左折可交差点のイメージ
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

自転車で走行中、一時停止の標識がある交差点で一時停止しなかったら、違反?

あなたの行動、ひょっとしたら違反かも

自転車で走行中、一時停止の標識がある交差点を通過する場合のクイズをお届け。自転車は、違反かどうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反に当たる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

住宅街の下り坂を自転車で走っています。前方の交差点に一時停止の標識はありますが、カーブミラーが立っており、左右の安全確認はできそうです。実際にカーブミラーで交差する道路の状況を確認し、スピードを落として交差点を通り過ぎました。
この行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:2. 自転車も一時停止しなければならないので、違反

道路交通法では自転車は軽車両に分類されます(道路交通法第2条1項11号イ)。軽車両は自動車と同じ「車両」の一つとされますので(道交法2条1項8号)、「車両」に対する規制の遵守が求められます。一時停止の標識がある交差点では、当然「車両」として一時停止をし、左右の安全確認をしなければなりません(道交法43条)。

従って、答えは2の「自転車も一時停止しなければならないので、違反」となります。

自転車に乗る場合、自転車も軽車両であることの意識がつい希薄になっていることはありませんか? 交通ルールを守る意識が薄いと、このクイズのように本来一時停止しなければならない場所で停止せず、重大な事故につながる可能性が高くなります。

警察庁のデータ(2019~2023年の合計)によると、自転車が関連している死亡・重傷事故の相手当時者は、約76%が自動車。非常に多い数字です。また、自転車と自動車の事故のうち、出会い頭衝突による事故が実に約55%と最も多く発生しています。このような出会い頭事故の場合、自転車側にも安全確認を怠ったり、一時停止を無視したりなどの違反が多く見受けられます。

自転車に乗る際は、クルマと衝突事故を起こす可能性があることを肝に銘じて、交通ルールを守りましょう。もちろん自動車だけでなく、歩行者や他の自転車との接触事故の可能性もあります。
自転車の事故では、運転者自身が頭部に重傷を負うことが多いです。2023年4月1日からは、すべての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました(道交法63条の11)。自分の身を守るためにも、徹底した安全確認を行い、ヘルメットを着用しましょう。

また、自分がクルマのドライバーである場合、このような見通しの良くない交差点で一時停止しない自転車が飛び出してくる危険性を常に意識したいものです。こちらが優先道路でも、いつでも危険回避できる心構えで運転しましょう。


道路交通法
(定義)
第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(中略)
8 車両  自動車、原動機付自転車、軽車両及びトロリーバスをいう。
(中略)
11 軽車両  次に掲げるものであつて、移動用小型車、身体障害者用の車及び歩行補助車等以外のもの(遠隔操作(車から離れた場所から当該車に電気通信技術を用いて指令を与えることにより当該車の操作をすること(当該操作をする車に備えられた衝突を防止するために自動的に当該車の通行を制御する装置を使用する場合を含む。)をいう。以下同じ。)により通行させることができるものを除く。)をいう。
イ 自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつ、レールによらないで運転する車(そり及び牛馬を含み、小児用の車(小児が用いる小型の車であつて、歩きながら用いるもの以外のものをいう。次号及び第3項第1号において同じ。)を除く。)
(以下略)

(指定場所における一時停止)
第43条 車両等は、交通整理が行なわれていない交差点又はその手前の直近において、道路標識等により一時停止すべきことが指定されているときは、道路標識等による停止線の直前(道路標識等による停止線が設けられていない場合にあつては、交差点の直前)で一時停止しなければならない。この場合において、当該車両等は、第36条第2項の規定に該当する場合のほか、交差道路を通行する車両等の進行妨害をしてはならない。

(自転車の運転者等の遵守事項)
第63条の11 自転車の運転者は、乗車用ヘルメットをかぶるよう努めなければならない。
2 自転車の運転者は、他人を当該自転車に乗車させるときは、当該他人に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。
3 児童又は幼児を保護する責任のある者は、児童又は幼児が自転車を運転するときは、当該児童又は幼児に乗車用ヘルメットをかぶらせるよう努めなければならない。

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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