注目の電気自動車 そのメリットと現状の課題を安東弘樹が自腹で検証!?
安東弘樹が選ぶBEVとの生活ついに人生初の電気自動車を購入した安東さんが、そのメリットと現状の課題についてマイカーで検証! 無類のクルマ好きとして知られるフリーアナウンサー安東弘樹さんが、クルマにまつわるさまざまな出来事と自らの思いを伝えるエッセーです。
ついにBEVを購入 その走りに満足!
先日、人生で初めて電気自動車(BEV)を購入しました。
同時に、自分が日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)に選んだクルマを購入するのも初めてです。
購入したのはプジョーe-208。そのしっかりとした体躯(たいく)とフラットライド感が素晴らしく、ガソリン車も含めて208シリーズを2020-2021COTYに選んだのです。実際に購入してみて、やはり素晴らしい車でした。
選んだ理由のひとつが、そのボディサイズ。実はe-208、日本で買えるBEVの中では軽自動車規格の日産サクラ、三菱eKクロスEVを除き、最も小さいのです。SUVが多いBEVの中で、コンパクトカーサイズのBEVはe-208だけ。日産リーフよりふた回りほど小さく、車両重量は1500kgと、これもBEVの中では軽量で、これは電費にも好影響だと思いました。このサイズだと私が所属している事務所のビルの立体駐車場に入るのも助かります。
e-208は駆動バッテリーの総電力量が50kWh程度の、今では小容量の部類に入るBEVですが、カタログ上の航続距離は395km。仕事で主に走る千葉の自宅から都心の現場までは往復約100kmで、満充電の1/3ほどしか消費しません。単純計算で300km程度が実際の航続距離でしょう。その性能では不満という方もいらっしゃると思いますが、私の使い方では現状、不満や不安に思ったことはほとんどありません。
また加減速をアクセル操作で自在に操れるのがBEVの特徴ですが、コンパクトなサイズのBEVは、それが特に気持ち良いのです。出力スペックにかかわらず、瞬時に最大トルクを発生するモーターの特徴もあって、加速を気持ち良いと感じるのでしょう。
購入したプジョーのBEV「e-208」に乗る安東弘樹さん
ガソリン高騰とも無縁のBEV 弱点は高速での長距離運転
ちなみに普段はソーラー発電機を付けた自宅で充電しているからか、最近高騰を続けているガソリンなどの燃料を入れる事もないので、ガソリン車と比べて、ランニングコストは激減しました。
ただ、BEVの欠点として長距離を走った際の充電時間がかかることと充電場所を探す手間が挙げられます。先日、検証のためにe-208で長野県諏訪湖での仕事に行ってみました。往復で550km程の道のりです。満充電の状態で出発。その際の航続距離はエコモードで378km。約270km先の目的地には余裕で着けるはずです。ところが中央道に乗って最高速度で巡航を始めた途端、みるみるうちに航続距離が短くなっていきます。これまでの試乗での経験上、理解はしていましたが、これには苦笑。自宅から178km地点の双葉SA(下り)で充電しましたが、私のクルマとの相性が悪かったからか、30分ではわずかしか充電できません。その後何とか目的地まで到着しましたが、バッテリー残量は10%。
仕事を終えて翌日帰路につきますが、当然、自宅までは走りきれませんので、アプリで急速充電器の場所を探し、コンビニで充電。しかしまたしても相性が悪く、双葉SA下りとまったく同じ充電量……仕方なく不安なまま中央道に乗り、バッテリー容量が減っていくのを祈るような気持ちで確認しつつ、今度は上りの双葉SAで充電。なんと今度は充電器との相性が良かったと思われ(下りと別のメーカーの充電器)、速い速度で電気が入り、20分で80%まで充電されました。それ以上、急速充電器で充電しても効率が悪いので、そこで充電をやめ、無事帰宅することができたのです。
やはり、現状の日本の充電インフラの環境では、BEVで遠出するのはまだまだハードルが高いと実感しました。しかしフランス車が特に充電器を選ぶ傾向があるので、日本、ドイツ、韓国メーカーのBEVでしたら、もう少し利便性は高いと思われます。
マイカー3台を使い分けて充実のカーライフ!?
またBEVを所有し、普段運転した上で、改めて自分の別の車、2シーターのスポーツカーに乗ると、MTを駆使してエンジンの車を操る快感も再認識しました。これから、長距離はディーゼル車。仕事や近場はBEV。純粋に運転を楽しむにはガソリン+MTと使い分ける生活になりそうです。1台はローンを払い終えましたが、残り2台分のローンとともに、ですが(笑)。
安東弘樹
あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。2024年より日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。