東京と関東の桜の見えるお城
文・写真(ポイント解説)=萩原さちこ

小田原城、江戸城…。東京都心や関東近郊の桜と城跡が見られる絶景スポット5選

都心・関東の桜が見られるお城 ~江戸城・小田原城・館山城・土浦城・水戸城~
萩原さちこ

城と桜、これぞ「日本の絶景」が見られる季節が到来! 江戸城、小田原城、館山城、土浦城、水戸城…都心から気軽に行ける距離にある城跡と桜のスポットを5つご紹介。城郭ライターの萩原さちこさんによる各城の見どころ解説付きでお楽しみください!

目次

1. 【江戸城跡】桜吹雪に包まれる、徳川将軍家の城たる日本一の威容!

桜吹雪に包まれる江戸城跡

●江戸城/東京都千代田区麹町1丁目2 Tel. 03-3213-1111(宮内庁)特別史跡江戸城跡公式サイト

現在の江戸城は、徳川家康が築城。264年間の江戸幕府の本拠地であり、徳川将軍家の居城でした。千鳥ヶ淵や北の丸公園、大奥があった場所に建つ皇居東御苑・本丸御殿跡も桜の名所。千鳥ヶ淵ボートは大人気スポットで、濠から見上げる高石垣と桜は格別です。夜桜ライトアップ期間中は妖艶な姿も見られます。

田安門

江戸時代から残る田安門

東京メトロ・都営地下鉄九段下駅を降りてすぐ、日本武道館の手前にある田安門は、江戸時代から残る城門のひとつ。高麗門と渡櫓(やぐら)門で構成される枡形門だ。かつてこの場所が田安村と呼ばれていたことが名前の由来と伝わる。江戸中期以降は御三卿のひとつ・田安徳川家の屋敷があった

江戸城跡の巽(たつみ)櫓・伏見櫓・富士見櫓

現存する3つの櫓

江戸城跡には巽(たつみ)櫓・伏見櫓・富士見櫓が現存。写真は、手前から巽櫓、桔梗門、富士見櫓が一直線に見える絶好のアングルだ。銅板を用いた破風(はふ)、三角形の妻飾(つまかざり)の部分にあしらわれた文様・青海波(せいがいは)などが江戸城の櫓の特徴

2. 【小田原城跡】秀吉に攻められ降伏! 関東の覇者・北条氏の巨城

小田原城と桜

写真=小田原城
●小田原城/神奈川県小田原市城内3-22 Tel. 0465-23-1373(小田原城総合管理事務所)小田原城

小田原城は、戦国時代に関東一円を支配し、豊臣秀吉に攻められて滅亡した北条氏の本拠地です。北条氏滅亡後は徳川家康の領地となり、江戸時代には大改修され石垣や天守が築かれました。城内には約300本のソメイヨシノが咲き誇り、開花期間中はライトアップも。とくに天守と桜のコラボはたまりません。

小田原城天守閣

展示が充実した小田原城天守閣

明治時代に解体され、1960(昭和35)年に模型や設計図を参考に復元。内部は見応えたっぷりの資料館で、最上階からは相模湾を見渡す眺望が広がる

総構

戦国時代の「総構」

北条氏が秀吉の来襲に備えて構築した「総構」は、城と城下町を堀と土塁で囲んだ大防衛ライン。総延長は約9㎞にも及ぶ。写真は小峯御鐘ノ台大堀切東堀

3. 【館山城跡】桜舞う「南総里見八犬伝」里見氏ゆかりの城

桜の時期の館山城跡

写真=城山公園管理事務所
●館山城/千葉県館山市館山362番地先 Tel.0470-22-8854(城山公園管理事務所)館山城・城山公園公式サイト

曲亭馬琴の小説「南総里見八犬伝」のモデルになった戦国大名・里見氏ゆかりの城です。秀吉が北条氏を滅ぼした後、里見氏が居城としたのが館山城でした。現在は市民憩いの城山公園となっており、春には400本のソメイヨシノを中心に、河津桜や寒緋桜、八重桜などの桜が咲き誇ります。

館山城(八犬伝博物館)展示室

館山城(八犬伝博物館)展示室

城山公園山頂にある、天守形式の館山城(八犬伝博物館)。版本をはじめ「南総里見八犬伝」の資料が展示されている

館山城本丸からの眺望

立地のよさを実感できる本丸からの眺望

館山湾を一望できる本丸からの景色にうっとり。相模湾の向こうに三浦半島、晴れていれば富士山や箱根山も見え、古代から他地域との交流が盛んに行われていた地域性がうかがえる

4. 【土浦城跡】別名・亀城と呼ばれる、県内でも人気の桜スポット

土浦城跡

亀城公園

土浦城跡

亀城公園

亀城公園

亀城公園

写真=一般社団法人 土浦市観光協会
●土浦城跡/茨城県土浦市中央1-13 Tel. 029-824-2810 土浦市名所・史跡の紹介

霞ケ浦やそこに通じる河川から水を引き入れ、張りめぐらせた水堀に守られる城です。その姿が水に浮かぶ亀のように見えたことから、別名・亀城と呼ばれます。本丸と二の丸南側が市民憩いの亀城公園となっており、例年3月下旬から4月上旬には土浦桜まつりが開催されています。

土浦城櫓門

関東で唯一現存する櫓門が必見

本丸に現存する櫓門は、関東地方で唯一。本丸の入り口にあたり、1656(明暦2)年に改築されたと伝わっている

本丸の土塀と東櫓

復元された本丸の土塀と東櫓

東櫓は二重櫓で、1620〜21(元和6〜7)年頃に築かれた。土塁の上に建っているのが大きな特徴で、発掘調査の成果などに基づき土塀も復元されている 

5. 【水戸城跡】水戸黄門に会える? 御三家・水戸徳川家の城

弘道館

弘道館正庁と左近の桜

三の丸お堀の桜

三の丸お堀の桜

二の丸の白壁塀と桜

二の丸の白壁塀と桜

弘道館正庁と左近の桜

三の丸お堀の桜

二の丸の白壁塀と桜

写真=水戸観光コンベンション協会
●水戸城跡/茨城県水戸市三の丸2-9-22 Tel. 029-224-0441 観光情報サイト「水戸旅」(一般社団法人 水戸観光コンベンション協会)

水戸城は全国の土づくりの平山城で、主郭の総面積が最大級を誇る城です。大手門や二の丸角櫓が復元されているほか、弘道館の正庁・至善堂・正門などが現存しており国の重要文化財に指定されています。弘道館は、第15代将軍・徳川慶喜の父である第9代水戸藩主・徳川斉昭がつくった藩校。水戸は梅の名所として有名ですが、水戸城には桜もあり、趣ある建物や堀などが桜で彩られます。

水戸城大手門

よみがえった大手門

二の丸の玄関となる大手門が復元され、往時の壮大さがわかるように。必見は、瓦と粘土を交互に積み上げてつくった練塀(瓦塀)。発掘調査で見つかった実物が一部見学できる

踏切

ダイナミックな堀切が線路に

水戸城の特徴は、壮大なスケールの堀と土塁。本丸西側の堀と土塁は幅40メートルもあり、その規模を生かして、堀底がJR水郡線の線路になっている

萩原さちこ

はぎわら・さちこ 城郭ライター、編集者。(株)城旅デザインラボ代表、(公財)日本城郭協会理事。執筆業を中心に、講演、メディア・イベント出演など行う。著書に『城の科学〜個性豊かな天守の「超」技術〜』(講談社ブルーバックス)、『日本の城語辞典』(誠文堂新光社)、『日本100名城と続日本100名城めぐりの旅』(ワン・パブリッシング)など。朝日新聞デジタル&TRAVEL『城旅へようこそ』ほか、新聞や雑誌、WEBでの連載多数。https://46meg.com/

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