寒くなってきたら、即スタッドレスタイヤへの交換が「吉」。その理由とは
雪が降らなくても交換したほうがいい地域も2023年も11月半ばに差し掛かり、全国的に一気に気温が低下。各地から雪の便りも届くようになった。一方「自分が住んでいるところはまだまだ夏タイヤで大丈夫」と思っているドライバーも多いことだろう。だが、実は寒くなったらスタッドレスタイヤなどの冬タイヤに変えたほういい理由がある。
夏タイヤは冬に減る
2022年、当サイトで全国のJAF会員ドライバー「冬タイヤ事情」のアンケートによる調査結果を公開した。それによると、北国~日本海側のほとんどのドライバーは当然のようにスタッドレスタイヤなど冬タイヤへ交換していた。一方、日常的に雪が降らない地域では、交換しないドライバーが圧倒的に多かった。
ここで気にしたいのが、雪ではなく「気温」だ。一般にドライ路面では、夏タイヤより冬タイヤの方がグリップ力が弱い。だが、気温が下がると、ドライ路面でも夏タイヤよりも冬タイヤのほうがグリップするようになる。このことはあまり知られていないが、モータージャーナリストの菰田潔氏は「夏タイヤと冬タイヤの優位性が逆転する気温が7℃。夏タイヤは冷えて温度が下がるとゴムが硬くなり、グリップが弱くなります。冬タイヤは冷えてもしなやかさを保つゴムを使っているので、冷たいドライ路面でもグリップが落ちてこないのです」と語る。
スタッドレスタイヤへの交換は早めに検討しよう。
また「雪もないのに冬タイヤを履いたら、タイヤが減るからもったいないと思っている人も多くいます。実は、夏タイヤは寒い冬にこそ摩耗がより進むのです」(菰田氏)。雪がないからといって、冬季に夏タイヤで走っているとタイヤが減りやすいことから、逆に損をしているという見方もできる。つまり、気温が7℃を下回るようになったら、冬タイヤへの交換を検討したほうがよいかもしれない。
いざ雪が降ったり、路面凍結してからでは遅い
また、異常気象が進んだといわれる近年は、突然大雪に見舞われる地域も出てきた。また、雪が降らなくても気温の低下で雨が凍り路面が凍結する場合もある。そうした場面では、夏タイヤのままだと危険性が高くなる。こうした雪道や凍結路面で、タイヤの違いによる制動距離を検証したJAFユーザーテスト によると、「走れるが止まらない」結果が出た。
タイヤと路面の条件を変えてテストした。
このテストでは、夏タイヤ(ノーマルタイヤ)や冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)に加えて、オールシーズンタイヤやタイヤチェーン装着など様々なタイヤを検証した。時速40kmから急ブレーキを踏み、制動距離を測定した(ABS作動)。路面は圧雪路と氷盤路の2種類。結果は下図の通り。
スタッドレスタイヤの優位性が際立つが、凍った路面ではタイヤチェーンはさらによく止まることが分かる。
スタッドレスタイヤが最も短い距離で停止できた一方、ノーマルタイヤはその約1.7倍も制動距離が長くなった。テストではノーマルタイヤでも発進、加速ができたことから、文字通り走れるが止まらないという恐ろしい状態となった。スタッドレスタイヤは言わずもがなよく止まることが分かったが、これにタイヤチェーンを携行するとさらに心強い。
これから冬の本格的な到来を前に、冬タイヤへの交換を早めに検討するとよいだろう。