愛知・名古屋から一番近い離島で、魅惑のタコグルメパラダイス
知多半島ドライブ、日間賀島でタコを食べ尽くすタコが好きだ。タコ焼き、明石焼き、お刺身、唐揚げ、アヒージョなどなど、いろいろな食べ方でタコをおなかいっぱい食べることは長年の夢だった。そんななか、愛知県知多半島のすぐ先にある日間賀島(ひまかじま)のタコは「別格にうまい」という情報を聞きつけ、さっそく行ってみることに。別名「タコの島」と呼ばれる日間賀島の1dayトリップへと出かけた。
タコ好きにとって、タコはいつ食べてもおいしいものだが、主に関西が産地のマダコは夏、関東以北が産地のミズダコは冬が旬だと言われている。ところがタコの島、日間賀島では通年が旬。島のいたるところにタコ料理を食べさせてくれる飲食店があるのだ。
名古屋から1時間少々、日間賀島へはフェリーでGO
名古屋から名古屋高速を1時間ほど走ると、日間賀島行きの乗船場がある師崎(もろざき)港に着く。師崎港からは釣り島と呼ばれる篠島(しのじま)と日間賀島を巡る定期高速船が出ており、10分ほどで日間賀島へと渡ることができるのだ。篠島へ行くと思しき釣り道具を持った人たちとともに高速船へ乗り込み、ひとときの海の旅へと出発!
日間賀島へは1,530円(大人往復)で渡れる。運航予定は名鉄海上観光船 の時刻表をチェック
知多半島と渥美半島に囲まれた三河湾は波が穏やかで静か。潮風に吹かれ、快適なフェリーの旅が楽しめる
日間賀島上陸! 東港では「がっしー」がお出迎え
日間賀島は3つ港があり、東・西の港ではタコのモニュメントが出迎えてくれる。東港のがっしーは左手を挙げているのが目じるしだ。周囲6.6kmの日間賀島は徒歩で一周すると2時間ほどかかるそう。島内の移動は徒歩かレンタサイクル、電動キックボードがおすすめ。まずは東港から歩いて10分のところにある「ハイジのブランコ」を目指してトコトコ移動。道すがらに猫が寝そべっていたり、実にのどかでいい!
目の前に広がる三河湾の絶景が望めるフォトスポット。●ハイジのブランコ/愛知県知多郡南知多町日間賀島北地72
タコのマンホール。島内に何か所があるので探してみよう
サンライズ・ビーチに置かれたピンク色の扉。どこでもドア風に写真を撮って遊べる
サンライズ・ビーチの遊歩道にあるタコのタイルアート。かわいい
タコ島の由来となった安楽寺を訪問
●安楽寺/知多郡南知多町日間賀島里中 大字日間賀島字里中48 Tel 0569-68-2172
日間賀島がタコ島と呼ばれる所以(ゆえん)を知りたいと、安楽寺を訪ねた。お堂に安置されている章魚(たこ)阿弥陀如来にはこんな言い伝えがある。大昔、大地震で日間賀島と佐久島の間にあった島が陥没し、お寺と仏像がなくなってしまったが、漁師の網にかかった一匹の大ダコが仏様を守るように抱きついていたことから章魚阿弥陀(たこあみだ)と呼ばれ、祭られて大切にされるようになったのだとか。
中央に鎮座するのが「章魚阿弥陀像」。大漁と安全、子孫繁栄、縁結びのご利益があるとされている
タコが描かれた絵馬は縁結びのタコとして人気! お土産に購入することもできる
いよいよ日間賀のタコフルコースを食べ尽くす
茹でタコ、炙りのタコ刺身、タコしゃぶ、唐揚げ、タコ飯、さらにアワビステーキまで食べられるタコタコ丸コース(7,150円 ※写真の茹でタコは4人前)●南知多・日間賀島大海老(たいかいろう)/知多郡南知多町日間賀島新井浜40 Tel 0569-68-2144 大海老ウェブサイト
日間賀島のタコを堪能するなら、コースで何品も出してくれるお店がよいということで、旅館と食事処の両方を営む大海老で「タコタコ丸コース」を予約した。腹ペコでお店へ向かうと、テーブルにはお造りやタコの唐揚げ、タコしゃぶ、酢の物、アワビステーキなどが並び、食のお祭りムード一色だ。そこへ茹で上がったばかりでつやつやの茹でダコが運ばれてきて、メンツが揃ったところでタコ尽くしパラダイスがスタート。目移りしたけれど、まずは素材の味が一番わかる茹でダコをハサミで切ってほおばる。
なんといってもタコフルコースの目玉はこの茹でタコ。むっちり、ブリンブリンの極上タコを見るとテンション爆上がり
茹でタコは食べたいだけハサミで切っていただく豪快なスタイル。茹で上がりの色が美しく、弾力もむっちむち!
タコしゃぶは、昆布の出汁の中に薄切りのタコの刺身をくぐらせて口の中へ。刺身とは食感が変わり、よりジューシーに
タコ飯もお釜にたっぷり。注文してから炊き上げるので、部屋中にお米とタコが炊ける香りが立ち込め、匂いまでおいしい
茹でダコは、なめらかでやわらかな皮が歯にあたると押し返すほどむちむちと弾力のある肉質、密度が楽しめる「至福の味」だった。茹でただけなのに噛むたびに味が染み出てきてうまい。うまみが口中にどんどん広がるので、よく噛んで食べてもいつまでも飲み込むのが惜しい……。いままで食べたタコとは風味も食感もまるで違う。
大海老の鈴木甚八さんに日間賀島のタコのおいしさの秘密を聞いてみた。「日間賀島産のタコは他の産地のタコとはまったく違います。特に違うのは茹で上がりの香りと小豆(あずき)のような濃い色。輸入もののタコはもっと薄い色をしているでしょう。これは島周辺の環境が大きく影響しています。ミネラル分を豊富に含んだ土砂が堆積してできた島なので、そこに生息するプランクトンをエサにするかにやあさりを食べて育った日間賀のタコがおいしくないわけがない、ということなのです。日間賀島の飲食店は地産地消にこだわり、島で獲れたタコや海産物を提供しています。獲り方も重要で、タコ壺漁がいちばんです。タコ壺で獲ったタコは傷付かないため痛みにくいですし、底引き網だと日間賀島以外で獲れたタコの可能性がありますからね。日間賀島産のタコを島内で味わっていただくのが提供する側としても大切だと考えています」
つまりタコそのものの質がすばらしいので、どう料理してもおいしいのだ。咀嚼(そしゃく)しすぎてアゴが疲れてしまったが、ずっと食べ続けたいくらい味わい深いタコだった。茹でタコは時間が経って冷えても弾力がぷりぷりで変わらず、鮮度のよさに驚いた。
続けてイカ姿焼きも制覇
専用の鉄板でプレスして焼く。食べやすい大きさにカットして、お好みでマヨネーズを添えて食べる。ソフトイカ姿焼き(800円)
タコの次はイカを食べねばなるまい。よくわからない使命感に突き動かされてイカの姿焼きがおいしいと評判の鈴円本舗を訪ねてみた。西港からほど近い場所にあるお店は店の外まで行列ができる大混雑。全長40cm以上はある立派なイカを目の前で焼いてくれ、軒先からはイカが焼ける香ばしい香りが漂っている。熱々の焼き立てイカをカットしていただく。やわらかく、すぐに嚙み切れるのでぱくぱくと食べやすい。これは酒のつまみかおやつにぴったりだ。
店主の大西良太さん。注文後、イカを鉄板にきれいに伸ばしてセットする
近隣の港で獲れたイカに片栗粉の衣をつけて表、裏で約3分間焼く。1日150枚以上売れるという
こんがりと焼けたイカの姿焼き。注文してから焼くため、焼き上がりの様子を目の前で見られるのも食欲をそそる
●鈴円本舗/知多郡南知多町日間賀島西浜28 Tel 0569-68-9110 鈴円本舗ウェブサイト
島しらすソフトで日間賀島グルメを完全制覇
島しらすソフト(580円)
かなり満腹のリミットが迫っているが、あと1品だけ食べておきたいものがある。締めのスイーツを求めて島の北東にある丸豊カフェへ。日間賀島で60年以上しらす問屋を営む河合寿政さんが奥さんと始めたカフェの看板商品「島しらすソフト」だ。自慢の釜揚げしらすをたっぷりとふりかけたスイーツで、一見ぎょっとする取り合わせだが食べてみるとしらすの塩味がソフトクリームの甘み、まろやかさと合わさっておいしい。しらすの新しい食べ方としてこれはアリだ。このほかにしらすの佃煮がのったソフトクリームやしらす練乳かき氷など創意工夫されたスイーツがあるので、日間賀島グルメの締めをお探しならぜひ立ち寄ってみよう。
穏やかな海とのんびりした島の空気。ここでしか食べられないタコや海鮮の数々。名古屋から一番近い島、日間賀島はちょっとした非日常を感じるにはうってつけの場所だと思った。絶品のタコに加えて、秋からはフグのシーズンが始まる。タコ料理でまだ食べられていないメニューもあるし、気軽に行けるのでぜひ再訪したい。