2026年度開通! 圏央道「大栄JCT~松尾横芝IC」が変える首都圏ドライブ企画のキービジュアル
※写真のエリアはイメージです。
文=八百山ゆーすけ

2026年度開通! 圏央道「大栄JCT~松尾横芝IC」が変える首都圏ドライブ

神奈川から成田空港、北関東から千葉への第二のルートに!

首都圏を大きく囲む首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が、いよいよひと筆書きでつながる日が近づいてきました。

2026年度中に開通予定とされている千葉県の大栄JCT~松尾横芝IC間は、圏央道に残された“最後のピース”のひとつともいえる区間です。この18.5kmが完成することで、神奈川から成田空港へ、北関東から房総エリアへと、都心部を経由しない新たなルートが現実のものとなります。

これからの首都圏移動を考えるうえで知っておきたい、圏央道開通がもたらす変化と期待を解説します。

目次

首都圏をぐるりと結ぶ「圏央道」。 大栄JCT~松尾横芝ICが繋がるとどうなる?

大栄ジャンクション~松尾横芝ICのマップ

出典:関東地方整備局ウェブサイト(https://www.ktr.mlit.go.jp/chiba/chiba00324.html )

圏央道は、都心から約40~60kmの神奈川県、東京都、埼玉県、茨城県、千葉県を環状に結ぶ全長約300kmの高規格幹線道路です。都心から順に首都高速道路都心環状線、同じく中央環状線、東京外環自動車道の外側にある環状道路。常磐道や東北道、関越道、中央道、東名高速などと接続し、都心を経由せずにそれぞれを行き来できる交通のう回路として、物流を担うトラックをはじめ、多くのクルマが行きかっています。

圏央道は1990年代から建設が進められ、2025年12月現在、おおよそ東京湾をぐるっと回る形で全区間の9割の区間が利用されています。未開通となっているのは圏央道の一部となる横浜湘南道路と高速横浜環状南線、そして千葉県成田市の大栄JCTから山武市の松尾横芝ICの約18.5kmの区間です。神奈川県の2つの道路についてはまだ開通予定年度が公表されていませんが、千葉県の区間については、建設を進めている国土交通省とNEXCO東日本がこの区間の開通を2026年度中と見込んでおり、その中でも大栄JCT~多古ICの約9kmの区間については、1年程度前倒しでの開通を目指すとしています。

この未開通区間は成田国際空港の北側を経由し、圏央成田IC、多古ICというふたつのインターチェンジが設けられる予定です。とくに圏央成田ICは、現在成田空港の玄関口となっている新空港自動車道と並ぶ最寄りのルートになると見込まれています。

圏央道は2015年に大栄JCTから西側の区間が開通したことで、埼玉県や北関東方面から圏央道を使って成田空港にアクセスすることができるようになりました。東関東自動車道を挟んで東側となる大栄JCT~松尾横芝IC間が開通すれば、千葉県の房総半島南部のエリアや、東京湾アクアラインを経由して神奈川県方面からも成田空港にアクセスしやすくなります。

現在、東京都や埼玉県南部、神奈川県から成田空港にアクセスする主なルートは東関東自動車道です。例えば神奈川県方面から成田空港に行く場合、もっぱら首都高速を抜けて京葉道路や東関東自動車道を利用することになりますが、時間帯によっては都心部の区間が渋滞して、時間がかかる場合もあります。圏央道大栄JCT~松尾横芝IC間が開通することにより、東京湾アクアラインと圏央道を利用して、混雑する都心部を迂回することができるようになるわけです。

北関東から房総エリアに都心部を通らずにアクセスできる

また、埼玉や茨城、栃木、群馬といった北関東エリアの人にとっては、この区間の開通によって、千葉県の房総エリアがグッと近くなります。というのも、これまで北関東方面から房総エリアにドライブするようなときには、事実上、首都高速道路や東京外環自動車道(外環道)といった都心に近い道路を抜けて千葉県方面に向かうことになります。

休日であれば都心の道路の混雑はそれほど激しくなくても、逆に朝や夕方の時間帯に交通が集中する東京湾アクアラインや、そこに接続する首都高速湾岸線が渋滞するほか、京葉道路や東関東自動車道経由であっても、千葉市周辺の混雑は避けられません。また、現在、房総エリアへのメインルートである館山道は、休日の朝夕に行楽に向かうクルマ、行楽から帰るクルマで混雑します。

勝浦・御宿・鴨川…圏央道で行きやすくなる外房の名スポット

勝浦エリアイメージ写真

圏央道の大栄JCT~松尾横芝JCT間が開通すれば、北関東方面から圏央道を通ってそのまま房総エリアに南下するルートができます。圏央道の松尾横芝JCTから南の区間は、房総半島の中央部を通るルートということもあって、館山道を利用する場合に比べて特に太平洋に面した外房エリアへのアクセスがしやすくなります。

外房を代表するまちのひとつ、勝浦の朝市は400年の伝統があり、日本三大朝市のひとつに挙げられるほか、東洋一とされる海中展望塔があるかつうら海中公園があります。また、そのおとなりの御宿は『月の沙漠』の歌の舞台となった海岸で有名です。さらに足を延ばせば、シャチやイルカのショーで知られる鴨川シーワールドがあります。

また、一宮、いすみ、御宿、勝浦、鴨川と、太平洋にのぞむ外房エリアは、ビーチが連なる九十九里海岸や、2020東京五輪のサーフィン会場にもなった一宮をはじめ、マリンレジャーやマリンスポーツが盛んなエリアでもあります。

内陸に目を向けるとパワースポットとしても知られる養老渓谷があり、自然の中でハイキングやバーベキューが楽しめるほか、温泉宿や日帰り温泉も集まるエリアです。

ETC2.0であれば通行料が1割前後安くなる圏央道割引も利用できる

圏央道は都心部に交通が集中することを緩和する目的で整備が進められました。そのため、同じ2つのインターチェンジを結ぶルートでも、都心を通る必要がなければなるべく多くの利用者に圏央道を利用してもらいたいという狙いで、ETC2.0で圏央道を利用した場合は、本来の料金よりも1割前後安くなる「圏央道割引」が設けられています。

この割引はETC2.0車載器を搭載したクルマで、ETCが整備されているインターチェンジをETC無線通信で通行した場合に適用されます。例えば圏央道松尾横芝ICと木更津東IC間を普通車で通行した場合、ETC2.0以外で利用すると2,070円となるところを、ETC2.0利用だと1,750円となっています。この圏央道割引は海老名南JCT 〜 海老名IC間を除く全区間を対象としており、2026年度中に開通する大栄JCT~松尾横芝IC間にも適用される見込みです。

また、圏央道の東北自動車道から東側の区間の多くが、内回り外回り2車線の対面通行となっていました。しかし、近年交通量が増えるにつれて、朝夕を中心に渋滞が発生しています。そこで国とNEXCO東日本では圏央道久喜白岡JCT~大栄JCTの区間で、4車線化を進めています。

2025年3月には特に渋滞が頻発していた幸手IC~五霞IC間で4車線化が完成。2025年8月には常磐自動車道と東関東自動車道を結ぶ区間の、つくば牛久IC~牛久阿見IC間、阿見東IC~稲敷IC間でも4車線運用が始まっています。国土交通省とNEXCO東日本では、さらに久喜白岡JCT~大栄JCT間の残りの区間についても2026年度までに全線4車線化が完了見込み(資機材の調達等が順調な場合)としており、大栄JCT~松尾横芝IC間が開通する2026年度中には、圏央道の茅ヶ崎JCT~木更津JCT間が大回りしてつながることになります。

さらに、現在工事中の横浜湘南道路と横浜環状南線が完成すれば、横浜横須賀道路や首都高速湾岸線に接続し、東京湾を取り囲む大きな高速道路のネットワークができあがります。

八百山ゆーすけ

やおやま・ゆーすけ クルマとモーターサイクルを中心に、高速道路料金やETC、渋滞解消のような交通問題まで、乗り物に関するテーマの記事を、雑誌や書籍、ウェブに寄稿。愛車は車齢28年、37万kmのミニバン。乗り物以外にもドローンやカメラといったガジェットなど、マニアックな視点の記事を執筆している。

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