文=高橋 剛/写真=柴田直行/イラスト=北極まぐ

何げない車線変更に事故の気配! 実地調査で見つけたアブナイ車線変更あるある!

人の「車線変更」見て我が「車線変更」直せ!

前回の調査「ウインカーを出さない危険な車線変更が横行中!? 日本の大動脈・東名高速で調査!」で判明してしまった、高速道路にはびこるアブナイ車線変更の横行。今回は調査中、実際に確認されたアブナイ車線変更あるあるを一挙紹介。やってはいけない車線変更のオンパレードを、皆さんの反面教師としてぜひご活用いただきたい。

目次

その車線変更、重大事故を招く『キタナイ運転』かもしれません!

車線変更の様子

たくさんの危険が潜んでいる車線変更。道路交通法違反が明らかな「完全アウトの車線変更」もあったが、モータージャーナリストの菰田潔さんは「法律的にはグレーだが、かなり危険な車線変更も多々ある」と指摘する。「周囲への気遣いがまったくない、不適切な車線変更が多い。『キタナイ運転』ですよ」と強い言葉で警鐘を鳴らす。菰田さん曰く、運転テクニックへの過信が招く自分勝手な『キタナイ運転』。ここから紹介するアブナイ車線変更あるあるは、事故と紙一重の危険行為だ。

ウインカーは出すものの2、3回程度の点滅でやめてしまう

ウインカーレバー

車線変更の動作をしている間、ウインカーは点滅しているべき。まわりに自分の動きを知らせるのは、運転するうえで非常に重要です。でも、「とりあえず出しておけばいいだろう」と、2、3回しかウインカーを出さない人が多い。車線変更を合法的に行おうとするとウインカー回数は10回程度になるはず。2、3回では合図としてまったく不十分で、違反していることになります。

もちろんドライバーの怠慢ですが、私はワンタッチウインカーの普及にも原因があると見ています。ウインカーレバーをハーフストロークさせればウインカーが3回程度(回数はメーカーによる)点滅する仕組みですが、車線変更には足りません。ワンタッチウインカー任せにせず、ウインカーレバーをしっかりとフルストロークさせ、しかるべき回数のウインカーを心がけてください。

前を走る車にギリギリまで迫り、割り込み気味に車線変更

割り込み気味の車線変更

自身の車線の先行車との車間距離を詰めてからサッと車線変更してしまうドライバーは、タイミングを計れているわけですから、運転にはそこそこ自信があるんでしょうね。渋滞時など状況によっては違反とは言い切れない、グレーな行為です。しかし私はこれこそ『キタナイ運転』の最たるものだと思っています。

ギリギリまで前の車に近づいてから割り込み気味で隣の車線に移る車線変更は、十分な車間距離を保ったうえでの車線変更より前に入れる可能性が高くなり、自分では「カッコいい」と思っているのかもしれません。でも周囲はどうでしょう? たとえば、行列のできる飲食店でいきなり割り込む人がいたら、どう思いますか? 誰ひとりカッコいいとは思いませんし、ケンカが勃発するかもしれませんよね。

車線変更も同じ。身勝手な『キタナイ運転』は、周囲を驚かせ、危険にさらします。本当に運転に自信があるドライバーほど、周囲に気配り・目配りする余裕を持てるはず。今一度、ご自分の運転を見直していただきたいですね。

ブレーキを踏んでからウインカーを点けて車線変更

まずはブレーキの前にウインカーを出すのが車線変更の鉄則ですが、これから移ろうとする車線のスピードに合わせる場合もあるので、ブレーキを踏むこと自体が違反とは言い切れません。しかし、ブレーキ→ウインカーの順は周囲を混乱させる恐れがあり、あまりスマートではないですよね。

ビギナードライバーほど、車線変更に対して恐怖心があるようです。自信がないから、ついブレーキペダルに足が伸びてしまう。やることも多いから、慌てているんですね。また、車線変更時にスピードが出過ぎていてブレーキを踏むドライバーは、先読み不足のおっちょこちょいが多いようにも思います。

まずは落ち着いて、周囲の流れに自分のスピードを合わせましょう。不必要なブレーキは周囲を混乱させます。できるだけスピードを一定に保って、高速道路での車線変更を安全にこなしてください。

走っている車線が工事でなくなるのに、ギリギリまで粘って車線変更

車線減少の看板

実はこのやり方、合流では理想的。あわてて合流するより、できるだけ先まで行って合流したほうがスピードも乗せられますし、余裕が持てて安全です。しかし、車線変更では避けたいですね。

高速道路で工事などにより車線減少する場合は、必ず何kmか手前から告知されています。にもかかわらずギリギリで車線変更するのは、車間距離を詰めてからの車線変更と同様、「一台でも前に入ってやろう」という意識があるから。周囲としては強引な割り込みにしか見えず、これも『キタナイ運転』にあたると思います。

もっとも、ビギナードライバーはタイミングがうまくつかめないことが多く、やむを得ずギリギリになっている場合があります。事前の告知標識を目にしたら、早めの車線変更を意識しましょう。目安としては、車線減少より500m手前までには車線変更を完了しておきたいものです。

なお、渋滞時には車線が減少するポイントまで進んでから車線変更する「ファスナー合流」が効果的。交通の流れを妨げることなくスムーズに車線変更することができます。ICやJCTでの本線への合流とはシチュエーションが違うので一概に同じとは言えませんが、車線減少の場合には「流れていれば早めに、渋滞していたらファスナー合流」を基本にしましょう。

第1車線から第3車線(追い越し車線)まで、一気に車線変更

非常に危険! 自分の運転テクニックを過信しているドライバーがやりがちな、『キタナイ運転』ですね。複数の車線を一気に車線変更するのは、たとえウインカーを出し続けていたとしても、周囲は大変に怖い思いをしています。

本人は腕に自信があり、安全確認もできているつもりなのでしょう。しかし、車は思っている以上に死角が多く、見落としも多いもの。一気に車線変更するドライバーはやたらと飛ばしている人が目立ちますので、ますます見落としが発生しやすい。同じタイミングで逆方向の車線変更をしてくる車がいたら、避けることができず、大事故の原因となります。きちんと1車線ごとに車線変更の行為を行っていただきたいものです。

隣の車線にスペースができた瞬間、「ラッキー!」とばかりに車線変更

他車が隣の車線から自車線へと車線変更してきて、「空いた!」と思った瞬間にそのスペースに自分が滑り込む……。周囲の動きを素早く読み切っているつもりなのでしょうが、とんでもない。常に不測の事態が起こり得るのが運転です。

たとえば、別の車もそのスペースに入ろうとしているかもしれない。たとえば、車線間をバイクがすり抜けしてくるかもしれない。『かもしれない運転』が身に付いていれば、「隣が空いたぞ、ソレッ」という反射的な動作はできないはずなんです。

つまり、不注意の極みですね。これも自分の運転を過信しているからこその『キタナイ運転』に当てはまります。

『キタナイ運転』の向こうには重大事故が潜んでる!
法律順守だけでなく周囲の車への気遣いも交通安全には不可欠

私が言う『キタナイ運転』とは、周囲のことを考えない身勝手な運転のことです。今回、アブナイ車線変更あるあるを解説しながら気づいたのですが、『キタナイ運転』をするドライバーのほとんどが、「自分はうまい」と過信しているように思います。必要以上に素早い車線変更の悪例が目立つのは、そのせいでしょう。

運転には、認知・判断・操作の3要素があります。自分の運転を過信しているドライバーは、自分本位な判断と、うまいと思い込んでいる操作に頼りがち。なまじ運動神経に自信があるものだから、パパッと判断してサッと操作してしまい、認知がおろそかになっているんです。

運動神経に自信があると、たまたま素早い車線変更ができてしまうことがある。一度うまくいったものだから、「ほらいけた」「またいけた」と、誤った車線変更が常態化してしまいます。その陰で、どんどんリスクが膨れあがっていることにも気づかずに……。

いくら運動神経が優れていても、常に変動し続ける周囲の状況を正確に把握することは大変に困難です。いつもどこかに見落としがあり、リスクが潜んでいると思っておいたほうがいい。となれば、判断や操作は慎重になるはずなんです。

周囲の車に気遣いができるようになると、ルールを守った安全運転ができるようになり、身勝手な『キタナイ運転』もしなくなります。改めて交通社会の中でのご自分の振る舞いを見直してみてください。

高速道路でのウインカーを出さない車線変更の調査はこちら

菰田 潔

こもだ・きよし モータージャーナリスト、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長、BOSCH認定CDRアナリスト、JAF交通安全・環境委員会委員など。ドライビングインストラクターとしても、理論的でわかりやすい教え方に定評がある。

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