帰宅目前で水温計の針がHに振り切り! 異音と異臭もしてきてパニック寸前‼
クルマのトラブルがきっかけで生まれる、お客様とJAFロードサービス隊員との間の「ストーリー」。 JAF Mate Online編集部に寄せられたエピソードを毎月ご紹介しています。今月は、帰宅目前に水温計の針がHに振り切り、異音と異臭がしたケース。
ガクンという衝撃とともに水温計の針がHに振り切り…
宮崎県の佐伯さんは仕事を終えて愛車で自宅に向かっていた。帰宅直前にガクンという衝撃とともに水温計が冷却水が高温になっていることを示す「H」に振り切った。「なんだろう」と思っていると、エンジンルームからポコポコという音と異臭が。怖くなりつつも訳がわからないまま、やっとの思いで自宅アパートに到着。すぐにいつも愛車を点検してもらっているお店に連絡をすると「レッカーしてきてください」と言われ、迷わずJAFに救援を要請。自宅アパートは狭い道路に面していて、出入り口も狭かったが、絶妙かつ丁寧な作業をしてくれた JAF 隊員に感謝の気持ちでいっぱいになった。
- 狭い駐車場から4輪をつり上げて脱出
救援要請を受けてレッカー車で向かい、到着してクルマの状態を確認すると、オーバーヒートしたときの独特な臭いがしていました。また、クルマの下にはオイルが漏れたような跡もありました。佐伯様にお話を伺うと、水温計の異常に気づいたときには、異音と異臭のほかにエンジンルームから少し煙も出ていたようで、オーバーヒートであることは間違いなさそうでした。そのまま走行を続けていたらエンジンが焼き付いて破損してしまう危険性もありましたが、幸いそこまで重傷ではありませんでした。
佐伯様のご希望は「すでに点検の予約をしたので、そのお店まで運んでほしい」とのことでしたので、早速けん引の準備を始めました。クルマは四輪駆動タイプで、4輪ともつり上げる必要がありました。アパートの駐車場はある程度広かったのですが、出入り口の幅が狭く、面した道路の幅も狭かったので、つり上げ作業中にクルマが駐車場から道にはみ出してしまわないように、内輪差や外輪差、クルマの動きを計算して、切り返さずに出られそうなラインを見極めつつ、安全なルートを確保して駐車場から出しました。前輪は持ち上げ、後輪はドリーという台車のようなものに乗せてけん引し、約3㎞搬送し工場へ入庫して完了となりました。
オーバーヒートに気づくためには、運転中にもメーターパネルを確認するようにしましょう。最近のクルマは水温計が付いていないタイプもあります。その場合は水温警告灯が付いていて、エンジンを始動させた直後は青(または緑)に点灯し、エンジンが温まって適正温度になると消灯するのですが、警告灯が赤く点灯(点滅)したら異常を示しています。また、今回のように異音や異臭がしたら、オーバーヒートのサインです。(荒木淳一隊員・宮崎支部)
JAF RESCUE TRIVIA
オーバーヒートはどのようなときに起きる?
通常は冷却水が循環してエンジンを適正温度に保ちます。しかし何らかの原因で適正温度を超えてしまった状態がオーバーヒートです。
オーバーヒートを起こす主な原因は2つに分けられます。
ひとつは上り坂などでエンジンに大きな負担がかかりエンジンが発する熱量が大きくなったためにエンジンの冷却が間に合わない場合、もうひとつは冷却系統に不具合が発生して冷却水が循環しなくなりエンジンを冷却できなくなった場合です。
どちらの場合も走行し続けることは危険です。安全な場所に停車させてJAFに連絡をしてください。
ボンネットを開けて外気でエンジンを冷やすことが大切ですが、エンジン本体や周辺機器は非常に熱くなっています。やけどをする危険がありますので触らないようにしましょう。
エンジンを冷やす役割「冷却水」の特徴は?
エンジンを冷やす冷却水(クーラント)には色と臭いがついています。
LLC(ロングライフクーラント)の色は赤または緑、スーパーLLC(スーパーロングライフクーラント)の色はピンクまたは青となります。また、冷却水は甘いシロップのような臭いがします。走行中にエアコン吹き出し口から甘い臭いがしてきたら冷却水が漏れている可能性があります。そのまま走行すると、冷却水不足でオーバーヒートする可能性が高いので、すぐに点検しましょう。