年齢にならないと「世間」が認めてくれない、という日本社会の特徴もあるのかもしれません(笑)。そして、これらの若いインフルエンサーを、メーカーやインポーターも認めてきており、最近は、それぞれが主催する試乗会にも呼ぶことが増えました。

私自身これまでお見かけしたことがない若い方(特に女性)が試乗会に参加していることに気づき、私のほうから挨拶に行く、という機会も増えました。老若男女を問わず、基本的に私は初めてお会いする方には私のほうから挨拶に行く、という習慣が身に付いていますので、驚かれることもあるのですが、私としても若い感性を持つ方が、どのようにクルマに対峙しているのかを知る機会になりますので、ありがたいと思っています。

これまでは女性の自動車ジャーナリストでも、レーシングドライバー経験があったり、元自動車メーカー勤務であったり、自動車雑誌出身など、専門家出身の方が多いのが特徴で、だからこその知識や経験をもとにジャーナリスト活動をしているのですが、専門家ではないジャーナリストの意見や感想なども、昨今のSNSの時代には必要になってくるのかもしれません。

そんな理由も含めて、若い女性インフルエンサーが自動車ジャーナリスト界へ進出してきているのだと思いますが、若い男性も頑張ってほしいと思います(笑)。しかし、特に若い方は全体的に、対人コミュニケーション力や表現力は女性のほうが勝っているという「傾向」があるように思えますので、しばらく、この状況は続くのでしょう。

私も負けないようにがんばります!

安東弘樹

あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。2024年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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