洗車後にエンジンがかからず…千思万考の末、JAFへSOS
11月末のある日の朝、愛知県の深谷さんは自宅前で愛車を洗車してカーポートに戻した。午後になって出かけようとしたところ、愛車のエンジンがかからない。「高額の修理費用がかかるだろうか」、「長年乗っていて走行距離も10万km以上なので買い替えないといけないだろうか」、「約束の時間も迫っているのにどうしよう」と、いろいろなことが頭をよぎるなか、JAFへ救援を要請した。
「バッテリーが上がったかもしれない」と救援要請を受けましたが、バッテリーチェックをしたところ異常はありませんでした。また、バッテリーが弱っていると、エンジンを始動させるための部品であるセルモーターの回り方も弱まるのですが、よく回ったので、原因はバッテリーではないと推測できました。
そこで、プラグ部分へ電気を流す配線の不具合か、プラグ本体に問題があり火花が飛ばなくなっているか、燃料が足りていないか、などが考えられました。
配線を調べてみると、電気は通常通り流れていて問題ありませんでした。しかし、プラグを外してみると、濡れているように見えるほど先端に燃料が付いていました。きれいに拭き取ってからつけ直し、セルモーターを回すと、エンジンがかかりましたので、この「プラグかぶり」が原因だったということがわかりました。
プラグは、エンジンをかけるための火種の役割をしていて、うまく機能しないとエンジンがかかりません。「プラグかぶり」とは、このプラグが燃料で湿ってしまい、火花が飛ばなくなってしまった状態のことです。
エンジンをかけた直後は、燃料を送り出そうとしてアイドリングの回転数が通常よりも高くなります。しばらくすると通常の回転数に戻るのですが、その前にエンジンを切ると、送り出された燃料が気化せずに残ってしまい、「プラグかぶり」の原因になることがあります。今回のケースも、洗車した愛車をカーポートに戻すために少しだけ移動して、すぐにエンジンを切ってしまっていたようです。なるべく、エンジンをかけた後はすぐに切らないようにしましょう。
(加藤達哉隊員○愛知支部)
JAF RESCUE TRIVIA
「プラグかぶり」はどんなときに起きやすい?
気温が低い冬場や、湿度が高い雨の日に多い現象です。また、短距離走行が多いと、プラグの自浄作用が働かずに汚れやすくなるため、起きやすくなります。プラグには、熱価という指数があります。車の使用方法にもよりますが、この熱価を変えることで「プラグかぶり」の発生を抑えることができます。自動車販売店や修理工場に相談してみてください。
寒くなる冬に注意すべきことは?
気温が下がると、フロントガラスが凍結することがよくありますが、手早く溶かそうとして熱湯をかけると、急激な温度変化によりガラスが割れてしまうことがあります。朝露がガラスに付かないように、ボディカバー等を使用して凍結を防ぎましょう。
また、リアガラスの曇り取りのためにリアデフォッガー(ウインドーの結露や凍結を除去する装備)を使用することも多いと思いますが、リアデフォッガーは多くの電力を消費します。特に軽自動車や小型車は、発電機やバッテリーに負担がかかるため、必要最低限の時間で止めるようにしましょう。
また、橋の上やトンネルの出入り口は気温が3℃を下回ると路面が凍結している可能性が高いため、特に注意して走行しましょう。手前で減速し、急ブレーキや急ハンドルの操作を行わないようにしてください。さらに、冬場は日が暮れるのが早くなりますので、早めのライト点灯を心がけましょう。