後部座席から降りるイメージ
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

後部座席の同乗者が勝手に下車して、後続車に危険を及ぼしたらドライバーの違反?

あなたの行動、ひょっとしたら違反かも

停車したクルマから子供が飛び出し、交通に危険を生じさせてしまった際のクイズをお届け。運転歴が長くなると、違反かどうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

小学生の子供を塾に送って行きました。塾の前の道路にちょうど停車できるスペースがあったのでクルマを停止し、後部座席の右側に座っていた子供に「着いたよ」と声をかけ、ドアロックを解除しました。授業に遅れそうで焦っていたようで、子供はすぐに自分で右側のスライドドアを開けてクルマから飛び出し、後方から走ってきたクルマに急ブレーキを踏ませてしまいました。幸い事故にはなりませんでしたが、子供には安全確認をしてからドアを開けるよう言い聞かせなければならないと思いました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:2. ドライバーが安全を確認しないまま、後席の子供がドアを開けて車を降り、交通に危険を生じさせたので違反

道路交通法は、ドアを開けたり降車するときにドライバーが守らなくてはならい事項として、ドライバー本人が「安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りない」ようにすることに加えて、「その車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること」を規定しています(道交法第71条4号の3)。
このように、クルマの乗員が、安全確認をしないままドアを開けないようにすることは、ドライバー本人の義務ですから、同乗者が交通の危険を生じさせるようなドアの開放や降車をしたときには、ドライバーの義務違反となり、罰則はドライバーに適用されることになるのです。

従って、答えは2の「ドライバーが安全を確認しないまま、後席の子供がドアを開けて車を降り、交通に危険を生じさせたので違反」となります。

子供がクルマのドアを開けることができないようにするためには、内側からはドアを開けることができなくなるチャイルドロックをかけることが有効です。子供も小学生になると、交通ルールを覚え、自分で安全確認することを身に付けていきます。親のほうでも、子供の自主性に任せる機会が増えていくかと思われます。しかしながら、子供ならではの突発的な行動もあり、親が注意しなければならないこともまだたくさんあるでしょう。

チャイルドロックのボタン

チャイルドロックは、後席ドアを開けるとロックボタンがあることが多い。設置場所は車種によって異なるので事前に確認しよう

特にクルマを運転することによる危険を理解したり、想像したりするのは小学生にはまだ難しいことではないでしょうか。子供が一人でクルマのドアを開けて降りられる年齢になっても、周囲の安全確認と、安全なタイミングを教えるのはドライバーの責任です。子供に限らず、大人でもついうっかり開けてしまうこともあります。クルマを停車後、車道側ではなく歩道側のドアから、安全確認を行ったうえで降りるよう声をかけてあげましょう。


道路交通法
(運転者の遵守事項)
第71条
車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。
(中略)
4の3  安全を確認しないで、ドアを開き、又は車両等から降りないようにし、及びその車両等に乗車している他の者がこれらの行為により交通の危険を生じさせないようにするため必要な措置を講ずること。
(以下略)

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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