偏愛アカデミー

大島由香里がビールにドはまりした「とりあえずの一杯」とは?

大島由香里先生のビール論【前編】

大島由香里
2022.12.14

文=大島由香里

2022.12.14

文=大島由香里

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お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。

第9回は、ビールをこよなく愛し「チェイサービール」というビールの新たな飲み方をプロデュースされたフリーアナウンサー大島由香里さんに、ビールの魅力について語っていただきました。


そんなに好きじゃなかったのに…?

「とりあえずビールの人~?」
という質問に、人生で初めて手を挙げてみたのが26歳の夏でした。当時フジテレビアナウンサーとして夕方のニュース番組でひたすら外回り現場取材を担当していて、その日は朝から夕方まで屋外で日光を浴び続け、汗も出し切った猛暑日取材。なんとか無事に取材を終えた群馬からの帰り道、一緒に取材を回ったディレクターさん、カメラマンさん、音声さんとともに遅めの昼食がてらホルモン焼き屋さんへ寄ることになりました。

ビールに口をつける、大島由香里さん

今日もひたすら「新ビール探し」をしています。

気管支が張り付くくらいの喉の渇きを感じていた私は、なんでもいいから水分を口にしたい!と、ディレクターさんによる冒頭のベタな質問に流れで挙手したものの少しよぎる不安。私、ビールそんなに好きじゃないよな……。ガチャリと置かれた結露を纏(まと)ったジョッキを持ち上げ小さく乾杯し口にしてみると、それはそれは、もう。食道が伸びたり縮んだり、まるで蠕動(ぜんどう)運動しているレベルで、キンキンに冷えたビールがうれしそうに私の体内に大量に流れ込んでいきました。これか! これがみんながビールを飲んでいた理由なのか!

それ以来長らく私の中でのビールは、最初の喉越しを楽しむためのポジションでした。なんとなくゴクゴク飲んでいる感じ。

それが次のステージへと昇格したのが34歳の秋です。フリーアナウンサーになり子育てと仕事に追われる日々、かつ、それまでと違うバラエティーのジャンルに刺激を受けつつ心も体もヘトヘトになっていた頃。あるハードな収録終わりの帰り道に寄ったスーパーで、自分へのご褒美としていつもより少しお高めな金色のクラフト缶ビールを買ってあげました。かわいいラベルがたまたま目に入ったというのもあります。

帰宅してすぐプシュッと開け一人でまた小さく乾杯をし、いつもと同じように口へ運ぶと、「あら?? なんだこれ。こんなにおいしいんだっけビールって」と心の中で二度見しました。鼻を抜けるグレープフルーツのような華やかな香りと、爽やかな苦み、嫌みのない後味。ちゃんと味や香りを楽しめるものなんだと気づき、勢いでもう一本、今度は青い缶を飲んでみたらまた全然違う個性が現れる。なるほど、ビールにもこんなにいろいろな子がいるのね……。それならもっと多くの子と出会って性格を知って理解して楽しみたい! そんな欲がむくむくと湧いてきてしまったのです。

もっともっとクラフトビールと出会いたい!

冷蔵庫に常備されている、沢山のビール

私の家の冷蔵庫にはいつもこれだけビールがストックされています。

それからというもの、日々の仕事帰りやスーパーでのお買い物での日課、たまにある出張帰りの定番はひたすら「新ビール探し」。世間でクラフトビールが注目され始めたタイミングも相まってスーパーやコンビニでも次々と新しい缶や瓶を見かけるようになり、ビアバーでなくともドリンクメニューにクラフトビールが並列するようになったのは幸運でした。

売り場の値札横やメニューに添えられたそれぞれのビールの説明文に目を凝らしては、「へぇ……ピルスナー? へぇ……IPA? ヴァイツェン? なるほどあなたにはそんな特徴があるんですか」なんて小声で唱えてみたりして、ビールに「スタイル」というものが存在することを知ってからますます前のめりになっていきました。多くのスタイルを知ることで、これからビールを飲む時間がもっと有意義で味わい深いものになりそうだと思い、ビアテイスターの資格を取得しました。しかし、そこからテキスト片手にビールと日々出会いながらも思い続けることは、「知れば知るほど、自分はまだまだ入り口の入り口で小躍りしてるだけだな」ということ。奥が深すぎるんです、ビールさん。

私が心がけていること

全国のクラフトビールが手軽に手に入り飲める存在になった今だからこそ、ビール好きの私が心がけていることがあります。それは、ビールの強制はしないこと。私は「苦みが嫌いな人もこれなら絶対大丈夫だから」とか「このビールのスタイルはIPA、正確にはインディアペールエールと言ってね、その昔イギリスからインドにビールを運ぶ際に……云々」みたいなビール語りはしない。私がそんな形で出会っていたらきっと好きにはなっていなかったと思うので。だから、ちょっとビールに挑戦してみようかななんて気が向いたのなら、まず見た目やインパクトで興味を持った一本を手に取りひっそりと試してみるのがいいかもしれません。もしそこで心に小さな火が灯(とも)ったら、それがビールの世界へ向かう号砲です。いらっしゃいませ。

冬の楽しみは…

グラスに注がれたビールを持つ大島由香里さん

乾杯! お疲れさまです! 部屋でゴロゴロしながらビールを飲みましょう!

これからの時期、年末年始でお酒を飲む機会が増える時期ではありますが、飲み会以外でのビールの楽しみ方は、なんと言ってもあったか~い部屋でゴロゴロしながら飲むこと(もちろん「飲んだら乗るな」。基本です)。じっくり2022年を振り返り泣き笑いながら飲み込むもよし、2023年の目標と希望に思いを馳(は)せながら味わい深く過ごすもよし。どちらにせよ、翌日には何も持ち越さないくらいの気楽さでいきたいところです。そんな、ちょうど心地良い浮遊感と爽快感、いつもすぐそばにいてくれる親近感がそろっている最高の仲間だからこそ、私はビールが大好きなのです。

【後編】は
大島由香里さんがプロデュースした「チェイサービール」と、冬だからこそ飲みたいビールをご紹介いただきます。

大島由香里

おおしま・ゆかり フジテレビ在局時は主に報道番組を担当。現在はTOKYO MX『バラいろダンディ』にレギュラー出演中の他、ラジオやバラエティー番組などで幅広く活躍中。ビール好きが高じて「ビールとビールの間に飲む」チェイサービールのプロデュースが叶う。また“すっぴん晩酌”動画をアップしているYouTubeは、赤裸々で飾らない姿が話題に。©︎アライテツヤ
YouTubeチャンネル 「大島由香里に乾杯!」
Instagram 大島由香里(@yukari__oshima)

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