安東弘樹の運転履歴書

大林宣彦監督の「尾道三部作」に感銘を受け、憧れの地「尾道」へマイカーの旅

安東弘樹さんが往復1,600km、約20時間の「時をかける」長距離ドライブへ

安東弘樹
2024.04.15
2024.04.15
1年点検を受けると、だれにでもチャンス

安東弘樹さんがマイカーで往復1,600km、20時間かけて向かった先は広島県尾道(おのみち)市。そこで安東さんが得たものは何でしょう? 無類のクルマ好きとして知られるフリーアナウンサー安東弘樹さんが、クルマにまつわるさまざまな出来事と自らの思いを伝えるエッセーです。

安東さん青春時代の思い出の映画は『転校生』と『時をかける少女』

先日、久しぶりに自宅のある千葉から往復1,600kmというロングドライブに行って来ました。目的地は広島県尾道市です。

なぜ、尾道を選んだかと申しますと、私が中学2年生のとき、『転校生』という大林宣彦監督の映画に出会い、ずっと憧れていたからです。

実は、この映画のCMをテレビで観て、興味津々だったのですが、当時の家庭状況などで、公開時に観ることはかないませんでした。

テレビで、この映画が放送された際に初めて観たことを覚えています。正直、内容は、あまり記憶に残らなかったのですが、舞台になっていた「尾道」という街の風景は脳裏に焼き付きました。

その翌年に公開された、同じく尾道が舞台の大林監督作品『時をかける少女』という映画は、私が高校生になり、アルバイトも始めたので、公開時に映画館で観ることができました。

主演の原田知世さん演じる和子が弓道部員だったこともあり、その前から弓道部に入っていた私は、そこに興味を持ち、実は「大林宣彦監督作品」という意識もなく、映画館に向かったのです。舞台が尾道であるということもあまり意識せずに鑑賞したと記憶しています。

この映画は、ストーリーも情景も原田知世さんの透明感も、はっきり覚えていて、特に、尾道という街に魅了され、いつかは訪れてみたい、という想いを強く抱くようになりました。

過去の後悔を払拭すべく、安東さんがマイカーで尾道を再探訪!

そんな想いを抱いたまま初めて尾道を訪れたのは、6年ほど前。私は日本カー・オブ・ザ・イヤーの選考委員になったばかりで、某輸入車ブランドのインポーター主催の試乗会でした。

今は大きな観光資源になっている「しまなみ海道」を巡るコースの中に尾道が含まれていて、尾道にある最新スポットで食事をしたのですが、昔ながらの街並みはおろか、尾道駅にも寄らず、残念ながら私の思い出にある「尾道」を感じることはなかったのです。

1980年代に公開された、尾道が舞台の大林監督作品、『転校生』『時をかける少女』『さびしんぼう』の3つを総称して「尾道三部作」と言われますが、90年代に公開された3つの大林監督作品は「新・尾道三部作」と言われます。

実は、その一作目『ふたり』という映画を、つい最近観る機会があり、感銘を受けたことで、あらためて尾道訪問を決意しました。

ついに15歳のときからの40年越しの夢を叶えるため、自分のクルマで片道800kmを走破し、尾道まで行って来たのです。

朝から10時間、休憩をはさみつつ高速道路を走って夕方に尾道に着き、一旦、ホテルにチェックイン。その後クルマ関係の仕事(某メーカーのクルマの試乗)をして、夜にホテルに戻り尾道ラーメンを食べて、その日は就寝しました。

翌日は朝から大忙しです。自由時間は夕方まで。その間に、映画の中でスクリーンに映し出されていた、神社仏閣、狭い小道、急な階段、学校、踏切、電柱にいたるまで、まさに小走りで回り、自分の目で確かめて、写真、動画などを撮ってきました。

『時をかける少女』『ふたり』のロケ地となった艮(うしとら)神社

『時をかける少女』『ふたり』のロケ地となった艮(うしとら)神社

久保亀山八幡神社

久保亀山八幡神社

『さびしんぼう』のロケ地となった福本渡船の乗り場

『さびしんぼう』のロケ地となった福本渡船の乗り場

かなり慌ただしい行程になりましたが、その模様はYouTubeに上げる予定ですので、公開後、よろしければご覧ください(笑)。

40年越しにかなえた尾道訪問。丸一日歩いて、かなり疲労を感じましたが、目に映る尾道の風景は、すべて私の期待以上の感銘を与えてくれました。

ただ、あまりに時間に追われ、撮影をしながら回りましたので、次回がいつになるかわかりませんが、今度はゆっくり観て回りたいものです。

安東さんが安堵した? やはり自分は「常軌を逸した」運転好き!

翌日の帰路は朝からひたすら千葉の自宅に向かって走るのみ。実は私、観光以上に長距離ドライブが楽しみでしかたがない、という性質でして、今回のドライブも、それはそれは楽しかったこと!

走り始めたら楽しすぎて、まず滋賀県大津市のサービスエリアまで300kmを文字通りノンストップで走り、昼食をとって30分後には出発。

その後、愛知県の赤塚パーキングエリアでトイレ休憩だけとり、それからは自宅までドライブしました。休憩2回、9時間半ほどで800kmを走破してしまったことになります。

私の場合、赤塚で2回目の休憩を取ったときも、早く運転したくて、トイレからクルマまで走って戻る、という感覚ですので、このスケジュールでのドライブは、皆様にはおすすめしません(笑)。

それにしても自分のクルマを往復1,600km、合計で20時間ほど運転したおかげで、さまざまなことを感じました。

あらためて愛車である、マイルドハイブリッドのディーゼルエンジンの力強さによる疲労の少なさと燃費の良さを実感。

それに56歳になっても、この距離を走っても運転で疲労を感じないどころか、楽しいと思う感覚も、まだ変わっていないことを確認できて、安堵しました。

いやー、クルマの運転って本当に楽しいですね!

安東弘樹

あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、テレビ東京 「ミライの歩き方」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。

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