桜が見られる穴場のお城5選
文・写真=萩原さちこ

桜を見るならここが穴場! 関東近郊のお城5選

桜が見られる穴場の5城 ~沼田城・壬生城・忍城・宇都宮城・川越城~
萩原さちこ

日本人の心の風景、お城と桜の絶景が一緒に拝める穴場スポット5つをご紹介! 城郭ライターの萩原さちこさん厳選の沼田城、壬生城、忍城、宇都宮城、川越城をピックアップ。お城の解説とともに巡れば、新たな発見と感動がありそうです。今年の春は穴場でお花見してみませんか。

目次

1. 【沼田城跡】三つ巴の争奪戦から真田vs.北条の攻防へ!

沼田城跡

写真=(一社)沼田市観光協会
●沼田城/群馬県沼田市西倉内町594 Tel. 0278-25-8555 沼田市観光協会

戦国時代には上杉・北条・武田氏が三つ巴の戦いを展開し、武田信玄の家臣・真田昌幸が攻略。武田氏滅亡後は真田vs北条の支配権争いが繰り広げられ、1585(天正13)年の上田合戦の火種にもなりました。西櫓台跡に植えられた推定樹齢400年の名木・御殿桜が、春の訪れを厳かに伝えます。

西櫓台の石垣

西櫓台の石垣

本丸跡には西櫓台と石垣、本丸堀の一部が残る。江戸時代になると真田信之が大改修し、城下町を整備。絵図には五層の天守が描かれている

天空の城と城下町

天空の城と城下町

利根川の河岸段丘の段丘面にあり、比高約80mの台地に上がってしまえば平坦地が続く“天空の城と城下町”だ。本丸からは、上田合戦の火種となった名胡桃城方面も遠望できる

2. 【壬生城跡】日光の玄関口として徳川将軍家の宿城に

壬生城跡

壬生城跡

本丸大手

本丸大手

壬生城跡

本丸大手

写真=壬生町観光協会
●壬生城/壬生町本丸1丁目(壬生町城址公園) Tel.0282-81-1844(壬生町観光協会)

15世紀に壬生氏が築城。江戸時代中期に鳥居忠英が壬生藩主になると、幕末まで鳥居家の城に。日光東照宮が造営されると日光の玄関口となって、日光社参の宿館として書院造の御殿が建てられました。水堀に降り注ぐように、堀沿いに植えられたエドヒガンサクラが可憐に咲き誇ります。

大手門

本丸が城址公園に

公園内には大手門の礎石が展示されている。江戸時代初期に松平輝貞が壬生城を大改修した際、平屋の大手門が二階建ての櫓門に建て替えられた。絵図にその威容が残る

精忠神社

鳥居元忠を祀る城内の精忠神社

鳥居家の祖は、徳川家康に仕えた鳥居元忠。関ヶ原の戦いの前哨戦でとなる伏見城の戦いで討ち死にし、三河武士の鑑といわれた。二の丸跡にあたる精忠神社には血に染まった伏見城の畳を祀る「畳塚」がある

3. 【忍城跡】「のぼうの城」の舞台、水攻めされた“浮城”

忍城

忍城・遠景

忍城

忍城

忍城・遠景

忍城

写真=行田おもてなし観光局
●忍城/埼玉県行田市本丸17-23 Tel. 048-554-5911(行田市郷土博物館)

石田三成が豊臣秀吉の命令で水攻めした城として有名です。総延長約28kmともいわれる堤防を構築して兵糧攻めの一種である水攻めを行いました。再建された御三階櫓の4階は展望室になっており、市内を一望することができます。

忍城

忍藩10万 石の城に変貌

江戸時代半ばになると、城郭の南端には御三階櫓が建てられた。明治時代に取り壊されたが1988(昭和63)年に現在の位置に場所を移して再建され、内部は2・3階が展示室になっている。周囲にあった水堀の名残りを利用した水城公園もある

石田堤跡

石田三成、ここに布陣

水攻めの際に、石田三成が本陣を置いた丸墓山古墳。駐車場から古墳へと続く道の一部は、堤防「石田堤」の跡だ。市内には三成が築いたとされる石田堤も断片的に残る

4. 【宇都宮城跡】関東七名城から将軍家ゆかりの城へ

富士見櫓

富士見櫓

富士見櫓

富士見櫓

富士見櫓

富士見櫓

●宇都宮城址公園/栃木県宇都宮市本丸町、旭1丁目地内 Tel.028-632-2529(都市整備部 公園管理課 管理グループ)

宇都宮城は平安時代後期に築かれたとされており、鎌倉〜戦国時代には、下野国(現在の栃木県)で勢力を拡大していた宇都宮氏が城主でした。江戸時代には徳川将軍の日光社参時の宿泊所となり、本丸には将軍用の御成御殿が建てられました。宇都宮城桜まつりは、早咲きの河津桜が見ごろを迎える3月上旬に開催されます。

清明台櫓

天守代用の清明台櫓が復活!

江戸時代になると、本多正純が大改修。天守はなく、本丸北西部に築かれた二重二階の清明櫓が天守代用とされた。2007年(平成19)に復元され、内部は1階のみ見学可

土塁と水堀

復元された土塁と水堀

高さ約10mもある土塁のほか、水堀の一部も復元。徳川秀忠の暗殺計画「釣天井事件」でも知られるほか、戊辰戦争の激戦地としても知られる城で、歴史に思いを馳せられる

5. 【川越城跡】“小江戸”と呼ばれる風情ある城下町

川越城本丸御殿

写真=(一社)埼玉県物産観光協会 複製・再転載禁止
川越城本丸御殿●埼玉県川越市郭町2-13-1 Tel. 049-222-5399 川越市立博物館

川越街道で江戸と結ばれ、新河岸川の舟運で「江戸の台所」と呼ばれる物資の集積地に。江戸に運ばれヒットしたことから名物になった、さつまいもスイーツを味わいながらの桜観賞も一興です。新河岸川沿いの桜並木のほか、徳川家ゆかりの喜多院には桜の老木もあります。

川越城本丸御殿

江戸時代から残る本丸御殿

全国で4つしか現存しない城郭御殿のひとつ。廃城後は県庁や煙草工場、中学校の屋内運動場として使われたことも。玄関と大広間が残り、家老詰所が移築復元されている

時の鐘(鐘つき堂)

川越のシンボル・時の鐘(鐘つき堂)

江戸時代初期、川越藩2代藩主・酒井忠勝により創建。火災のたび再建され、現在のものは明治時代に建てられた4代目だ。城下町に時を告げる鐘の音は、環境省「日本の音風景100選」に認定されている

萩原さちこ

はぎわら・さちこ 城郭ライター、編集者。(株)城旅デザインラボ代表、(公財)日本城郭協会理事。執筆業を中心に、講演、メディア・イベント出演など行う。著書に『城の科学〜個性豊かな天守の「超」技術〜』(講談社ブルーバックス)、『日本の城語辞典』(誠文堂新光社)、『日本100名城と続日本100名城めぐりの旅』(ワン・パブリッシング)など。朝日新聞デジタル&TRAVEL『城旅へようこそ』ほか、新聞や雑誌、WEBでの連載多数。https://46meg.com/

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