プラグかぶりが発生!? エンジンがかからずJAFにSOS
クルマのトラブルがきっかけで生まれる、お客様とJAFロードサービス隊員との間の「ストーリー」。
JAF Mate Online編集部に寄せられたエピソードを毎月ご紹介。今月は、クルマを移動してすぐにエンジンを切ったら、次はかからなくなってJAFを呼んだケースをお届けします。
浄化槽清掃のためにクルマを移動して…
浄化槽のある集合住宅にお住まいの愛知県の大島さん。2か月に一度の浄化槽清掃が実施される日は、駐車場のクルマを移動しておく必要があった。3月の浄化槽清掃日、朝のうちにご主人が清掃の邪魔にならない隣の駐車スペースにクルマを移動して出社。午後になって清掃作業も終わったので、クルマを元の位置に戻そうとすると、エンジンがかからない! 原因もわからずご主人も不在のなか、困った末にJAFに救援を要請した。
- エンジンがかからない原因はプラグかぶり
救援内容は「エンジンがかからなくなった」というものでした。現場に到着してから、普段のクルマの使用頻度や最後に使用したのはいつか、救援要請時はどんな症状だったか、などを大島様に伺うと「今朝、少し移動してすぐに止めた」ということと、「ドアは普通に開いたが、エンジンがかからなかった。かかりそうな音はしたと思う」ということでしたので、プラグかぶりが原因ではないかということが推測できました。
というのも、プラグかぶりは、冷えている状態でエンジンをかけようとした際に、濃いめに送られた燃料が気化しないまま残りプラグが湿ってしまい、火花が飛ばずエンジンがかからなくなる現象です。暑いときには起きにくいかもしれませんが、今回のケースのように、気温が低いときにエンジンをかけてすぐに切ってしまうと、この現象が起きることがあります。また、プラグかぶりの場合は、エンジンをかけようとしたときにセルモーターの回る音がすることが多いのも特徴です。
ひとまず基本点検を行いましたが異常はなく、次にバッテリーの状態を確認しましたが、電流や電圧は正常の値で異常はありませんでした。そこで、エンジンをかけてみることに。キュルキュルというようなセルモーターの回る音が、点火しかけているサインのブルッという音に変わる瞬間に、アクセルの踏み込み具合を調整して空気を送り込むと、始動しました。この方法は「あっという間にエンジンがかかった」ように見えるかもしれませんが、音の聞き分けなどのコツが必要で、やみくもにエンジンをかけようとすると、バッテリー上がりなどを引き起こしてしまう危険性もあるので、ご自身で行う場合は注意が必要です。
プラグかぶりを防ぐ方法は、エンジンをかけたらすぐに切らずに、ある程度の時間はかけたままの状態を保つことです。クルマにもよりますが、水温計の警告灯がある場合はそれが目安になると思います。冷えていると青(緑)に点灯している警告灯が、温まって消えるまでは、エンジンをかけておきましょう。(石坂 豪隊員・愛知支部)
JAF RESCUE TRIVIA
暑い夏でもプラグかぶりは起こる!?
プラグかぶりというと、冬の寒い朝に燃料が気化されず、プラグを湿らせてしまうことが原因となることが多いです。しかし、暑い夏場でもプラグかぶりによるエンジン不始動は起きています。
エンジンの燃焼室では、燃え切らなかった燃料がカーボン(すす)となって溜まってしまいます。このカーボンがプラグに付着すると、火花の飛びが悪くなり、プラグかぶりを起こします。遠因としては、冬場のエンジンがかかりにくいときに燃え切らなかった燃料が原因のことが多いです。冬場にプラグかぶりを起こしていたり、エンジンがかかりにくかったりしたときは、夏場でも注意が必要です。
プラグの役割とメンテナンス方法
プラグは、ガソリンを燃焼させるエンジンにとってとても大切な部品です。プラグの性能によってガソリンの燃え方が変わるため、エンジンのパワーや燃費に大きく関わります。プラグを良い状態に保つことでエンジンの性能を最大限に使うことが可能となります。
現在使われているプラグは、耐久性が上がっており10万㎞ほど使用できる製品も多くあります。しかし、短距離や短時間の走行ではプラグが持つ自浄作用が働きにくく、汚れが付着することもあります。そのため、定期的な点検や必要に応じた清掃は必要です。プラグの点検にはプラグレンチなど専用の工具が必要となりますので、整備工場などにお願いしましょう。