偏愛アカデミー

まさに「松村史観」? 独自の感性で読み解く、松村邦洋先生の歴史論

私の推し活語ります【前編】

松村邦洋
2022.10.07
2022.10.07
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お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。

第7回は芸能界ナンバーワンの歴史好きとの呼び声も高い松村邦洋さんに、もっとも好きな時代という鎌倉時代について、思う所を思うがまま熱く語っていただきました。


頼朝の墓は薩長が手入れ!?

僕が歴史を好きになったのは、1979年に放送された鎌倉幕府を舞台にした『草燃える』というNHK大河ドラマを見たおかげで、そこから鎌倉時代の歴史にのめり込みました。

先日も、鎌倉に源頼朝(みなもとのよりとも)、北条義時(ほうじょうよしとき)の墓を探訪してきたんですよ。

北条政子と源実朝のお墓の前で写真を撮る松村さん

寿福寺裏山の墓所にある、北条政子と源実朝のお墓の前で。

頼朝の墓は島津家によって整備されたらしくて。頼朝の墓の東側に並ぶ三つの墓のうち、右は頼朝が侍女に手を出して生まれた子とも言われる島津忠久(しまづただひさ)の墓ですね(諸説あります)。

そして中央が頼朝の腹心として、鎌倉幕府の草創期に大きく貢献した大江広元(おおえのひろもと)。左は広元の四男で、毛利氏の祖となる毛利季光(もうりすえみつ)、この子孫が中国地方の戦国大名・毛利元就(もとなり)です。つまり島津家、毛利家の墓が頼朝の両側にあるんです。意外にも頼朝を支えているのが薩長だというのは面白いですね~。

義時の墓をバーチャルで見れる!?

鶴岡八幡宮も良かったですね~。源実朝(みなもとのさねとも)を暗殺した公暁(こうぎょう)が隠れていて、「隠れ銀杏(いちょう)」とも呼ばれていた樹齢1000年の大銀杏が2010年に強風で倒れてしまったけれど、その残った根の部分から新芽が出ていたんですよ。新しい息吹、生命の誕生を感じました。

今年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の主人公は、実朝亡き後、源氏に代わり鎌倉幕府の実権を掌握したという北条義時です。その義時も当事者となった戦いが1221年、今からおよそ800年前に起きたんです。その後の朝廷と武家の力関係を一変させ、日本史史上屈指の転換点となった「承久の乱」ですね。

今は当然残っていないのだけど、鎌倉末期に失われたという義時の墓である法華堂をAR(拡張現実)で見られるようになってたりするんです。

承久の乱から800年たった今こそ、鎌倉を訪れてみるのもおすすめですね~。

鶴岡八幡宮の大銀杏

源実朝が暗殺されたときに公暁が隠れていたと言われている銀杏の木。新たに芽を出して育っています。

松村流! こじつけで覚える歴史

「歴史」と聞いただけで難しく感じ、学校の授業が嫌いだったという方もいると思います。

僕が鎌倉時代に興味を持つきっかけになったNHK大河ドラマ『草燃える』が放映された1979年というのは、旧ソ連がアフガニスタンに侵攻した年。今年もロシアがウクライナに侵攻しましたよね。なぜか大河ドラマで義時や政子を主役にすると……嫌なニュースですが、偶然とはいえ不思議ですね~。でもこんなふうに何かしら関連づけて覚えると、歴史も楽しく学べるのではないかと思います。

インタビューを受ける松村さんの写真

年号の暗記方法に「イイクニツクロウ」とか語呂合わせがあるけれど、大事なのは歴史の骨組みであって、年号はあまり意味がないと僕は思いますね(と言いながら年号をすらすらと暗唱する松村さん)。

大河ドラマを見たあとに教科書を読むと「頼朝って大泉洋で、政子は小池栄子か」と顔が浮かんできますよね。それだけでも勉強ははかどるんじゃないですか。大切なのは面白おかしく覚えることですよ。

源平合戦は紅白歌合戦!? 建武の新政は打ち切り番組!?

今あることを歴史に結びつけるのも興味を持つきっかけになります。たとえば鎌倉時代だと、権力者だった平家と対抗勢力の源氏が戦いを繰り広げて、平家政権が崩壊して源氏による鎌倉幕府の樹立につながりましたよね。この源平合戦というのは、紅白歌合戦だと思えば良いんです。紅白歌合戦から歌を取ると、紅白の合戦。紅い旗を持っている平家と、白い旗を持っている源氏の戦いなんですよ。紅白歌合戦で紅組、白組の歌手が出てくるたびに、「やあやあ我こそは」なんて思い浮かべたり(笑)。

鎌倉以降で考えると、頼朝が作った鎌倉幕府が終わりました。そして後醍醐(ごだいご)天皇が3年ほど建武の新政をやりましたが、足利尊氏(あしかがたかうじ)がそれを廃止して自分たちの幕府を作った。これはTV番組に例えて、3年で打ち切りされたら「建武の新政か!」というように(笑)、楽しみながら覚えるとわかりやすいと思います。

僕は「明治100年」生まれ

ところで僕は昭和42年生まれですが、この年は同い年生まれに有名な方がたくさんいらっしゃる。清原和博さん、松岡修造さん、貴闘力さん、東野幸治さん、中山秀征さん、さまぁ~ず……まだまだいます。どうしてここまで多いのかなと思ったら、大政奉還から100年という節目に生まれたからなのかもしれないなと。

僕たちは明治という近代国家になり100年目の節目の年に生まれてきたのだと思えば、歴史というものに、また違った感慨がわいてきます。「何をわけわかんないことを言っているんだ。たまたまだよ」で終わってしまう会話かもしれないけど、こんな「たまたま」の積み重ねが歴史になってきたんじゃないですかね。

なので皆さんも、歴史上の人物や出来事などは、自分のことに結びつけてみてください。そうすれば歴史との距離が一気に縮まると思いますよ。

後編は、 松村さんの好きな歴史上の人物3選についてお伺いしました。

松村邦洋

まつむら・くにひろ 1967年8月11日、山口県生まれ。TVと野球に熱中して育ち、ものまねを始める。大学時代に片岡鶴太郎氏との出会いがきっかけで芸能界入り。高田文夫氏のものまね「バウバウ」で人気となり、「進め!電波少年」「探偵!ナイトスクープ」などの番組に出演。阪神タイガースと大河ドラマをこよなく愛し、YouTube「松村邦洋のタメにならないチャンネル」で熱く語っている。
書籍『松村邦洋、鎌倉殿の13人を語る』(プレジデント社)好評発売中。

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