「消しサカ界のメッシがついに登場!! 」ナイツ土屋伸之先生の消しゴムサッカー論

私の推し活語ります【後編】
土屋伸之

お笑い芸人から俳優、ミュージシャン、文化人まで幅広いジャンルの著名人が「今、とくに夢中になっている趣味」をテーマに、まさかと思うような意外な偏愛嗜好について論じます。 第5回の後編は世界消しサカ協会会長でもある漫才コンビのナイツ・土屋伸之さんに「消しサカ選手ベスト3」をお伺いしました。


一人として同じ選手はいない

前回は消しゴムサッカーの歴史とその魅力をお伝えさせていただきました。そこで今回はあまり触れられなかった消しサカリーグと選手について掘り下げたいと思います。

消しサカリーグではドイツのビーネ、ギリシャのモルフォス、イタリアのカクト、スペインのゾーロォ、フランスのスリジエ、イギリスのホークスといったサッカーが盛んな6か国のチームが参加しています。

ちなみにこれらのチーム名はiPhoneの絵文字から考えました。たとえば青い消しゴムに合うものを探していたら青い蝶の絵文字を見つけ、それを調べたらどうもモルフォ蝶というらしい。さらに調べるとモルフォ蝶の"Morpho" はギリシャ語で「形態」を意味するらしいということで、ギリシャのチーム「モルフォス」が誕生したわけです。

6チームで争われる消しサカリーグは、第8期のリーグ真っ最中。第8戦まで終わったところで優勝争いが2チームに絞られてきたのは、皆さんもご存じの通りですよね。

黄色のビーネ、青のモルフォス。両チームともに看板選手がいます。中でも僕が子供の頃から信頼している選手がセブンガー。彼は消しサカ界のメッシ。ミスター消しサカ。いろいろな異名を持っています。

ミスター消しサカことセブンガー選手の写真

ビーネのフォワード、ミスター消しサカことセブンガー選手

『ウルトラマンレオ』に出てきた人型ロボット怪獣で、変身できなくなったウルトラセブンことモロボシ・ダン隊長を援護するために、光の国から持ち出した怪獣ボールの中に収められていたのがこのセブンガー。

この選手は決定力、突破力、フリーキック、いろんなところで群を抜いています。

特技の高弾道シュートを初めて見た人は誰もが驚くはず。消しサカは選手を通してボールであるサイコロを弾くのですが、サイコロは転がるだけだと思っていませんか?

サイコロをセットする、セブンガー選手の写真

セブンガー選手はファン投票第1位と圧倒的な人気を誇る。

セブンガーの場合、近づけて打つことでサイコロが放物線を描いて飛ぶ。だからフリーキックのときにディフェンダーの壁があっても飛び越えてゴールを決めることもできる。どの選手でもできるわけでないため、欠かすことのできない選手となっています。

Mr.消しゴムサッカー! セブンガーの新作スーパープレイ!

そして次は前回にもご紹介した司令塔サンシャイン。

司令塔サンシャイン選手の写真

今一番熱いサンシャイン選手。ファン投票では第7位。

この選手は大人になってヤフオクなどでキン消しを大人買いするようになってから発見した選手。今までにいなかったタイプで、特筆すべきはその絶妙なパス回し。フィジカル的にも四角いため正確に狙ったところにボールを出せます。この選手がいるとチームの勝率も格段に上がりますね。

そして最後はこの選手。
バッジォです。

土屋さん自作のロベルト・バッジォ選手の写真

土屋さん自作のロベルト・バッジォ選手。ファン投票では第4位。

僕が中学のとき、白い消しゴムから削り出して作った選手です。何万回も弾かれたことで色が変色しており、貫禄(かんろく)を感じます。

最初に作ったオリジナルの選手ということで特に思い入れがあります。不思議なのはバッジォ以後これまでに何体も作っているのに、バッジォを超えるものは作れないこと。あの頃の自分にどうやって作ったのか聞いてみたいです。

バッジォ選手の挨拶がわりの超アクロバティックプレー!

バッジォは本当に宝物。この世の中に二つと存在しませんからこれだけはなくしたくない。災害が起きたらまずバッジォを取りに行き、準備をしなければならない。そういう存在です。

試合だけが消しサカではない

消しサカを興じるナイツ土屋さんの写真

「消しサカは究極の卓上スポーツです!」

消しサカは試合だけではありません。シリーズ戦が終われば移籍交渉の時期に入り、ウォーズマンやサンシャインといったチームのエースが移籍をして色が変わることもあります。これも試合とは違った緊張感、緊迫感が各チームに漂う。ちなみに移籍したとき用に色違いを持っているのは言わずもがな。

僕は彼らの代理人でもあるため、パフォーマンス的にもチームバランスが崩れないように考えています。

そろそろこのコラムをご覧の皆さんも、「消しゴムサッカー面白そう! やりたい!」と思っていることでしょう。ただ目下の課題は選手である消しゴム人形をどこで揃えるかということです。

都内でいろいろと探していますがそう多くは見つかりません。そんな中で、中野ブロードウェイのまんだらけミクロ館は揃えやすいかも。秋葉原では血眼で探したけど見つけられず。あと先ほども書きましたがヤフオクなどのネットで購入するか、自分で作るかですね。

僕は3Dプリンターを購入したので、オリジナルの選手を増やしているところです。でもキン消しの素材とは異なり、硬さや重さが微妙に違うためまだまだ試行錯誤を続けています。

3Dプリンターによって作られたオリジナル選手の写真

3Dプリンターによって作られたオリジナル選手。左は内海桂子(うつみけいこ)師匠。

このように消しゴムサッカーでは考えること、やることが無限にあり、それはどれもとても魅力的だということがおわかりいただけると思います。

10歳で始めたときはここまで続けるとは思わなかった。もう30年。でもなぜか子供の頃よりも今のほうが楽しくて楽しくて仕方がない。

これから先、希望としてはやっぱりテクニック的に僕レベルの選手に出てきてほしいです。気軽に楽しんでほしいという思いもありますが、やるからには真剣に向き合ってもらいたい。たとえば僕のYouTubeを見て世界中の人たちが本気でやってくれて、そこから凄いプレーヤーが出て来くることを願ってやみません。

そしていつか僕とそのライバルとの試合を、観客も入れて開催したいという夢がある。
僕の消しゴムサッカーはまだまだ終わらないのです。

土屋伸之

つちや・のぶゆき 2000年、ボケの塙宣之と漫才コンビ「ナイツ」を結成。現在、TBSラジオ『土曜ワイドラジオTOKYO ナイツのちゃきちゃき大放送』、ニッポン放送『ナイツ ザ・ラジオショー』等にレギュラー出演中。 10/23〜『ナイツ独演会 それだけでもウキウキします』開催。

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