渋滞を引き起こさないためにも、スタッドレスタイヤへの早めの交換を
ノーマルタイヤでの冬季走行は、大規模渋滞の原因になる可能性も毎年冬になると、降雪による大規模な渋滞発生の報道を目にする。最近は、一般道だけでなく高速道路でも大規模な渋滞が発生しているのが現状だ。要因は道路の除雪が間に合わなかったり、豪雪による交通集中など様々だが、そのなかにノーマルタイヤ(夏タイヤ)による立往生も含まれている。
降雪による大規模な渋滞が発生する理由とは
除雪が間に合わないほどの降雪があると、道路が通行止めになったり、そもそも走行困難な道路が出てくる。そのため、走行可能な道路に交通が集中して渋滞が発生しやすくなる。こうした道路が除雪されないままでいると立往生が発生しやすくなり、渋滞がより大規模になる。この大規模な渋滞に巻き込まれると、何時間も車が動かせなくなることがある。高速道路など、ほかに迂回できない状況では、場合によっては渋滞解消までに数日かかった事例もある。
除雪や交通規制のタイミングはドライバー側でコントロールできないが、立往生を防ぐ手立ては講じることが可能だ。その代表例はやはりスタッドレスタイヤへの交換である。
ノーマルタイヤとスタッドレスタイヤの違いをテストで検証
雪がほとんど降らない地域では、スタッドレスタイヤやタイヤチェーンを持たないユーザーが多い。降雪時は道路が平坦であれば、ノーマルタイヤでも走れてしまう場合がある。だが、坂道ではノーマルタイヤで走行する車によるスリップ事故や立ち往生による渋滞が発生することが多い。そこで、過去に実施した「JAFユーザーテスト」を参考にしたい。このテストでは、圧雪路や氷盤路で坂道を上れるかをタイヤ種類別に検証している。
積雪があっても平坦路ではある程度走れるノーマルタイヤ。雪の坂道を登れるか検証。
テストは前輪駆動のコンパクトカーを使用し、圧雪路の上り坂(勾配が12%と20%)を上れるか、6種類のタイヤ(すべて新品)で検証した。各勾配で「平坦路から発進した」場合と、「坂道の途中から発進した」場合でテスト。
テストで使用したタイヤ。左からノーマルタイヤ、スタッドレスタイヤ、オールシーズンタイヤ、ノーマルタイヤ+オートソック、ノーマルタイヤ+スプレーチェーン、ノーマルタイヤ+タイヤチェーン。
少しの坂道でもノーマルタイヤは上れない
このテストの結果は下図の通り。12%勾配の上り坂ではノーマルタイヤのみ上れなかった。また、ノーマルタイヤではこの勾配に限らず、道路にわずかでも勾配があると、タイヤがスリップして上れないことが多かった。さらに急な20%勾配では、平坦路からスタートしたスタッドレスタイヤしか上れなかった。
20%の坂道では、平坦路からスタートしたスタッドレスのみ上れた。他のタイヤは少し上れても、すぐにスリップしてしまい上り切ることができなかった。
立往生しないための対策とは
このテストでは、上記とは別に勾配9%の氷盤路(凍った道)を上るテストも行ったところ、スタッドレスタイヤでも上れなかった。しかし、スタッドレスタイヤにタイヤチェーンを装着すると、上ることができた。
凍った道ではスタッドレスタイヤでもわずかな勾配で上れなくなった。
このことから、降雪の有無に関わらず低温の場所を走る可能性がある場合は、早めにスタッドレスタイヤを装着することがおすすめだ。かつ、タイヤチェーンを携行すればなお安心してドライブできる。ただし、スタッドレスタイヤやタイヤチェーン装着でも過信は禁物。積雪や凍結している道路を走る場合は、慎重に運転することがもっとも有効な対策といえるかもしれない。