これって違反なの!? 道路交通法クイズ

夜間の市街地の道路で、ライトをハイビームのままにしていたら…、違反?

あなたの行動、ひょっとしたら違反かも

2023.12.10

監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき

2023.12.10

監修=松居英二(弁護士)/イラスト=どいまき

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今回は、夜間の市街地でハイビームにしたまま走行することが違反にあたるかどうかのクイズをお届け。運転歴が長くなると、違反かどうかを気にしないまま運転してしまいがち。どこが違反にあたる運転行為なのかをクイズで再確認しましょう。

夜間、交通量の多い市街地の道路を通行しています。少し前まで交通量の少ない道路を通行していたのでライトをハイビームにしており、先行車や対向車がいるなかでもハイビームのままであることに気づかず、そのまま走行していました。
この運転行為は、以下の選択肢のうち、どれに該当するでしょうか?

答え:1. 先行車や対向車がいるのに、ハイビームのまま走行するのは違反

道路交通法第52条は、夜間の道路や政令で定める暗い場所(トンネルの中など)を進行する車両等に対して「前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない」と点灯義務を定めていますが(同条1項)、ほかの車両とすれ違う場合や他の車両の直後を進行する場合には「灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない」としています(同条2項、道路交通法施行令第20条)。

現在、一般的な自動車の前照灯には、いわゆるロービーム(すれ違い用前照灯)とハイビーム(走行用前照灯)とが設置されており、その個数、取付位置、色、光量、照射範囲等は道路運送車両の保安基準で厳しく定められています。前照灯を点灯させるのは、自車の存在を周囲に知らせるとともに走行する道路の安全を確認するためですから、走行にあたっては原則としてハイビームを使用することが想定されていますが、それにより他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときはハイビームを消し、ロービームを使わなければならないのです。

従って正解は、1の「先行車や対向車がいるのに、ハイビームのまま走行するのは違反」です。

ハイビームは約100m先まで照らすことができ、進む先の安全確認には非常に役立ちますが、照射範囲の広さもあって対向車を眩惑することにつながります。対向車の存在に気づいたらロービームに切り替えることが大切です。道路運送車両の保安基準では、前照灯がハイビームかロービームかが分かる装置(インジケーター)を備えることとされていますが、これもハイビームで走行していることの確認ができるようにするためです。

メーターパネル内にイカが横に泳ぐような青いインジケーターが点灯している場合は、ヘッドライトがハイビームになっていることを示しています。インジケーターなどを確認し、周囲を眩惑しないようにしましょう。

メーターパネルのライトの点灯状況

自車のヘッドライトがハイビームかロービームなのかを確認する場合、メーターパネル内のインジケーターを確認すること。青いインジケーター(左写真の赤い囲み部分)がついている場合はハイビーム、右写真のようにインジケーターが緑色(右写真の赤い囲み部分)の場合はロービームがついていることを示している。


道路交通法
(車両等の灯火)
第52条 車両等は、夜間(日没時から日出時までの時間をいう。以下この条及び第63条の9第2項において同じ。)、道路にあるときは、政令で定めるところにより、前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつけなければならない。政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあつても、同様とする。
2 車両等が、夜間(前項後段の場合を含む。)、他の車両等と行き違う場合又は他の車両等の直後を進行する場合において、他の車両等の交通を妨げるおそれがあるときは、車両等の運転者は、政令で定めるところにより、灯火を消し、灯火の光度を減ずる等灯火を操作しなければならない。

道路交通法施行令
(他の車両等と行き違う場合等の灯火の操作)
第20条 法第五52条第2項の規定による灯火の操作は、次の各号に掲げる区分に従い、それぞれ当該各号に定める方法によつて行うものとする。
1 車両の保安基準に関する規定に定める走行用前照灯で光度が一万カンデラを超えるものをつけ、車両の保安基準に関する規定に定めるすれ違い用前照灯又は前部霧灯を備える自動車 すれ違い用前照灯又は前部霧灯のいずれかをつけて走行用前照灯を消すこと。
2 光度が一万カンデラを超える前照灯をつけている自動車(前号に掲げる自動車を除く。) 前照灯の光度を減じ、又はその照射方向を下向きとすること。
(以下略)

夜間のライトの正しい使い方は、JAFユーザーテストでも紹介。詳しくは下のリンクをチェック!

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松居英二

まつい・えいじ 弁護士。(公財)日弁連交通事故相談センターの委員・相談員として交通事故に関する法律相談、損害賠償額算定基準の作成などに参加。「JAF Mate」誌では2004年から2017年まで「クルマ生活Q&A」の法律相談を担当。

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