JAF Mate Online 安東弘樹さんエッセーのKV

東海道や中山道、奥州街道…安東弘樹さんを惹きつける「街道」の今昔

忙しい安東弘樹さんがやってみたい下道ドライブ
安東弘樹

クルマの運転が大好きな安東弘樹さんですが、主に走っているのは目的地に早く到着できる高速道路で、これまで一般道はあまり走ってこなかったとのこと。今回のエッセーでは、安東さんが感じる、東海道や中山道、奥州街道といった旧街道の魅力と、今後実現したいという一般道のドライブについて綴ります。

目次

安東さんが感じる「高速道路」と「一般道」の決定的な違い

私は遠方の目的地にクルマで向かうとき、基本的に高速道路を使います。途中のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)も好きで、国内にあるSA・PAのほとんどを訪れたことがあります。

しかし、YouTubeで私が好きな投稿者が頻繁に一般道を使って遠方へ旅をする動画を上げており、それを見た私も、高速道路を使わない旅に興味が湧いてきました。特に江戸時代初期に整備された旧五街道と基本的に並行している国道1号(東海道)、4号(日光街道、奥州街道)、17・18・19号など(中山道)、20号(甲州街道)をクルマで走るという内容の動画が最近、私を惹き付けてやまないのです。

SA・PA等の魅力はありますが、高速道路を走っていると基本的に景色はそれほど変わりません。通過している地域の特徴もあまりわかりません。しかし、一般道を走ればさまざまな光景に出会えるばかりか、特に旧街道沿いは史跡なども多く、大きな観光地ではなくても、ちょっとした旧街道の痕跡など、私のような歴史好きにはたまらない要素がたくさんちりばめられているのです。高速道路は目的地に早く到着できるため、移動の「手段」となりますが、旧街道沿いの一般道は、移動そのものが刺激に満ちた「目的」にすらなる、ということを多くの動画から学びました。

これまでの私は、時間の制約の中で自分の定めた目的地に、できるだけ早く到着するために高速道路を使い、目的地でいかに多くのことを体験するかを考えてきました。おかげで日本中の高速道路はすべて走破し、これまでの走行距離も計算上、高速道路だけで100万kmに迫っています(一般道を含めると140万km以上)。しかし、一般道を走行する投稿者の動画を見て、その道中にあるさまざまな日本の景色を、私は見てこなかったということに気づかされました。

ちなみに旧五街道の中では珍しく中山道だけは、奈良井宿に宿泊した際に国道19号の半分の行程を走ったことがあります。確かに木曽路の景色は素晴らしく、一般道の良さを実感したことを思い出します。

中山道の奈良井宿

安東さんが訪れた中山道の奈良井宿

木曽路の風景

奈良井宿から望む木曽路の風景

しかし、そのときも時間の制約があったため、一般道の途中、どこかに寄る時間はなく、景色は楽しんだものの、目的地に向かってひたすら走りました。一度、時間に余裕のある、ふと気になった所に立ち寄るような旧街道のクルマ旅をしてみたいものです。

とくに東名高速や新東名高速は頻繁に走っているのにもかかわらず、考えてみれば並行している国道1号は意外にも、神奈川県や静岡県の一部の区間しか走行していないことに先日、気づきました。何ということでしょう! 旧街道の代表格である東海道すら、まともに走っていないとは……。

さらに日本最長国道である国道4号は、日光街道と奥州街道の両方を兼ねている区間もあり、未知の魅力がありそうです。何しろかつての奥州街道も今の国道4号も、ともに日本最長の国道(実延長)であり街道なのです。

安東さんが還暦までに実現したい「一般道のクルマ旅」

この道沿いの魅力を味わいながら旅をしたら、どれくらいの時間がかかるか見当もつきませんが、私が好きなYouTubeの投稿者は、1週間ほどかけて国道4号を北上していました。それでも「時間が足りない」と言っていましたので、本当に一度の走行だけで満喫しようとするのは無謀かもしれませんね。

私としては、フリーランスになって自由になる時間が増えると思っていましたが、意外にも仕事を断る勇気もなく、1か月の間で休める日は増えたものの、連続して休むとなると、なかなか現実的ではないことを痛感しています。旅をすること自体が仕事になっている、いわゆる「旅系YouTuber」さんがうらやましいと思う反面、それはそれで大変なのだろうと推察できますので、自分に同じことができるとは思えません。

ただ私は、還暦も近づいてきたので、身体が元気に動くうちに旧街道をたどる、クルマによる一般道の旅をしてみたいとたくらんでいます。しかし、まだしばらくは息子2人が学生ですので(次男がまだ中学3年生)、リタイアはできません。いただいた仕事を断るなど、もっての外。なんとか1週間程度の休みを工面して、近いうちに実現したいと思っています。その際は、ここで旅日記のようなコラムを書きたいと思っていますので、実現する日を自分でも楽しみにしています。

安東弘樹

あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。2024年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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