安東弘樹の運転履歴書

車にシールを貼るだけで高速道路の決済ができる!?

安東弘樹が理想とする「台湾のETC」とは?

安東弘樹
2023.08.17
2023.08.17

無類のクルマ好きとして知られる、フリーアナウンサー安東弘樹さんがクルマにまつわるさまざまな出来事と自らの思いを伝えるエッセー。今月は、台湾の高速道路ETC「eTag(イータグ)」の仕組みと、もし日本に台湾のETCを導入した場合のメリットについて紹介します。

台湾のETCに世界が注目!

JAF MateとJAF Mate Onlineの読者の皆さまは、多くの方が高速道路を利用していると思いますが、その際にETCを使って料金の精算をしている方がほとんどだと思います。日本ではクルマに車載器を取り付け、そこに専用のクレジットカードを差し込み、それを読み取るゲートを通過する際には、正常に車載器が機能して正しくカードが入っていれば、下りているバーが上がります。バーが上がらなかった場合の安全のために、スピードを時速20km以下まで落とすのがルールです。

しかし、2015年に国際有料道路協会から最高賞を受賞し、2016年には国際道路連盟から世界道路成果賞におけるスマート交通と管理部門で最優秀賞に輝いた、台湾のETCは違います。

台湾のETCはシール状の「eTag」を貼るだけ

台湾のETC「eTag」

フロントガラスに貼るタイプの「eTag」(写真提供=台湾Far Eastern Electronic Toll Collection Co. Ltd)

どのようなシステムなのか簡単に説明しますと、台湾のETCは日本と違い、フロントガラスにeTagと呼ばれるシールを貼るだけで、車載器は必要ありません。このeTagにはICチップやアンテナが内蔵されており、料金所(というよりセンサー)などからの電波をエネルギー源として作動するパッシブタグになっています。電源すら必要ないのです。しかも、このタグは低コストで作れるため、ユーザーには無料で提供されます(少なくとも調べられた2021年までは)。このような理由から普及も早かったということです。

料金の算定は、センサーが所々に設置されているため、eTagが付いている車が、どこから高速道路に入って、どこで降りたのか瞬時に把握されます。ですので、高速道路には料金所もありませんし、ドライバーは決済のために減速する必要もありません。当然料金を徴収するスタッフもいません。インターチェンジに、ここから高速道路だという表示があるだけで、あとは高速道路の制限速度に合わせて走行するだけです。

ナンバープレート取付型のeTag

高級車ではナンバープレートに取り付けるタイプのeTagも人気という。(写真提供=台湾Far Eastern Electronic Toll Collection Co. Ltd)

eTagがない車は高速道路を走れない?

もし、このeTagを付けていないクルマが通過しても、ゲートやクルマの通行を妨げるバーもありませんので、とりあえずすべてのクルマが通過できます。ETCが作動しないからといってブレーキを踏むクルマもありませんので、後方から来たクルマが危ない思いをすることもありません。日本のように、バーが上がらず止まってしまったクルマの後ろに長い列ができる、ということもないのです。

では、料金の決済をしないクルマがどうなるのかというと、クルマのナンバーをカメラが読み取り、後日クルマの所有者や使用者に請求する仕組みになっていますが、eTag付きのクルマが受けられる1割引が適用されない場合があります(支払期日に遅れた場合)。eTag自体が無償のため、付けないクルマは、ごくわずかだということです。ちなみに請求された場合はクレジットカードでも決済できますが、コンビニエンスストアなどでも払えます。私個人としては、ETC車載器を購入する必要がなく、通過する際に減速する必要もない台湾のETCは理想的だと思いますが、皆さんは、どのように感じますか?

eTagを日本に導入するメリットとは?

実は日本のETCでも、通過する車のスピードが速くても決済は可能です。通過する車のナンバーもすべて読み取っていますので、技術的に台湾式にすることは可能だと思います。

もちろん、今からETCシステム自体を変えるためには、いくつかのハードルはあるでしょう。しかし、日本の高速道路が半永久的に有料であることが既成事実化されているだけに、今後のゲートの維持費や新設する際のコストなどを考えたら、ユーザーの利便性も含めて、日本でも今からシステムを変えるほうが将来的にメリットはあると思います。現在と同様のゲートを建設するのには「1基当たり」1億円以上掛かるそうです(以前、私が出演した番組での国交省の方の言葉)。これが料金所に2基なら2億円以上。センサーだけでしたら、おそらく桁が一つ少ないでしょう。

そんなことを知って以来、将来は高速道路で文字通りのストレスフリードライブが実現することを祈っている、今日この頃です。国の勇気ある決断を願ってやみません。

安東弘樹

あんどう・ひろき 1967年神奈川県生まれ。フリーアナウンサー。1991年にTBSテレビに入社後、さまざまなテレビ、ラジオの報道やバラエティなどの番組を担当。19歳の免許取得から現在までに、45台以上のクルマを乗り継ぐ経験と知識を生かし、活躍の場を広げている。現在はTBSラジオ「UP GARAGE presents GARAGE HERO’s~愛車のこだわり~」、TOKYO MX「バラいろダンディ」、テレビ東京 「ミライの歩き方」、bayfm78 「MOTIVE!!」など多くのテレビ、ラジオ番組で活躍。2017年より「日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)」選考委員。

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