異世界への入り口? 国内の「奇妙な珍景」5選! 初夏のノスタルジック旅
人混みを避けてディープな日本を再発見。週末に行けるノスタルジックな穴場5選初夏の風が心地いい6月。どこか懐かしい郷愁(ノスタルジー)を求めてクルマを走らせていると、思わず「なんだこれ!」とハンドルを握る手に力が入るような、奇妙な光景に出会うことがあります。
都市の片隅に緑深く残された異形の遺構、役目を終えた人工物が静かに佇む風景……。SNSでも「まるで異世界への入り口」と密かに人気の高いジャンルです。今回は、ジメジメした梅雨空をも吹き飛ばす、知的好奇心を刺激する全国の「変わり種の絶景・珍景」を5つ厳選しました。人混みを避けた大人の穴場ソロドライブへ、いざ出発です。
ソロドライブをしたのは
栗原悠人さん(一人旅研究会)
くりはら・ゆうと 旅情・郷愁探訪家。1995年生まれ。旅情と郷愁を求め、日本全国のひなび空間・退廃的空間・秘境・温泉などを巡る。撮影した写真や動画を一人旅研究会 ウェブサイトやX、YouTube等で紹介している。著書に『ノスタルジック写真集』(マール社)など。
1. 長崎県・鼠島(ねずみしま)公園/海に浮かぶ「謎の廃船」を追え! 青い海と赤錆が織り成すディープなノスタルジー
船全景。いい天気だった
遠景
かっこいい……
正面からみた船
「東京都」の文字が確認できた
●鼠島公園/長崎県長崎市小瀬戸町1035 ※廃船は大変危険なため近づきすぎないよう注意して観賞してください。
長崎市中心部の南西にある、海沿いの鼠島公園。現在は周辺が埋め立てられて陸続きになっていますが、この一帯は昔、皇后島という一つの島でした。そんな穏やかな海辺でひときわ異彩を放つのが、半ば海に沈んだ廃船です。錆びた船体には「東京都」と書かれており、遠くからこの地まで来たようです。ここが安住の地……かというとそうではなく、あくまでも投棄物ですので、自治体は所有者に撤去依頼をかけたいそうです。しかし、既に所有者が追えなくなっており、このままの状態だそうです。
長崎県/鼠島公園のマップ
2. 愛知県・若宮大通公園/名古屋の都心に潜むジブリ空間!? 緑に完全に侵食された「廃歩道橋」のギャップ
完全に緑に覆いつくされている
頭上には名古屋高速が通る
歩道橋入り口
背後の都市の景観とのギャップがすさまじい
●若宮大通公園(廃歩道橋)/愛知県名古屋市中区大須4丁目(久屋交差点東側)
名古屋の都心部に、戦後の戦災復興の中で整えられた若宮大通があります。「100メートル道路」とも呼ばれ、名前のとおり幅員が約100m(!)もある道路空間であり、中央には公園が整備されています。これだけでもかなり珍しいのですが、内部に使われなくなった歩道橋があります。若宮大通公園久屋交差点付近に唐突に現れる、草木に覆われたかつての上り口はまるで異空間への入り口のよう。その背後にはビル群が並ぶのですが、そのギャップがたまりません。
愛知県/若宮大通公園(廃歩道橋)のマップ
3. 栃木県・鬼怒川(きぬがわ)温泉/行き方は存在しない!? 鬼怒川温泉の断崖絶壁に取り残された「赤い太鼓橋」の謎
鬼怒川沿いに旅館が建ち並ぶ一角に見える赤い欄干の廃橋
橋の両端はどこにもつながっていない
よく見ると床版(しょうばん)が朽ち落ちていた
●水明館跡(太鼓橋遺構)/栃木県日光市藤原1-17(旧跡地住所)
鬼怒川温泉街で見かけた、そそられる橋をご紹介します! 鬼怒川に架かるくろがね橋から下をのぞくと、岸壁に赤い欄干の橋が架かっているのが見えます。しかし、その橋の両端につながる道は存在せず、どうやっても辿り着くことができなそうです。この橋は、ここに建っていた「水明館」の太鼓橋の遺構だそうです。宿は2000年代に閉館したといいます。かつての水明館は、お城のような威風堂々とした外観でした。今では太鼓橋の跡だけが、ここに大きな旅館があったことを伝えています。
栃木県/鬼怒川温泉水明館跡のマップ
4. 山口県・長門市駅/線路の上に鳥居がズラリ!? 駅のホーム(0番線)に突如現れる奇妙な景色
赤い鳥居が連続して並んでいる!
0番線に向かうと…
駅舎
改札口
何の変哲もない駅のホーム
●長門市駅/山口県長門市東深川903-5 Tel. 0837-22-2600
山陰本線、仙崎支線、美祢(みね)線が交わる長門市駅。2024年3月には開業100周年を迎えました。山陰で多く見かける、橙(だいだい)色のキハ40系に旅情を誘われつつも、一番端にある0番線ホームに広がる見たことのない光景に、思わず足が止まるでしょう。なんと、線路上に朱色の鳥居が並んでいるのです! 鳥居をくぐるように列車が通るわけではなく、こちらは使われていないホームだそう。付近には、123基の赤い鳥居が連続して並ぶ姿が有名な元乃隅(もとのすみ)神社があり、そちらをモチーフにしているそうです。
山口県/長門市駅のマップ
5. 熊本県・八角トンネル/吸い込まれそうな幾何学模様。美しい緑に隠された八角形の鉄道遺産
ここを列車が通っていた
しばらく歩くとトンネルが見えてきた
広角レンズで撮ると迫力が増す
遊歩道入り口
奥に残る橋脚跡
●八角トンネル /熊本県下益城郡美里町小筵
八角形の不思議な形をしたトンネルは、1964年まで通っていた熊延(ゆうえん)鉄道の面影を、今に伝える鉄道遺産です。線路脇の土の崩落を防ぐために造られたと言いますが、「トンネル」と言いつつも壁全体がコンクリートで覆われているわけではなく、その理由は今では謎のようです。現在は付近に駐車場が整備されており、手軽に見学できます。また、トンネルの先もしばらく歩くことができ、背の高い橋脚が残されていました。この上を鉄道が通り、次の町までつながっていたんだな、としみじみしました。
熊本県/八角トンネルのマップ
クルマで出かけよう、自分だけの「異世界」へ
珍景と呼ばれる風景は、見た目の面白さだけで終わりません。思わず笑ってしまうような見た目の裏に、その土地の歴史や忘れられた役割や意外な経緯が潜んでいることもあります。旅先で「なんだこれ!」と心が動いた瞬間は、そうした物語に出会うチャンス。公共交通では辿り着きにくい場所でも、そのチャンスに出会えるのがドライブ旅の魅力でもあります。
一人旅研究会さんのソロドライブ記事はこちらから
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