バイきんぐ西村「キャンプは冬一択」!? 火吹き棒で火を操り、自分の山で焚火を囲む醍醐味とは?

バイきんぐ西村瑞樹先生の冬キャンプ論【前編】
バイきんぐ 西村瑞樹

お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、意外な偏愛嗜好について論じます。 第10回は自分の山を購入するなど、キャンプ芸人として大活躍中の人気お笑いコンビ「バイきんぐ」の西村瑞樹さんに、キャンプを始めたきっかけと、お気に入りのキャンプグッズについて語っていただきました。


キャンプは焚き火をやるため!

僕がキャンプを始めたのは8年くらい前ですが、きっかけは単刀直入に言って暇だったからです。

当時は相方の小峠がピンで出る仕事ばかりで、僕にはとにかく時間があった。そんな時に芸人のヒロシさんが2月なのにキャンプに行くという話をしていたんです。冬にキャンプに行くって? というのが面白そうだなと思い連れて行ってもらいました。

行ってみたら冬のキャンプ場には虫もいないし、汗もかかないし、空気が澄んで星がよく見えるし、焚(た)き火は奇麗だしといいことずくめで。一発でハマりました!

以来、僕のキャンプは冬一択というほどで、夏はオフシーズンだと思っているほどです。

冬キャンプでとくに好きなのは焚き火です。というより焚き火をするために冬キャンプに行っていると言っても過言ではありません。

焚き火の魅力はなんと言っても癒やされるところ。焚き火は頭の中のモヤモヤを全部燃やして空っぽにしてくれます。この話を小峠にしたら「おまえの頭はいつでも空っぽだろ!」と突っ込まれました。

焚き火は最初にガンガンと薪(まき)を焚いて、崩れて炭状になったものを溜(た)める。そうすると「熾火(おきび)」と言って、薪や炭に火が入りテラテラと真っ赤になる。こうなると太い薪をのせただけでもすぐ火が付くようになります。

よくキャンプ番組でも火起こしのときに苦労していますよね。僕はプライベートならライターでつけます。「ファイヤースターター」といった火起こしを簡単に行うためのグッズもありますが、僕は火を起こすことより、火を育てることのほうが楽しいんです。

キャンプグッズは直感で爆買い!?

キャンプを始めたら、すぐにグッズにハマり出しました。「めちゃくちゃかっこいい!」って雷が落ちるときがあるんです。そうなるともう金に糸目を付けないで買ってしまいますね。

けっこう浪費家なんで、はじめてのグッズも一気に15万円くらい使いました。とくに冬キャンプだとそれなりに暖かい服とかも揃(そろ)えないといけないので……言い訳ですね。

イエティのクーラーボックス

イエティのローディ20というクーラーボックスを使っています。

これは一目ぼれして買ったYETI (イエティ) のクーラーボックスです。

とにかく壊れない。熊でも壊せないっていうのが、メーカーの売りで、ホームページにはグリズリーベアがクーラーボックスをボコボコにしている動画もアップされています。もちろん頑丈さだけではなく見た目の格好良さ、保冷力が半端ないのもお気に入りで、買ってからずっと使っています。

クードマンのナイフ

象がトレードマークのクードマンのナイフ(左下)はスペイン生まれ。

このナイフはクードマンという海外メーカーのサバイバルナイフです。柄の部分がオリーブの木でできていて、使えば使うほど味が出ますし、自分だけのナイフになっていくので、愛着もひとしおです。

僕は薪を細かくするときにナイフを使っています。「斧(おの)を使わないの?」と思われるかもしれませんが、斧は丸太を切断するときに使うもので、キャンプ場ではすでに薪割りをしたものが売っているんです。ただ薪割りをしたままだと火が付きにくいので、さらに細かくするためにナイフを使うというわけです。

火を操る感覚に魅せられて

火吹き棒で焚き火を起こす西村さん

ファイヤーサイドのファイヤーブラスター60で火を操ります。

この写真は火吹き棒で火を起こしている様子です。

焚き火の火が小さくなって消えかけたときに、うちわなどであおいで空気を送りますよね。でもうちわだと灰が舞ってしまうので、そんなときに使うのがピンポイントで空気を送り込める火吹き棒です。

火吹き棒はいろいろなメーカーのさまざまな形状のものを買いました。伸縮するタイプ、ねじ式でいくつかに分けられるタイプ、吹くところが鹿の角でできているタイプ、全部真鍮(しんちゅう)でできたもの……、いいなと思ったものを買い集めていたら8本にもなって……、今ではその日の気分によって使い分けています。前に住んでいた家では壁に掛けていたほど、僕にとって火吹き棒は別格のお気に入りグッズです。

火吹き棒はキャンプではマストではなくて、あったら便利という程度のもの。でもこの棒で狙ったポイントに的確に息を吹き込めると一気に燃え上がる。自分が火を自在に操っているような感覚になってくる。焚き火が好きで、焚き火にこだわりたい人にはおすすめです。

僕が特に気に入っている火吹き棒は、やっぱり最初に買ったファイヤーサイドのものですね。吹く部分と持つところが木でできている。そこにだんだんと味が出てきて、世界で一本の自分だけの火吹き棒になっていくんです。

おまけとしてもう一つ。冬キャンプはハードルが高いと思っている人の多くは、寒さを乗り切れるか不安なんだと思います。そこでおすすめなのは湯たんぽです。僕が使っている湯たんぽは直火(じかび)で温めるタイプで、焚き火の終わるころに火にかけて、熱々になった湯たんぽを専用の袋に入れて使います。寝袋に入れれば朝まで暖かくいられるんです。

グッズ選びは自分のスタイルで

キャンプグッズは自分が好きなものを買えばいいと思っていて、ブランドにこだわる必要はないと思っています。僕は金物屋に売っている、キャンプグッズとして売られていないものも使っています。

たとえばクッカー(アウトドア用の携帯する鍋)の中に調理や食事に必要なものをスタッキング(重ねて収納すること)して、ざるとボウルも入れたくなった。ずっと探していてサイズがぴったりのものがたまたま100円ショップにあったのでそれを使っています。探していたグッズと思いがけず出会えるのはとてもうれしいですよね。

実はキャンプグッズって仲間と被(かぶ)りたくないんです。誰かが愛用しているのを知るとそのグッズは買わない。だから皆さんも僕のおすすめはあくまでも参考程度にして、自分のキャンプスタイルに合った、雷が落ちるほどの衝撃を受ける、そんなグッズを探してみてください。

後編では西村瑞樹さん「こだわりのキャンプ飯」をご紹介していただきます。

バイきんぐ 西村瑞樹

バイきんぐ にしむら・みずき SMA(ソニー・ミュージックアーティスツ) 所属。 1977年4月23日生まれ。O型。広島県出身。右投げ左打ち。座右の銘は「習うより舐(な)めろ」。 エッセイ本『ジグソーパズル』発売中。 YouTube:CAMP西村チャンネル

この記事はいかがでしたか?
この記事のキーワード
あなたのSNSでこの記事をシェア!