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この秋見たい! 絶景紅葉スポット…写真家・須藤英一氏が厳選! 【後編】

日本の美しい風景を求め、全国各地の道を走り尽くし撮影してきた写真家・須藤英一氏セレクト10選

須藤英一
2022.10.02
2022.10.02
1年点検を受けると、だれにでもチャンス

秋が深まるにつれ表情を変える紅葉。風光明媚(めいび)な風情と、木々のたくましさや太陽の恵み、四季の移ろいを感じる自然からの贈り物です。今回【後編】としてご紹介するのは、これから見頃の本番を迎える東海・近畿から九州にある5スポット。この秋は、赤や黄色に色づく大自然を見に出かけませんか?

【愛知県】香嵐渓(こうらんけい)

ライトアップされた雅(みやび)やかで幻想的な夜の紅葉

ライトアップされ水面にも映る夜の紅葉

ライトアップされた香嵐渓が、川面に映り込んで美しい。(撮影=11月中旬夜)

名古屋の西にある足助(あすけ)は、古い町並みが残る重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。ここにある香嵐渓へ名古屋方面から国道153号で向かう。巴(ともえ)川がつくる渓谷と、約4,000本のもみじが彩りを見せる紅葉は、全国的にも知られた名所となっている。ここのもみじは香積寺(こうじゃくじ)11代目の三栄和尚が1634年に植えたのが始まりとされ、巴川沿いの参道から香積寺境内にかけて一本一本植えていったといわれている。

赤や黄色に色づくもみじに、緑の杉が混じったカラフルな景色は壮観。駐車場に車を停(と)めて歩くと、巴川の対岸から飯盛(いいもり)山全体に広がる紅葉を眺められる。橋を渡ると、山の中は紅葉のトンネルとなり香積寺や三州足助屋敷などを散策できる。人が手で植えたので、密集していて、自然に育ったもみじとはまた違う紅葉が楽しめる。史跡に指定されている飯盛山は、低い山なので散歩のつもりで登ってみるのもいい。

ココがイチオシ!

夜には飯盛山全体がライトアップされ、光に照らされた紅葉は、晴れの日でも曇りの日でも、昼間とはまた一味違う鮮やかな色合いとなる。巴川の川面に映るもみじは幻想的な景色を見せてくれる。

【滋賀県】メタセコイア並木

映画のワンシーンに出てきそうな紅葉した並木道

紅葉したメタセコイアの並木道

静かな早朝の並木道は、針葉樹の落ち葉に覆われる。(撮影=11月下旬早朝)

琵琶湖の北西に位置する高島市マキノ町に約2.4kmにわたって続くメタセコイア並木がある。整備事業の一環としてマキノ町果樹生産組合が植えたのが始まりで、地域の人々の手により育てられ守られて現在のこの壮観な姿となっている。メタセコイアは、四季ごとに葉色を変化させる落葉針葉樹。新緑に彩られる春の芽吹き、深緑の夏。そして純白の雪に覆われた冬の並木も美しいが、やはり真っ赤に染まった秋の並木道が最も美しい。

国道303号から県道287号に入って5分ほどにあるので、湖北へドライブに行きがてら立ち寄ってもいい。まわりの山々と農村風景が調和したのどかな眺めで満足させてくれる。約500本ある並木は、どこかで見たことのある映画のワンシーンのようなおしゃれな景観。赤く染まった針葉樹のトンネルを車で走る気分はまた格別だ。

ココがイチオシ!

この並木道は約2.4kmの直線なので、車で走るとあっという間に終わってしまう。そのために駐車場に車を停めて、並木の横にある歩道を歩くのがおすすめ。どこまでも続いているように感じられる。秋の並木は人気があり観光客が多いので、静かにゆっくりと見るなら早朝に。

【奈良県】大台ヶ原ドライブウェイ

秘境と呼ぶにふさわしい雄大な山々に広がる紅葉

カラフルな色合いに染まる紅葉

周囲の山々もカラフルな色合いに染まる。(撮影=10月下旬午前)

大台ヶ原は、奈良県と三重県の県境にある標高約1,700mの高原台地。ここへ向かう道が大台ヶ原ドライブウェイで、国道169号の新伯母峯(しんおばみね)トンネル付近から入る。展望がいい山岳ルートで、頂上まで一気に登り続ける。尾根伝いを走るため、南から西方向の眺めが良く、紀伊半島の最深部を見渡せる。周囲は原生林が残る秘境で、年間降水量も多く、早朝には深い谷筋から雲がわきたつ雲海が見えることもある。

展望のいい道は少し狭いが、周りに目をやると、山の斜面に紅葉した木々が赤・オレンジ・黄色の色彩で覆われているのがわかる。ところどころにある駐車スペースに車を停めて見ると、雄大に広がる山々と紅葉を心置きなく楽しめる。大台ヶ原ドライブウェイの終点は、売店やトイレなどが併設された大台ヶ原ビジターセンター。ここに車を停めて、整備された自然観察路を大杉谷などへ歩く人も多い。

ココがイチオシ!

大台ヶ原には、「誰でも気軽にハイキングや登山を楽しめるように」と、自然観察路が用意されている。終点に車を停めたら、少しだけでも歩いてみるのがおすすめ。日本の秘境のひとつである大台ヶ原の紅葉が満喫できる。

【愛媛県】面河渓(おもごけい)

紅葉に包まれた神秘的な雰囲気に浸る

川面にうつる紅葉と橋

車道の終点である五色橋付近の紅葉。(撮影=11月中旬午後)

愛媛県にある石鎚(いしづち)山の南麓に広がる、四国でも最大級の渓谷。このあたりは石鎚山を中心とした国定公園に指定されている。石鎚スカイラインへ向かう県道12号を、面河川に沿って進むと、やがて正面に面河渓の入り口を示すゲートが現れる。この県道12号は「もみじライン」と呼ばれ、ドライブしながら紅葉を楽しめる。車道の終点である五色橋までは、深い谷の中腹を走る。道は細いが、下には紅葉の中にエメラルドグリーンの清流が流れ、見上げれば奇岩のそそり立つ岩肌に黄や赤の紅葉が眺められる。

車道の終点にある駐車場に車を停めて散策路を歩くと、面河渓の素晴らしい景観をより堪能できる。途中には紅葉を楽しめるスポットが数多く点在していて、滝や奇岩が続く神秘的な雰囲気を感じながら、川底が見えるほど透明度の高い川と色づく紅葉のコントラストを満喫できる。

ココがイチオシ!

面河渓は、歩いて紅葉を眺めるのがいい。ウォーキングコースが複数あり、中でも「面河本流コース」と「鉄砲石川コース」がおすすめ。面河山岳博物館に車を停めると「関門遊歩道」に行くこともできる。

【大分県】深耶馬渓(しんやばけい)

紅葉のトンネルを抜ければ、そこにも絶景が

道を覆う紅葉

紅葉が県道に覆いかぶさるように続く。(撮影=11月中旬午前)

大分県の紅葉の名所として知られる耶馬渓は本耶馬渓、裏耶馬渓、深耶馬渓、奥耶馬渓などに分かれている。この中で一番の景勝地といわれる「一目八景」があるのが深耶馬渓で、山国川支流の山移川沿いにある。狭い谷に、絶壁や石柱が屏風のように連なるために壮観な景色となっている。一目八景とは周囲の8つの岩峰群を1か所で見ることができるためにこの名がついた。県道28号を走ると、道路沿いの紅葉が覆いかぶさるように連なり、木々の合間から見える断崖絶壁と紅葉を見上げられる。そそり立つ山々の光景はまるで山水画のようにも見え、圧倒的な迫力がある。

一目八景には展望台があり、目の前にそびえる奇岩と紅葉をじっくり観賞できる。また、近くには土産物店や料理店が軒を連ねていて、各店自慢の料理を食べられるのも楽しみのひとつ。紅葉期間中はライトアップもあり、一目八景や県道28号沿いのもみじが、暗闇の中に美しく浮かび上がる。

ココがイチオシ!

断崖絶壁の岩肌に紅葉が連なるパノラマがここの見どころ。県道28号を走りながらでも楽しめるが、広い駐車場もあるので、展望台からやウォーキングなどで岩と川、紅葉が織りなす絶景を心ゆくまで味わうのもいい。

ドライブマップ

 香嵐渓 愛知県豊田市足助町
② メタセコイア並木 滋賀県高島市マキノ町
③ 大台ヶ原ドライブウェイ 奈良県吉野郡上北山村
④ 面河渓 愛媛県上浮穴郡久万高原町
⑤ 深耶馬渓 大分県中津市耶馬溪町

本内容は、須藤氏が撮影したときの情報を基に編集しています。スポットの名称や、ライトアップの時期などは変更となっている場合もあります。また、天候等の事情で紅葉の見頃は変動しますので、お出かけ前に最新の情報をご確認ください。

『新・日本百名道』(大泉書店)

すどう・えいいち 1956年東京生まれ。アバコ撮影スタジオを経て1981年フリーカメラマンに。1985年から雑誌『アウトライダー』でツーリング写真の撮影を開始。以来、日本の道や風景をテーマにした写真を撮り続けている。『秋冬色の風景ドライブ―絶景の道を求めて』(2009年/JAF出版社)、『新・日本百名道』(2013年/大泉書店)など著書多数。

日本の絶景・Japan Beautiful Landscape


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