疑問解決!? JMO特命調査団

普段からショートカット気味に右折していませんか? 100人のドライバーを調査!

ショートカット右折が癖になると重大事故につながる可能性も…

2023.03.30

文=高橋 剛/イラスト=北極まぐ/写真=柴田直行

2023.03.30

文=高橋 剛/イラスト=北極まぐ/写真=柴田直行

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交差点を右折するとき、交差点の中央寄りを通る正しい右折ができているだろうか? ついうっかり「ショートカット右折」をしてしまっているかも……という方は要注意! 重大事故につながりかねない危険な運転だ。
今回は街中の交差点でショートカット右折の実態を調査。モータージャーナリストの菰田潔さんに解説していただいた。


ショートカット右折って、そもそもどんな右折?

菰田さんコメント:
「ショートカット右折とは、交差点での右折時に早めにハンドルを切ってしまい、交差点の中央寄りを通ることなく、最短距離(ショートカット)で行こうとする行為のことです。
右折先の停止車両や、横断歩道の歩行者、自転車などに気づかないことが多く、衝突のおそれもある大変危険な右折方法ですね。
皆さんは、交差点での正しい右折方法を覚えていますか? 下記、道路交通法第34条2項をご覧いただくとして、大切なポイントがふたつあります。
ひとつめは、『交差点の中心の直近の内側』という通行すべき場所。そしてもうひとつは、『徐行』です。
このふたつをしっかりと守っていれば、ショートカット右折にはなりようがありません。逆に、このふたつを守っていないからこそ、危険なショートカット右折になっている、ということです」

(道路交通法第34条2項)
自動車、原動機付自転車又はトロリーバスは、右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央に寄り、かつ、交差点の中心の直近の内側(道路標識等により通行すべき部分が指定されているときは、その指定された部分)を徐行しなければならない。

ショートカット右折する車

片側1車線の交差点で100台を調査

今回調査したのは、街中の交差点。片側1車線で信号があり、交差点の中央を示す路面標示はない。よく見かける、ごく一般的な交差点だ。調査の時間帯は平日の昼過ぎで、車の交通量および、歩行者・自転車の数も多め。調査団員2名が歩道に立ち、目視と録画で右折する車100台を観察した。

交差点全体

交差点全体

調査団員の調査風景

(注)
歩道に立っている調査団員の目線からは、車が「交差点の中心の直近の内側」を通過しているかどうかを正確に判定しにくい。また、徐行に該当する速度かどうかの計測も困難だ。

そこで今回の調査では、わかりやすい目安として、右折前の道路のセンターライン、および右折先のセンターラインをタイヤが踏んだかどうかを確認。踏んでいた場合は、今回はショートカット右折として判定した。
車両のサイズが大きい場合には、正しい右折方法でも右折先のセンターラインにタイヤがかかってしまう場合がある。また、小型車の場合は正しく右折しなくても、右折先のセンターラインにタイヤがかからない場合もある。
しかし、今回の調査を行った調査団員の印象では、右折中にセンターラインをタイヤが踏んだ車は、ショートカット右折になっていた。

なお、この交差点でセンターラインを踏むこと自体は違法ではない。

100台中40台がショートカット右折!
実数はもっと多い!?

右折終わりにセンターラインを踏んだ車は、33台にもおよんだ。また右折始めにセンターラインを踏んでしまっている車も3台。右折始めと曲がり終わりにセンターラインを踏んだ車も4台いた。
センターラインを踏んだかどうかをショートカット右折の判定基準とした今回の調査では、40%がショートカット右折をしたことになったが、これは実際の印象よりかなり甘め。「交差点の中心の直近の内側を徐行する」という道交法どおりの正しい右折をしているドライバーは、ほとんどいなかったのが実情だ。
スピードは全体に速めで、しっかりと徐行しての右折は見られず。また、右折先に対向車がいなかったり、横断歩道に人影が見られないときほど、ショートカット右折が目立った。

菰田さんコメント:
「いつも通行の様子を見ていますが、ショートカット右折が4割とは、実際よりだいぶ少ない印象ですね。私が実際に運転しながら確認している限りでは、正しく右折しているドライバーはほぼ皆無です。

通過すべきポイントを通過していませんし、何よりもスピードが速い。徐行というのは『車両等が直ちに停止できるような速度』。道交法では具体的な速度までは示されていませんが、おおむね時速10km以下となります。

でも実際には十分に減速せず、お世辞にも徐行とはいえないスピードで右折しているドライバーがほとんど。交差点が事故の多発地点であることもうなずけます」

円グラフ

ショートカット右折はこんなに危険!
絶対にやめるべき理由とは

菰田さんコメント:
「ついやってしまいがちなショートカット右折。私の印象では、とにかくスピードを落とさずに急いで右折しようとするドライバーが多いですね。
交差点では事故が多いですから、皆さん、右折は落ち着いて安全確認をしっかりしてください。

右折待ちのときは、後方で順番待ちしている車からのプレッシャーがかかりますし、『対向車が切れて、行けるときに行っちゃおう』などと、とかく焦りやすい状況になりがちです。

しかし右折は、右方、左方、そして正面から近づいてくる車はいないか、右折先に歩行者や自転車はいないか、正面の対向車の間からバイクが出てこないか、などなど、確認すべき事項がとても多い運転行動でもあります。

しかもピラーやドアミラーなどで死角も多い。慌てたり焦ったりしていると、見落としが発生しやすいんです。そしてひとつの見落としが、歩行者や自転車を巻き込んだり、正面衝突など重大事故につながったりする可能性が高い。センターラインの無い狭い道の交差点ではより危険度が増すので注意が必要です。『右折は簡単なものではない』と認識していただき、今すぐにでもショートカット右折する運転を改めてもらいたいものです。

なお、狭い交差点で右折待ちの対向車がいる場合など、『交差点の中心の直近の内側』を通りづらい場合がありますが、しっかりスピードを落としてからハンドルを切ることで、ショートカット右折にならずに曲がれます」

改めて知っておきたい
正しい右折方法とその意味

菰田さんコメント:
「私の見解では、ショートカット右折はあまりにも多すぎます。間違った右折方法が当たり前になってしまい、悪(あ)しき交通文化になっているようにさえ思います。この悪い連鎖は、断ち切らなければなりません。

右折は、しっかりと徐行しながら、交差点の中心の直近の内側(または指定された部分)を通る。つまり、道交法どおりの右折が当たり前になるべきです。

イメージとしては、時速10km以下のスピードで交差点中央付近まで直進し、該当するポイントに差しかかったところでハンドルを大きく右に切ります。中央付近まで直進していれば、交差点全体の状況も視認しやすいでしょう。

ハンドルを大きく切っての右折が可能なのは、きちんと徐行しているから。逆に言えば、ハンドルを大きく切れないということは、スピードが出過ぎている証拠。ご自分の右折を見直す目安にしてください」

菰田潔の運転レッスン・正しい右折方法の記事はこちら

菰田 潔

こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。

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