リバーシブルレーンのイメージ
監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき/文=原田磨由子

時間によって中央線が動く道路で、真ん中の車線に進路変更して右折したら、違反?

あなたの行動、ひょっとしたら違反かも

時間によって中央線(センターライン)の位置が変わる道路で進路変更をする際、何に気を付ければいいのでしょうか。運転歴が長くなると、違反どうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

対向車線も含めて車線が3つあるイラストのような道路の、一番左の車線を走っています。この先の信号で右折するため、交差点の手前で右隣の車線に移動しました。これなら後続車もスムーズに通行できますし、対向車からも「右折する車」として認識されやすくなるはず。もともと中央線が移動する道路なので、交通状況に応じて臨機応変に走行しました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:1. 中央線より右側を通行したので違反

走っているのは、リバーシブルレーン(可逆車線)の道路です。3車線以上の道路において、時間帯によって中央線の位置を変える規制が行われるもので、交通量の多い方向の車線数を増やすために、中央線の位置が自動で切り替わる仕組みになっている道路です。時間帯で決められた中央線は、道路上にかかる標識などでわかるようになっています。

車は、道路の中央から左の部分を通行しなければならないとされています(道路交通法第17条4項)。ここにいう「中央」とは、道路標識で指定されていればその場所のことです。
問題の道路では、いちばん左の車線と中央の車線の間に「中央線」を示す標示がありました。つまり、中央線は一番左の車線と中央の車線とを分ける白線の位置となりますから、自車が走れる車線は一番左の車線だけで、中央の車線を通行するのは、センターラインオーバーの逆走にあたるのです。

従って、正解は1の「中央線より右側を通行したので違反」となります。

リバーシブルレーンは、時間によって道路の中央線の位置を変えることで上下線の交通を円滑化することが可能となります。出勤時間に混雑する側の車線の数を増やし、帰宅時間には逆側の車線を増やすことで渋滞を減らす効果を狙ったものです。特に時間帯によって上下線の交通量の差が激しい場合は有効であるといわれています。

大規模な道路拡張工事などが不要で、合理的な渋滞緩和策といえる一方、気を付けなければならない点もあります。

自分が走っている道路のどこが中央線かということを意識せずに走行すれば、時間帯によっては車線を逆走することになり、正面衝突という重大な事故を引き起こす危険性があるのです。実際、国土交通省の調査によると、リバーシブルレーン区間における死傷事故の平均件数は、通常の3車線以上の幹線道路の2.6倍というものでした(平成18年から21年まで、高速道路を除く)。

リバーシブルレーンに不慣れな場合はもちろん、日常的に通行する場合でも、中央線が変わる時刻を確認し、常に標識で中央線の位置を把握しておくことが必要です。


道路交通法
(通行区分)
第17条
(中略)
4 車両は、道路(歩道等と車道の区別のある道路においては、車道。以下第9節の2までにおいて同じ。)の中央(軌道が道路の側端に寄つて設けられている場合においては当該道路の軌道敷を除いた部分の中央とし、道路標識等による中央線が設けられているときはその中央線の設けられた道路の部分を中央とする。以下同じ。)から左の部分(以下「左側部分」という。)を通行しなければならない。

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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